漫画を愛するライター・中川 薫がバイラ女子におすすめの漫画をピックアップ! 今回は、医療系漫画『インハンド』の著者がおくる、クライムサスペンス『ダーウィンクラブ』をご紹介します。
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中川 薫
漫画、音楽、旅を愛するライター。ダイエット目的で購入したエアロバイクのサドルの硬さに涙……。
©朱戸アオ/講談社
2019年にドラマ化した『インハンド』、現在の混乱を予見したかのような『FinalPhase』、『リウーを待ちながら』など、医療サスペンス漫画の名手・朱戸アオの最新作。
幼少期に父を殺された主人公・大良は、警察官となって忙しい日々を送っていた。張り込み中、ロケットの打ち上げ動画を見ていると突然、テロ事件に巻き込まれる。さらに、動画には、父を殺した“左手首に奇妙なマークがある男”が映っていた。
父の死の謎、巨大企業をターゲットにしたテロ組織の真の目的、敵か味方かわからないキャラクターの登場、という謎が謎を呼ぶ展開。ここで描かれるのは“どこかのリアル”だ。家族や大切な人を失った人々の悲しみは計り知れない。主人公も飄々としてはいるが、やはり傷ついている。著者はこれまでの作品で、人が限界に直面する場面を丁寧に描写し、そんな状況でもあきらめずに生きる様子を伝えてきた。幾度も絶望し、人間はどのように生きて、何に希望を見いだすのか。その答えのひとつが、本作のような気がする。
『ダーウィンクラブ』
朱戸アオ著 10月21日発売
講談社 1巻~ 715円
主人公・大良は父親とのかくれんぼ中に父親を殺されてしまう。大良は自身が目撃した“手首に奇妙なマークを持つ男”を追うため刑事に。ある日、テレビにあの男が映り……。
※表紙は変更になることがあります
漫画好きならこれも必読!
『ホテル・インヒューマンズ』
田島 青著
小学館 1巻~ 693円
殺し屋専用ホテルで交差するヒューマンドラマ
このホテルでは殺し屋は悪人ではなく“お客さま”。秘密を抱えて生きる彼らの生きざまが「悪って何?」と問いかけてくる良作。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2021年11月号掲載