亜熱帯の鮮やかな植物、豊かな表情を見せる海、土地に根ざした人々の暮らしと文化…。田中一村が描いた奄美大島の魅力をたずねて。感性を磨き、好奇心を満たす南国の島旅を、市川紗椰がご案内。
一村の描いた「アダンの浜辺」を歩く
黄金色の実をつけ緑の葉と気根を伸ばす大きな樹、アダンは、田中一村が「アダンの浜辺」を始め様々な作品で描いた奄美大島ならではのモチーフ。島のあちこちで見られるけれど、おすすめの場所は島の南東に位置するビーチ「土と盛もり海岸」。白い砂浜へと続く小道にアダンが連なり、木陰から太平洋の美しいグラデーションを見ることができる。
ワンピース¥80300・パンツ¥83600/コロネット(ミラ ショーン バイ チカ キサダ) ピアス¥102300・リング¥95700/エドストローム オフィス(シャルロット シェネ) バッグ¥29700/マニプリ
現地で観る一村作品は格別「田中一村記念美術館」
旅の初めにぜひ訪れてほしい場所。田中一村の描いた奄美に触れてから島を巡ると、目に映る島の景色や光の移ろいをより鮮やかに感じられるはず。新たな自分の絵の表現を求め、50歳で奄美大島に渡った一村。その生涯にわたる作品を鑑賞することができる美術館。鹿児島県奄美パーク内にあり、周辺施設で自然、歴史、文化も学べる。
木材や珊瑚石など、地元の素材をふんだんに使った館内。「田中一村 常設展 Ⅲ期」を開催中(〜2025年1/14)
奄美大島伝統の建物である高倉を模した展示室が廊下でつながる。室内は天井が高く、外は広々と、のびやか
所蔵されている代表作は東京都美術館で開催中の「田中一村展」に出品されているものも数多い。この美術館では描かれた奄美の景色を身近に感じながら鑑賞できるのも魅力
シャツ¥86900・パンツ¥124300・ネックレス¥77000/コロネット(フォルテフォルテ) リング¥29700/プラウ バッグ¥21000/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム(ブリー レオン) 靴 ¥74800/ネブローニ
【DATA】 田中一村記念美術館
鹿児島県奄美市笠利町節田1834
☎0997(55)2635
9〜18時( 7・8月は〜19時・入館は閉館の30分前)
休館日/第1・3水(祝日の場合は翌日。8/29〜5/5、7/21〜8/31、12/30〜1/3は開館)
入館料/大人¥520ほか
https://amamipark.com/isson/
「田中一村終焉の家」と一村が愛した奄美の風景
植物、鳥や昆虫の生き生きとした姿、海と浜の風景など、田中一村が描いた奄美の自然は今も守られ、様々なスポットで目にすることができる。島での一村は絵を描くために大島紬の染色工として働き、資金を貯めては一心に絵に集中する生活を送った。現存する「田中一村終焉の家」では1977年、生涯最後の10日間を過ごしたそう。奄美での約19年間、暮らしを絵に捧げながら人々と交流し、今も愛され続ける“一村さん”の気配にきっと出会える!
パイナップルによく似たアダンの実
鮮やかな斑の入った葉が印象的なクロトンも、一村作品に度々登場する植物
「田中一村終焉の家」は、繁華街名瀬から車で10分ほどの住宅地の一角。ガジュマルやクワズイモなどが生い茂る広場にひっそりとたたずむ
夕陽の名所「大浜」にて。逆光に照らされる海と空は、まさに作品に描かれたマジックアワーの色。隣接する「大浜海浜公園」「奄美海洋展示館」にも足を延ばしてみて
ワンピース¥18700/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム(ケラウズランブラ)
【DATA】 田中一村終焉の家
鹿児島県奄美市名瀬有屋38の3
☎0997(52)1111(奄美市紬観光課)
撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/中村未幸 スタイリスト/平田雅子 モデル/市川紗椰 コーディネーター/高田太郎 取材・原文/久保田梓美 ※情報は2024年10月現在のものです ※BAILA2024年12月号掲載