孤独な中年女性のささやかで愛おしい成長物語「サムバディ・サムウェア」【撮影現場でウワサのドラマ】

撮影現場でウワサのドラマをピックアップ！ 今回は、ヒューマン＆サスペンス通の二人、ライター 野崎久実子＆スタイリスト 石上美津江が「サムバディ・サムウェア」をレビュー。

石上　今回の作品は中年女性が主人公。スリリングな展開があるわけでも登場人物に華があるわけでもない。そこがとってもリアルでした。

野崎　姉を亡くした孤独感から常に人生に無気力な中年女性のサムが親友・ジョエルとの出会いがきっかけで世間に向き合い、仲間に支えられながら徐々に成長していく物語なんですが、刺さる部分だらけだったよね。

石上　年老いた親の介護、姉妹とのいざこざ、親友とのすれ違いなど、思わず「あるある！」と言ってしまうような出来事が満載でした。

野崎　大人になればなるほど自重することが増えるけれど、いつも本音でぶつかり合えるサムとジョエルの関係性が私は本当に羨ましくて。泥酔してくだらないことで笑い合ったり下ネタで盛り上がったり（笑）。学生のときみたいなノリで中年の男女がそんなことを軽々とやってのけちゃうのがすごくいい！

石上　後半、ジョエルにパートナーができて二人は結婚するんですが、サムは嬉しい反面、二人の友情関係が変わっていくことに寂しさを感じてしまう。でもジョエルはそんなサムの思いを察して寄り添うんです。ああ、なんていい友達なんだ！

野崎　サムは本当に不器用。そこが愛おしいんだけど、そんな姿を見かねて妹が「なぜ物事を自分で難しくするの？」と言うシーンもあったね。

石上　そのセリフ、不器用な私にもめちゃくちゃ響きました（笑）。

野崎　シーズン2、3と進むにつれてサムに自信がみなぎり、笑顔が増えていくのが身近な友達のことのように嬉しかったな〜。

石上　こんなに登場人物全員の気持ちに共感してしまうドラマも珍しいかも。迷い多き30代以上の大人にこそ観てほしい作品です。

イラスト／ery　※BAILA2025年12月号掲載　※配信情報は記事掲載時点のもので、変更になっている場合や、配信が終了している場合があります。