ニュースやSNSなどでよく見聞きするキーワードの中から、バイラ世代が知っておきたいワードをピックアップ。今回は離婚後の共同親権、国際カップルの子どもの権利について、永田夏来さんが家族社会学者の視点から鋭く解説!
永田夏来さん
兵庫教育大学大学院学校教育研究科准教授。家族社会学の観点から、結婚・妊娠・出産と家族形成についての調査研究を行う家族社会学者。著書に『生涯未婚時代』(イースト・プレス)など。
【共同親権】反対の声が増加中!
離婚後の父と母、それぞれに親権を認める制度で、2026年までに施行される見通し。しかし、裁判でDV等が立証できない場合は加害者が共同親権を持つ可能性や、父母の所得を合算することで支援の対象外となり、ひとり親の貧困が加速するなどの懸念も。ネットを通じた反対署名は22万筆を超えた。「そもそも離婚にまつわる話し合いが成立しにくいとされる日本では時期尚早。制度が生活の実態に即さず、運用の仕組みがまったく整っていない状況では混乱が起きるだけだと思います」(永田さん、以下同)
【国際カップルの子どもの権利】約10万人の子どもに影響
納税などの義務を怠った外国人の永住許可を取り消せるようにする法案が国会に提出された。たとえば税金や社会保険料の滞納、在留カードの不携帯なども取り消し対象になる懸念が。親の永住許可と連動して子どもの永住許可が取り消される場合もあるため、子どもの将来にも深刻な影響が生じかねない。「親が在留資格を失った、あるいは離婚したときに子どもの権利をどうするのか、が争点になっています。“子どもが強制送還されるのが怖くて離婚ができない”といった声も上がっており、これは制度に合わせて人間関係がゆがめられている状況。国際化や移動の自由化が進んでいる今、子どもの権利を積極的に守る姿勢を示し、実情に合わせて制度を変えていくのが本来のあり方だと思います」
コラージュ制作/花梨〈étrenne〉 取材・原文/国分美由紀 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載