ソロとしての道を歩み始めて1年。アーティスト/俳優として新たな扉を開き、「人生で最も多忙な年だった」という2024年を駆け抜けた彼が、公開中の映画で見せたのは、飾らないありのままの表情。数々のレイヤーを取り払った“中島健人”の本質に、少しでも触れてみたくて。インタビュー前後編の後編。

中島健人
1994年3月13日生まれ。2011年「Sexy Zone」のメンバーとしてメジャーデビュー。昨年グループを卒業し、ソロ活動をスタート。アーティスト、俳優としてマルチに活躍中。
この作品では演じるほどにバイアスが削げていって、素っぴんを切り取られた感覚
作品の中でリクのもうひとつの“腐れ縁”である親友、梶原を演じたのは、プライベートでも中島さんと親交が深いという桐谷健太さん。
「キリケンさんとのシーンで、台本にないのに自然と涙した場面があって。それって梶原のセリフとキリケンさん自身が重なって、不意に流れたものだったんです。ほら、僕ってカッコつけてると泣けなくて、それはもう自分でも気づいてるんだけど(笑)。三木監督にはあまり理論的に演じないでほしいと最初から言われていたんだけど、それは監督がこういう僕を見抜いていたから。自分の中のイノセントな感情がリクを演じることで引き出されて、役者としてもひとつ鎧が脱げた気がします」。
劇中ではリクのなにげないひと言が原因となって妻のミナミとのケンカに発展するが、中島さん自身は“言わなければよかった”と後悔した経験はあるのだろうか。
「僕の場合は“言わないほうがよかった”っていうことはほぼなくて、どちらかというと、“言わないで後悔した”ほうが多いかも。あのときに言えばよかった、言ったら変わってたかもしれない、ということがありました。だからそういうときに『ちゃんと話そうよ』と愛情を持って言える人ってカッコいいと思うし、憧れます。僕が演じたリクもミナミにそれが言えなかったけど、僕もひとつのことに集中しちゃうと周りが見えなくなったり、リクと似たタイプなんですよ。だからミナミとのやり取りでも妙に気持ちがわかってしまう部分もあって。大切な人との絶妙な人間模様を描いた作品なので、恋愛したい人も、今まさに恋愛中の人も、観てもらえたら共感しかないと思います」
映画『知らないカノジョ』
出演:中島健人、milet、桐谷健太ほか
監督:三木孝浩
全国の劇場にて公開中
小説家志望のリク(中島健人)は歌手を目指すミナミ(milet)と運命的な出会いを果たし、結婚。それから8年が過ぎ、ケンカした翌朝目覚めると二人は出会ってもいないまったく別の世界になっていた……。
構成・原文/前野さちこ ※BAILA2025年4月号掲載