編集ぶん&ライターくぼやんがアートを紹介する新連載。第2回は国立新美術館の「テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」を訪問しました。
今月の展覧会は…「テート美術館-YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」@国立新美術館
“行って、感じて、考える。手軽じゃないから面白い、贅沢な体験!”

1 会場風景より、フランシス・ベーコン《1944年のトリプティク(三幅対)の第2ヴァージョン》1988年、テート美術館蔵
フランシス・ベーコンは20世紀の英国を代表し、YBAに大きな影響を与えた画家。その晩年の作品を、6つの章からなる展覧会の「序章」として展示

©Lubaina Himid. Courtesy Hollybush Gardens and Greene Naftali
Photo: Tate
2 ルベイナ・ヒミド 《二人の間で私の心はバランスをとる》1991年、テート美術館蔵
1954年、ザンジバル生まれのルベイナ・ヒミドは現在も活躍中。移民として生きる黒人女性たちを描いている

3 会場風景より、「スポットライト」の映像作品。
ブラック・オーディオ・フィルム・コレクティヴ《ハンズワースの歌》1986年、テート美術館蔵
各章の間には「スポットライト」と名付けられた映像作品やインスタレーションのコーナーが。’80年代、ハンズワース地区での非白人系の住民と警官との緊張感のあるやり取りを題材にした61分の映像作品は、連日満員の人気

4 会場風景「第3章:あの瞬間(トキ)を共有する:音楽、サブカルチャー、ファッション」より。ヴォルフガング・ティルマンスの写真作品
クリップで留められたり、デジタル・プリントで直接壁に貼りつけられていヴォルフガング・ティルマンスの写真展示。写真を配置した空間全体が作品になっている

ライターくぼやん
音楽やファッションなど、今に通じる影響がたくさん。カルチャー好きにも刺さる内容!
編集ぶん&ライターくぼやんが、東京都現代美術館 主任研究員 山田 由佳子さんに聞いた!

主任研究員
山田 由佳子さん
特に20世紀以降の西洋美術を研究。企画・担当した展覧会に「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」(2023年)など
くぼやん YBAとはヤング・ブリティッシュ・アーティストの略。’90年代の英国アートを、テート美術館のコレクションから振り返る大充実の展示です。
ぶん 私は冒頭に掲げられたフランシス・ベーコン(1)の絵画につかまれました。美しくてちょっと怖い。
山田 この作品が描かれたのは’88年。冷戦構造が終焉を迎えつつあり、社会の変化に対する不安や恐怖も同時に醸成された時代です。ベーコンに大きな影響を受けたダミアン・ハーストがYBAムーヴメントの起点となる展覧会を開催した象徴的な年でもあります。
くぼやん 会場にはリアルな’90年代を知らない観客もたくさん。当時の空気を今に伝えるのにどんな工夫を?
山田 個々のアーティストの回顧展は今までありましたが、今回は幅広く時代を見渡せる構成が特徴。また、タイトルの「&BEYOND」にも注目。YBAという言葉の陰で見過ごされていた作家、たとえばアフリカ出身の女性アーティスト、ルベイナ・ヒミド(2)や、映像作品《ハンズワースの歌》(3)が人気を集めています。
ぶん 映像作品が数多く、最初はどう楽しめばいいかな?と戸惑ったのですが、美術館に足を運んだからこそ味わえる貴重な没入体験。面白かったです!
山田 嬉しい感想です。実はどれもパッと見てわかりやすい作品ではありませんよね。見る人によって解釈も違うし、簡単に説明できる内容じゃない。でも、わからないのに惹きつけられて、集中して、考えて、身近な人と話してみる。そうした作品との出会いを多くの方が楽しんでくださっているのが印象的でした。
ぶん 一方、ヴォルフガング・ティルマンスの写真(4)は、被写体のファッションや風景が今見てもおしゃれ。
山田 これも写真集やネットで一枚ずつ作品を見るのと違い、展覧会だからこそ味わえる体験型の展示手法になっています。ぜひ会場で鑑賞してください。
くぼやん 私のおすすめは夜間開館。’90年代カルチャーのにおいが残る六本木の夜景の中、当時の音楽を聴いて誰かと話しながら帰ったら、きっとムード満点です!
訪れたのは…国立新美術館
「テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」
〜5/11
東京都港区六本木7の22の2 国立新美術館 企画展示室2E
10時〜18時(金・土曜〜20時、入場は閉館の30分前まで)
休館日/火曜(ただし5/5〈火・祝〉は開館)
入館料/一般当日¥2300ほか
https://www.ybabeyond.jp
他にも行きたい展覧会
モネ没後100年 「クロード・モネ ー 風景への問いかけ」@アーティゾン美術館

印象派を代表する画家モネの、オルセー美術館所蔵の約90点を含めた約140点の作品が一堂に。自然光のうつろいを描く風景画を中心にたどる、旅するような展覧会。
【展覧会DATA】
〜5/24
東京都中央区京橋1の7の2
10時〜18時(金曜、5/2、5/9、5/16、5/23の各土曜は〜20時、入館は閉館の30分前まで)
休館日/4/13、5/11
入館料/ウェブ予約 一般¥2100ほか(日時指定予約制)
https://www.artizon.museum/exhibition_sp/monet2026/
「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE 」@九段ハウス

’88年から20年間、ファッションデザイナーとしてモードを牽引しつつ、突如表舞台から姿を消したマルタン・マルジェラ。現在はアーティストとして活動する彼の、日本初の大規模個展。会場となる登録有形文化財・九段ハウスにも注目。
【展覧会DATA】
4/11〜4/29
東京都千代田区九段北1の15の9
10時〜19時(4/29のみ〜17時)、最終入場は閉館の1時間前まで
入館料/一般¥2500
http://martinmargielaatkudanhouse.jp/
イラスト/佐伯ゆう子 取材・原文/久保田梓美 ※BAILA2026年5月号掲載

BAILA編集部
30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。














































編集ぶん
’90年代という少し遠い時代のアートが訴えかける力は新しくて、強くて、かっこいい!