ビジネスシーンで大切にしたい、“マナー”。基本はもちろん、たまに起きる「これどうすれば!?」な事態まで、今必要なマナーを徹底解説。しっかり学んでしてパーフェクトなマナーを身につけよう。
教えてくれたのは…
西出ひろ子さん
マナーコンサルタント・美道家。『運のいい人のマナー』(清流出版)など、著書多数。
『知っておきたいマナーの基本』 マイナビ出版 740円
ビジネスからプライベートまでの基本マナーを網羅。
Q 正しいお辞儀の仕方は?
A 正しい姿勢で、頭を下げたら2秒静止
こちらが正しい立ち方。靴のかかととつま先部分をそろえ、手はボトムのサイドの縫い目に中指を合わせ、背すじをきちんと伸ばす。
↓ 1、2と数えて45度に
お辞儀をするときは、両手を前でかるく重ね、背すじを伸ばしたまま腰から前に倒す。倒したまま2秒静止し、3秒目から上体を起こして。
Q あて名の裏面の正しい書き方は?
A 差出人住所の位置は中央より右!
人の住所は、中央よりも右に、名前は左に。封をしたら中央部に「〆」を。日付もあると親切。
Q お酌を断ってもいいの?
A 後輩相手なら断らないのも教育
お酌は必ずしもしてもらわなければならないものではないけれど、特に新入社員相手なら断らないこともマナー。社外の飲み会ではお酌をしなければならない場所もあるので、後輩教育だと思って受けておこう。また、その場に自分より目上の人がいる場合も断らないこと。
Q 会社で出されたお茶、いつごろ飲めば…?
A すすめられたら or 担当者が飲んだら
飲んでもいいのか判断に困るという人もいるけれど、もちろん飲んでもOK! ただし、上司が同行している場合は上司より先に飲むとマナー違反なので注意。
Q 有給で行った旅行のお土産、誰まで買うのがマナー?
A 買う範囲にマナーはない! ただし渡さない人には見えない場所で配ること
職場の慣習に習うのがベスト。先輩にどこまで買えばいいか確認するのが手っ取り早い。「あの人はもらったのに私はもらっていない」というゴタゴタを極力避けるため、お土産を渡さない相手からは見えない場所で渡すのはマナーかも。
Q 付せん紙で上司にメモを残すとき、なにかマナーはある?
A 単語にせずでずます調で。目につく場所に貼る
いくら簡単なメモといっても、丁寧さに欠けるものはNG。「おつかれさまです」というひと言や敬語を忘れずに。また、目につく場所に貼り、その後見てもらえたかどうかもきちんと確認するべき。
Q 明らかに接待される側。財布って出したほうがいい?
A 一応出しておけば間違いない!
明らかな接待の場合は出さなくても問題ないけれど、迷うなら出しておくと安心。相手がいいと言ったらすぐに引いて「ごちそうさまです。ありがとうございました」とお礼を言えばOK。もちろん「出してもらって当たり前」という態度は禁物。
Q 仕事のミスの謝り方のマナーを再確認したい!
A 自分のミスは迅速、丁重に。後輩のミスは、自分の責任だと謝る
自分のミスの場合は、速やかに丁寧に謝り、絶対に誰かのせいにしないこと。もし、何か言いたいことがあるならば、「言い訳に聞こえるかもしれませんが」というクッション言葉をつけてから。後輩のミスの場合は、本人だけではどうしようもなくなった場合に相手にお詫びを。「上司の××です。私の指導の不徳のいたすところで」「今後も指導をしてまいります」と、自分の責任だとしっかり伝えて謝罪しよう。謝罪に行く際は、ミスをした後輩も同席させること。
Q 乾杯のとき、グラスの下げ合い合戦になることが…
A 「恐れ入ります」と添えてそのまま乾杯
とりあえず1回下げてみて、相手がさらに下げるようならひと言添えてそのまま乾杯してOK! そもそも目上の人がグラスを下げることがマナー違反。自分の立場を考えながら乾杯しよう。
Q 上司が間違っているときの指摘の仕方は?
A 「相手が正しいかもしれない」を前提に
上司のミスや不注意を指摘するのは難しい。話し始める際に「私が間違っているかもしれませんが」と言っておくと、角が立たない!それでもダメな場合は「先日確認した際は〜でしたが、なにか状況が変わりましたでしょうか?」と、聞いてみる。「相手が悪い」と断定しない言い方をしよう。
Q ドアのノックの回数は?
A 3回!
日本のビジネスシーンでは3回にしておくのがベター。また、自分の会社でお客さまをご案内している状況ならばドアの開け方にも注意。「ドアを開けるときはドアとともに動く」「あいている手でドアを押さえる」「あいている手で室内を指し、“どうぞ”と声をかけてお客さまを誘導する」が基本動作。
Q 肩書で呼ぶのってアリ?(社内の場合・社外の場合)
A ○○部長ならセーフ!
社外の相手は「部長の○○さま」と呼ぶのが正しいけれど、いちいち長くなると感じたときは名前+役職で。部長も課長もたくさんいるので、名前をつけるのはマスト。
正しいビジネスマナーとは?
「マナーに過敏になり、細かいことを気にしすぎている人が多いと感じます。マナーとは思いやりの心。マニュアルではありません。“マナーどおりにしなければならない”ととらわれ、ストレスを増やさないでくださいね。ここに書いてあることは“思いやりのかたち”として、知っておくだけで充分。現場は、マナー本や雑誌に書いてあるとおりではありません。その場その場で相手の立場に立って考え、相手が気持ちよくいられるよう配慮すれば大丈夫ですよ。マナーを気にしすぎないように!」(西出さん)
イラスト/長谷川ちひろ 取材・原文/東 美希 構成/倉田明恵〈BAILA〉 監修/西出ひろ子 ※BAILA2019年12月号掲載