マネーセンスを高める第一歩は、自分の“使えるお金”と“使ったお金”の管理から。その方法をFP高山さんが伝授! 今回は、超ザル勘定な「自分の財布」と向き合う方法について。
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キャッシュレス化で残高を見る機会が激減。カードの明細すら確認せず、まさにパンドラの箱を抱える。
ファイナンシャル プランナー
高山一恵さん
Money&You取締役。女性向けWebメディア「FP Cafe」「Mocha」やYouTube「Money&You TV」の運営、女性にお金の知識を伝えるための講演や執筆など幅広く活躍。近著に『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(頼藤太希氏との共著・自由国民社)など著書多数。
使っている銀行口座とカードを整理し見える化
まずはお金の流れを整理。給与が振り込まれる口座からの出口を総チェック
利用している銀行口座やクレジットカードの数は? 給与振り込み後、家賃や水道・光熱費、スマホ代、保険料、クレジットカードの引き落としがどこからされているかを確認しましょう。バラバラの場合は、生活費口座を給与振込口座にひとつにまとめると、入出金管理がしやすいです。
《キホンのキ》クレジットカードは2枚がおすすめ。整理のコツは、「日常よく使うカード」と「世界中で使えるカード」を選ぶ
クレジットカードは自分の行動パターンを考え、よく利用する店やサービスでお得に使えることが必須。「日常よく使うカード」を1枚に集中させることで、ポイントがたまりやすく、受けられる特典のグレードが上がることも。もう1枚は、国際ブランドに分けて世界共通で利用できるカードを選ぶと便利
「固定費」「食費・交際費」「その他」に分けてチェック
ざっくり月の出費を項目別に記録することで自分のお金の使い方のクセが見えてくる
お金と上手につきあっている人ほど、自分が何にいくらお金を使い、毎月どれくらいの予算で生活すればいいのかを把握しています。それができていない人は、まず1カ月の出費の記録を。3カ月続けると、自分のお金の使い方の傾向が把握できます。ストレスがたまるとお菓子を買うといった行動パターンが見えてくることも。
かんたん家計簿を作ろう
レシートに手書きでも、PCで手入力でもアプリでもやりやすい形でOK。固定費とは、毎月支払額が決まっている住居費、通信費、水道・光熱費、保険費、サブスク費など。必要か迷ったら「自分がハッピーになったか」を基準に
1.レシートや領収書を3つの費目に分けて封筒やクリアファイルに分けておく
2.1カ月後にそれぞれ集計する
3.直感でいいのでレシートを見直して支出を評価する
○…必要な支出
×…不要な支出
△…曖昧な支出
かんたん家計簿はアプリでも!
マネーフォワード ME
銀行やクレジットカードなどと連携し、日々の収支記録から家計簿を自動作成できるアプリ
レシートをスキャンするだけで出金が整理できる!
棒グラフや円グラフで支出を分析したり推移のグラフ化も可能
利用者が1500万人を超えるマネーフォワード MEの強みは、外部サービスとの連携数の多さ。銀行や証券会社をはじめ、クレジットカード、ポイントカード、電子マネー、年金などその数は2500以上。一度連携すると、記録した入出金の履歴を自動で分類してくれ、手軽に家計や資産管理ができて便利。無料版と有料版がある
手取りに合った予算感をつかむ
正しく把握すれば自分の価値観に合った各項目の予算組みができて無駄が減る
自分の出費の分析ができたら、次のステップは予算組み。毎月決まって一定額発生する固定費から見直しましょう。意外に見落としがちなのがサブスク費。利用頻度が低く元がとれていないものは解約を。自分がハッピーになれるものにはお金をかけてこだわる一方で、我慢してもいいかなと思うものには使わない。そのメリハリが大事です。
理想の支出割合の範囲内に収まるように自分のバランスで調整
「お気に入りの服を着ると仕事を頑張れる」「推し活でごきげんになる」といった、自分にとって価値がある項目は削らず、その分「外食は控える」などバランスをとって。予算の範囲内で暮らせて、手取りの2割貯蓄か投資に回すことができると好循環の土台が完成します
出費を正しく把握して納得のいく「使い方」につなげる
マネーリテラシーが高い人ほど、自分の価値観が明確で、お金の使い方に無駄がない!
自分がハッピーになることや人生で大切にする自分の価値観が明確だと、価値観以外のところにお金を使うことがなくなり無駄づかいがなくなっていきます。その一歩は自分のお財布の把握から!
イラスト/平松昭子 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2024年2・3月合併号掲載