漫画を愛するライター・中川 薫がバイラ女子におすすめの漫画をピックアップ! 今回は、『私の少年』で人気を博した高野ひと深の最新作『ジーンブライド』をご紹介します。
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中川 薫
漫画、音楽、旅を愛するライター。『降り積もれ孤独な死よ』(講談社、11月22日1巻発売)もおすすめ。
©高野ひと深/祥伝社フィールコミックス
“女性が輝く社会へ”と叫ばれてはいても、いまだ日本の女性の就業率や賃金は、同年齢の男性と比べて低いまま。皆さんの中にも、いくら仕事で頑張っても“女性”だということで、見くびられたりした経験、ありませんか? 本作は働く女性の多くが感じるだろう苦悩を、主人公の日常を通して描いた問題提起作品だ。
ヒロイン・諫早依知の日常は過酷。失礼がないようにとスカートで打ち合わせに臨めば「女の子らしくて可愛い」と言われ、1対1になった途端に初体験の年齢を聞かれる。朝、ジョギングに出れば、露出魔と遭遇……。女性の日常生活あるあるだけど、好きでこうなっているわけじゃないのは皆さんもよくご存じだろう。依知の絶望生活は、元同級生の正木蒔人の出現で変化する。潔癖な彼は自分自身に正直だ。依知の言動に隠された意味をくみ取り、真摯に向き合う。何事もうやむやにしてごまかさない彼の言動に救われるのは依知だけではないはず。こんな人が増えてくれると、息がしやすくなるんだけどな……と思わずにはいられない。
『ジーンブライド』
高野ひと深著
祥伝社 1巻~ 759円
仕事相手のセクハラや、見知らぬ変質者の出没によって、毎日新鮮な絶望を更新中の依知のもとに、かつての同級生・蒔人が現れた。彼は依知にお礼を言いに来たと言うが……。
漫画好きならこれも必読!
『矢野くんの普通の日々』
田村結衣著
講談社 1巻~ 726円
不運系男子と心配性女子のほんわか不器用ラブコメデ
クラスの委員長・吉田さんは、ケガの絶えない矢野くんが気になりすぎて尾行。彼の不運さに庇護欲を刺激された彼女は……。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2021年11月号掲載