スーパーバイラーズの新連載がスタート。得意な部活動に分かれて、毎月活動報告をしていきます! 今回は読書部がおすすめする今月の1冊『往復書簡 初恋と不倫』をご紹介。
太田 冴さん (ライター・ 32 歳)
脚本家・坂元裕二が作り出す胸に迫りくる会話劇『往復書簡 初恋と不倫』
今回は、最近読んだ小説の中でも特にグッときた『往復書簡 初恋と不倫』をご紹介します。
この小説、脚本家の坂元裕二さんが執筆された作品。坂元裕二さんといえば「カルテット」「最高の離婚」、最近では「大豆田とわ子と三人の元夫」など数々の名作ドラマの脚本を書かれています。
物語は登場人物二人のやりとりのみで繰り広げられます。しかも、直接の会話ではなく、手紙やメールのやりとり。つまり、「往復書簡」の形式で進んでいく。それにものすごく引き込まれて、いつの間にか二人の世界にどっぷりとつかってしまいます。
二つの物語で構成されているのですが、タイトルの「初恋」「不倫」という言葉から連想するような物語ではありません。いわゆる恋愛小説にありがちな胸の高鳴りとはまったく異なる感覚を味わえます。
どちらもいわゆる「恋愛もの」ではすくい切れない、複雑で繊細で、でも誰の心の中にもある感情を拾ってくれる、胸に迫りくる小説です。あっと驚く展開も待ち受けているので、ぜひこの世界観を味わってみてください。
『往復書簡 初恋と不倫」坂元裕二 リトル・モア 1760円
二人の男女のメールと手紙のやりとりのみで構成される奇異な恋愛模様。「不帰の初恋、海老名SA」と「カラシニコフ不倫海峡」の2篇。