チームリーダーとして一歩を踏み出した先輩をクローズアップする人気連載。今回は、子育ての経験を糧にしながら、自分らしい働き方と向き合ってきた株式会社オリエンタルランドの伊藤奈津子さんにフォーカス。
緩急をつけた働き方が、後輩に示したい理想の姿だった

株式会社オリエンタルランド フード商品開発本部 商品開発部 イベント・レギュラー商品グループ マネージャー
伊藤奈津子さん

東京ディズニーランドと東京ディズニーシーで販売するカチューシャ、ぬいぐるみ、雑貨などのグッズを扱う商品開発部のマネージャーになって1年。当初は全力で臨まなければと肩に力が入りすぎ、細かい内容まで把握しようと意気込んでいました。ところがメンバーのみんなから「頑張りすぎじゃないですか?」と心配されてしまって……。
私の役割は、メンバーから相談されたときにしっかり向き合い、解決策を示すこと。マネージャーになったからといって力みすぎて仕事をするのは、あとに続く後輩たちに示したい、理想のマネージャー像ではありません。
それからは、「メンバーを信じて任せる」「課題解決には一緒に取り組む」という、関わり方に緩急をつけて仕事をするよう心がけています。これからも、自分らしいマネジメント・スタイルを見つけていきたいです。
伊藤さんのHISTORY
23歳~26歳:現職の準備期
23歳【2008年】
株式会社オリエンタルランドに入社、商品開発部に配属
26歳【2011年】
スポンサーマーケティングアライアンス部で法人営業を担当
30歳【2015年】
同部でリーダーアドバイザーに就任
39歳~40歳:がむしゃら期
39歳【2024年】
マネージャー試験を受ける
40歳【2025年】
商品開発部へ異動、マネージャーに就任
40歳~:整え期
Q 今の会社に入社したきっかけは?
思い出に携わる仕事がしたかった
業界的にはブライダルやエンターテインメントを志望していました。弊社の場合は、幼少期はもちろん、学生期や大人になってから、さらに家族ができたタイミングなど、様々な場面で皆さんの思い出づくりに携わることができる。そこにとても魅力を感じました。
Q ズバリ、体力はある? ない?
多分、あるほうだと思います
運動部出身なので“もうひと踏ん張り”はできると思います。でも最近は一度風邪をひくと治りづらかったり、疲れが抜けづらくて。そんな日は、子どもたちにも伝えてみんなで早く寝るようにしています。まずは自分自身が元気でいることが大切ですね。
Q 30代でしてよかったことは?
環境変化に向き合ったこと
子どもが生まれたり、コロナ禍を経験したりと環境変化が大きかった30代ですが、そのたびに自分がどう変わればやり遂げられるか、精一杯考えて向き合ってきました。その経験が今につながっています。やっておけばよかったことは英語。今はアプリで少しずつ勉強中です。
ある一日のスケジュール
9:30 出社
10:00 開発中の商品についてメンバーと相談
11:00 部内のマネージャーとMTG
12:00 ランチ
13:00 サンプルチェック
14:00 取引先との商談
15:00 商品開発部全体の部会
18:00 退勤
19:00 子どもの迎えへ。帰宅後は夕食準備など
22:00 就寝
商品の確認なども多いため、メンバーと商品を手にとりながら話ができるよう出社が基本。夫が単身赴任中のため、仕事が遅くなるときは近くに住む両親に子どもの送迎や夕食のサポートをしてもらい、保育園や学童の延長サービスを利用することも。平日は帰宅してからが第二ラウンドで、食事やお風呂、宿題の確認など、子どもたちと向き合う時間。金曜日の夜は夕食後に子どもたちとおやつパーティを開催。のんびり話をする時間がリフレッシュに。
仕事のマストアイテム

1 ToDoリストや会議メモ、頭の整理をするためのツールとして必須のノートとペン。
2 東京ディズニーシー25周年を記念したカプセルトイ。
3 同じく25周年のジュビリーバッジ&リボン。アニバーサリーに携われることも、仕事のモチベーションのひとつになっている。
オフの日の過ごし方

オリエンタルランドの社員はプライベートでもパーク愛が強いそうで、伊藤さんも1年に2〜3回、家族で東京ディズニーランドや東京ディズニーシーを訪れるとか。子どもの身長が伸びるごとに楽しめるアトラクションの幅も広がるため、成長を感じるきっかけに。
“今”なのか悩んだマネージャー試験への挑戦

オリエンタルランドの商品開発部でマネージャーを務める伊藤さん。スポンサーマーケティングアライアンス部でキャリアを積んだのち、入社後すぐに配属された商品開発部に、14年ぶりの復帰を果たした。「入社して3年という短い期間ではありましたが、自分が企画した商品をゲストの方が手にとる姿を間近で見られる商品開発の仕事は、非常に楽しかった思い出がありました。『いつかまた貢献できたら』という気持ちを持っていたので、当時使っていた資料やハンコなどをひそかに大切に保管していたんです。マネージャーになるタイミングで戻ることができたのは、個人的にとても嬉しい驚きでした」
マネージャー試験に挑んだのは、前の部署の上司から今後のキャリアについて問われたことがきっかけ。とはいえ二人の子育てをしながらの挑戦は、すぐに決断できることではなかった。「そもそも自分にマネージャーの素養があるのか何度も自問自答しましたし、夫が単身赴任中だったため、子育てとの両立も不安。“今”なのか非常に悩みました。とはいえ、今後、万全の体制でチャレンジしようと思えるタイミングが果たして来るのか。約20年間は非常に楽しくやりがいのある仕事をさせていただいたので、次の20年は、若手のみんなが『子育てをしながらでもキャリアアップできるんだ』と思ってもらえる、ひとつの選択肢になれたらと思いました。直近でファンタジースプリングスの開業における施策のリーダーをやり遂げたことも自信となり試験を受けることを決意したんです」
背中を押してくれたのは、同じく子育てをしながらマネージャーの仕事を任されている別部署の先輩。「仕事も子育ても中途半端になるのではないかというジレンマがありましたが、『周囲と協力しながら時間の使い方も工夫することで乗り越えられるよ』とアドバイスをもらいました。マネージャーという役割の楽しさ、やりがいの多さも聞いて、とても勇気づけられました。私も、自分のライフスタイルはありながらも、自分らしい働き方を模索してみようと思えたんです」
誰も置いていかないボトムアップ型マネジメント
伊藤さんのマネジメント・スタイルは、ボトムアップ型。メンバー全員の理解度の確認など、丁寧な声かけで誰も置いていかないことを意識している。
「前に出て引っぱるというよりも、みんなが同じ目線で目標に向かって仕事ができるようにコミュニケーションをとり、引き上げるタイプ。『ありがとう』や『大丈夫?』といった声かけは大切にしています。ちょっとお節介なお母さんぽいところがあるかもしれません(笑)」
マネージャーになる上で懸念材料だった子育てとの両立も、実際にはプラスに働く場面があるのだとか。
「こちらから『これをしなさい』と指示するのではなく、どうしたいか意見を聞きながら、やりたいことにチャレンジできるようサポートするスタイルは子育ての経験が生きていると思います。子育てと仕事はメンバーや家族、周囲に支えられてなんとか両立しています」
新しい挑戦は誰だって勇気のいること。それでも一歩踏み出した伊藤さんの目には、以前と違う景色が見えている。「メンバーが試行錯誤しながら形にした商品を、パーク内や日常の中で楽しんでいらっしゃる方を見るととても嬉しくやりがいを感じます。まだまだ四苦八苦することはありますが、マネージャーになってよかったと思っています。これからも課題の解決など大事な部分にはしっかり関わりながら、任せるところは任せる緩急のあるマネジメントを意識していきたい。そして何より、親近感を持って相談してもらえる存在でいられるよう、メンバーのみんなに寄り添っていきたいと思っています」
撮影/田中 瞳 ヘア&メイク/山口春菜 取材・原文/松山 梢 ©Disney ※BAILA2026年6月号掲載

BAILA編集部
30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。
















































