ソロとしての道を歩み始めて1年。アーティスト/俳優として新たな扉を開き、「人生で最も多忙な年だった」という2024年を駆け抜けた彼が、公開中の映画で見せたのは、飾らないありのままの表情。数々のレイヤーを取り払った“中島健人”の本質に、少しでも触れてみたくて。インタビュー前後編の前編。

中島健人
1994年3月13日生まれ。2011年「Sexy Zone」のメンバーとしてメジャーデビュー。昨年グループを卒業し、ソロ活動をスタート。アーティスト、俳優としてマルチに活躍中。
離れていた時間の分だけ、当たり前の幸せに気づかされる
「ここまでしっかり自分の気持ちに嘘をつかずに、本音のような心情でラブストーリーに臨めたのは初めてだったんです」。
映画『知らないカノジョ』で中島さんが演じたのは、異なる世界線に迷い込む主人公リク。人気小説家として大成功を収めていたが、ささいなことで妻のミナミと口論に。翌朝目覚めると、二人は出会ってすらないまったく別の世界に変わっていた。中島さんはミナミと出会った大学時代から社会人まで、8年にわたるリクの成長を演じている。
「学生役は久しぶりでしたが、これが本当に不思議な話で、僕って全然年をとらないんですよ(笑)。ドラマ『黒崎くんの言いなりになんてならない』を演じた21歳のときと感覚的には変わらない感じ。むしろ大学時代の経験値もあるから、あの頃よりもスムーズに演じられた気がします。とは言っても映画の中のようなキラキラした学生生活は全然送ってないけど(笑)」。
ミナミ役を演じたmiletさんにとって本格的な演技は、本作品が初。にもかかわらず堂々とした演技で、ベストセラー作家を支える妻と大人気アーティストの二役を見事に演じている。
「miletさんとの演技でいちばん印象的なのは、ディナーシーン。あぁ、この二人はどういう世界線であっても結局離れられないんでしょ、っていう空気感があって。そういう腐れ縁みたいなものって、人生においてひとつくらいあってもいいんじゃない? 恋愛関係のみならず友情においても、腐れ縁ってしぶとくていいですよね」
結局愛し合ってしまう、腐れ縁ってしぶとくていいな
Q「知らない健人」をひとつ教えて!
ベッドシーツはシルク素材です(笑)。
近頃はライブのリハ続きで1日8時間くらい踊ってるから体もバッキバキ。
睡眠環境を整えて回復魔法でも使わないとヤバイ……とシーツ、枕、ブランケットをシルクに。
ちなみに色はクリーム色。
Q 素の「中島健人」に戻るスイッチは?
大学時代の友人たちと一緒にいるときかな。
彼らは僕にまったく忖度しない(笑)。
ライブや演技に関しても素直な意見を伝えてくれるし、その上で見守ってくれてる。僕に対してフィルターがない仲間と過ごす時間って、やっぱりいいよね。
Q もし今の自分じゃなく、別の人生を歩んでいたら?
うーん、まず前提として今みたいな表現する仕事以外は考えられないかな。
その上で強いていうなら、広告制作とか、コピーライターとか、どうかな?
今もライブの企画書をプレゼンのために自分でつくることもあって。
周囲の人は褒めてくれるけど、それもどこか中島健人という“N/bias”がかかってのこと。
まだまだです、って思います。
Q 思わず涙腺が…そんな瞬間は?
昔から家族を描いたストーリーに弱い。
子どもの頃、スティーヴン・スピルバーグ監督の『A.I.』を観てあまりに泣きすぎて、母親に心配されたことも。
今回の作品でも家族愛に触れているシーンがあって、そこはかなり素の自分。
映画『知らないカノジョ』
出演:中島健人、milet、桐谷健太ほか
監督:三木孝浩
全国の劇場にて公開中
小説家志望のリク(中島健人)は歌手を目指すミナミ(milet)と運命的な出会いを果たし、結婚。それから8年が過ぎ、ケンカした翌朝目覚めると二人は出会ってもいないまったく別の世界になっていた……。
構成・原文/前野さちこ ※BAILA2025年4月号掲載