#北村匠海 #中沢元紀 NHK連続テレビ小説「あんぱん」で共演の二人へインタビュー！

NHK連続テレビ小説「あんぱん」で、兄弟役を演じた北村匠海さんと中沢元紀さん。初共演で絆を深め、まるで兄弟のようにお互いを思いやる二人に、「あんぱん」にちなんだ質問を、たっぷり伺いました。　

――「あんぱん」で初共演したお二人。撮影現場で印象的だったことは？

北村　僕は、元紀が千尋役を演じると知って、ホッとしたのを覚えています。兄の嵩に憧れられる弟の解像度がグッと上がって、自分が嵩を演じる上で、いろんなことがクリアになったんですよ。それくらいハマり役でした。

中沢　嬉しいです。千尋を多くの人に愛してもらえたのは、嵩という兄貴がいたから。僕はもともと人見知りで、先輩に対しては特に緊張してしまうんです。兄弟役を正々堂々と演じるためにも、コミュニケーションをとらなければ！と思い、前室では必ず匠海さんの近くに座ることを心がけていました。

北村　そういう意図があったんだ！

中沢　物理的に距離を縮めれば、会話が生まれやすくなるかなって（笑）。

北村　そのおかげで、元紀とは自然に距離が縮まっていった感覚がある。一緒に、食事のシーンの撮影で出てきたごはんを食べたよね。

中沢　休憩中の暗いスタジオに二人で残って、黙々と食べましたね（笑）。

北村　柳井家の食卓は、家柄的にも豪勢だったんですよ。カツオのたたきとか、めちゃくちゃうまかった！

――嵩と千尋が対峙するシーンは、大きな話題を呼びました。撮影現場には、中沢さんの事務所の代表を務める小栗旬さんもいらっしゃったとか。

北村　旬さんの姿に気づいて、焦りました（笑）。僕は小5の頃からお世話になっている大先輩なので。

中沢　匠海さんが「旬さんも見てるし頑張ろう！」と声をかけてくださったおかげで、僕も緊張が和らぎました。

北村　元紀に言いながら、自分にも言い聞かせてたんだよ（笑）。つい最近までは自分が年下の現場が多かったから、後輩を励ますのが新鮮だった。

――嵩と千尋はどちらも、朝田のぶに好意を寄せています。もしも兄弟や友人と同じ人を好きになってしまったら、お二人ならばどうしますか？

北村　うーん……譲りはしないかな。

中沢　僕も譲らないですね。譲られた側も、嬉しくない気がします。

北村　そうそう。それに、好きな人の気持ち次第だからね。でも、嵩の気持ちも理解できる。のぶと次郎のような関係を目の当たりにしたら、僕なんかが想い続けてちゃダメだよなーって思うもん。ああいうあきらめ方は、するかもしれない。自分ドンマイ！みたいな。

中沢　たしかに（笑）。次郎さんは、かっこよすぎますからね。

――嵩と千尋は、親が希望する将来と自分が進みたい道の違いに悩みます。俳優として、なりたい姿と世間のイメージの違いに悩むことはありますか？

北村　正直悩んだ時期もありました。自分が求めるもの、世間から求められるもの、作品から求められるもの、それぞれが違うんですよ。でも結局、役者は作品と向き合い続けることしかできないと気づいて、それを徹底していたら、“役者としてこうなりたい”という気持ちがなくなりました。

中沢　今の僕は、与えてもらえるものは何でもやりたいというスタンス。いろんな役を一通りやってから、悩みが出てくるのかなとは思います。ずっと「まじめすぎてつまらない」と言われてきたので、きっと将来、そのイメージの壁にぶち当たるんだろうな、と。

北村　どんなに真剣に取り組んでいても「機嫌悪いの？」って言われたことがある僕からすると、まじめさが人にきちんと伝わるって素晴らしい長所だよ。これから元紀には、千尋のように実直な役がたくさん来るだろうけど、それを楽しんでほしい。そのイメージを壊すタイミングは、いつか必ず訪れるから。

中沢　はい！　以前、DISH//のライブを見させていただいたら、いつも現場で見ている匠海さんとは別人で驚きました。役者として、めちゃくちゃ羨ましいです。今の僕は、どこに行っても、誰を演じても、僕なので。

北村　ないものねだりって、まさにこのことだよね。カメレオン俳優というジャンルに自分が属せていたとしたら、それはそれで嬉しい一方で、その人のイメージがまったくブレないスターに対する憧れもある。それこそ元紀の事務所は、スターぞろいじゃん！

中沢　そうですね。スターにもなりたいし、カメレオンにも憧れるし……。

北村　また共演できたときに、元紀がどんな俳優になっているか楽しみだな。

中沢　個人的には、アクション作品で共演したいです！

北村　いいね。元紀はタッパもあるし動けるから、絶対アクションに向いてるよ。

――柳井寛の「何のために生まれて、何をして生きるか」という言葉が嵩と千尋の心に深く刻まれるように、大切にしている言葉・意識はありますか？

北村　僕は常に、10分後に死ぬかもしれないと想像して生きています。人生最後の10分だと思うと、未来を憂うのでもなく、過去を悔やむのでもなく、今をどう生きるかに集中できるんです。結局、毎日を輝かせられるかどうかは自分の意識次第だと思うので。

中沢　匠海さんのようにかっこいいことは言えませんが、僕は、今に満足しないことを意識しています。役者としても一人の人間としても、追求する気持ちを忘れずにいたいから。そのために大切にしているのが、体づくり。体の状態がよくなると気分もよくなり、積極的に行動できるなど、プラスに変わっていった経験を通じて、体は何よりも大事な資本だと実感しました。

いつかまた共演できたとき、元紀がどんな俳優になっているのか楽しみだな（北村）

DISH//のライブで別人のような匠海さんを見て驚いたし、すごく羨ましかった（中沢）

（北村さん）カーディガン￥88000・シャツ￥41800／モールド（チノ）　Ｔシャツ￥1990／無印良品 銀座（無印良品）　パンツ￥49500／ブリーズ（シーヴ）　靴￥42900／オーセンティック・シュー＆コー（マルボー）　リング（薬指）￥49500～・（小指）￥49500～／マリハ　（中沢さん）デニムジャケット￥71500・シャツ￥19800・パンツ￥55000・靴（参考商品）／ポール・スミス リミテッド（ポールスミス）

撮影／野田若葉〈TRON〉　ヘア＆メイク／山﨑 聡〈sylph〉（北村さん）、速水昭仁〈CHUUNi〉（中沢さん）　スタイリスト／TOKITA（北村さん）、田中トモコ（中沢さん）　取材・原文／中西彩乃　撮影協力／アワビーズ、ウツワ　※BAILA2025年10月号掲載