自分らしく働く魅力的なリーダーにクローズアップ。自ら立ち上げた新規事業を主導しながら、別事業のリーダーたちも取りまとめている、ライオン株式会社の松井茜さん。悔しさをバネに突き進むパワフルなリーダー像とは。
チーム全体が同じ方向を向くために気持ちのつながりを大切に

ライオン株式会社 ビジネス開発センター統括部 ビジネスインキュベーション室 室長
松井茜さん
41歳、静岡県出身。11年間「NANOX」や「アクロン」のマーケティングを担当後、「多くの人に愛されるマス向け商品の次は、困りごとを抱える一人のために仕事をしたい」との考えから、新規事業を提案。プライベートでは1児の母。

松井さんのHISTORY
| 22歳【2006年】 | ライオン株式会社に入社 |
| 25歳【2009年】 | ファブリックケア事業部(当時)へ異動し |
| リーダーになった 36歳【2020年】 |
|
| 37歳【2021年】 | 夕飯テイクアウトサービスをローンチ |
| 39歳【2023年】 | 社内の新価値創造プログラムで採用された |
| 41歳【2025年】 | 「inqüto(インキュット)」発売 |
Q ある一日のスケジュールは?
| 7:00 | 起床 |
| 8:30 | 在宅勤務開始 |
| 12:00 | 出社 |
| 13:30 | 研究所に移動し、研究メンバーと打ち合わせ |
| 15:00 | 帰社 |
| 17:00 | 退勤 |
| 19:00 | 帰宅後、子どもと食事 |
| 20:00 | 近所を散歩 |
| 23:00 | 就寝 |
出社は週に1〜2回ほど。研究員と顔を合わせて打ち合わせをするため、本社とは別の場所にある研究所に足を運ぶことも。毎日夕食後に1時間、夜風を浴びながらのウォーキングが日課。「仕事が趣味」の松井さんが唯一、何も考えずに過ごすリラックス時間。1日1万歩が目標。
Q 仕事のマストアイテムは?

1 「LIPGUARDIAN」のグロウラッピングティントを愛用中。
2 作業中やウォーキング時にポッドキャストやニュースを聞くためのイヤホン。周囲の音も拾えるイヤーカフ型がお気に入り。
3 化粧品を入れるポーチは、大好きなキャラのポチャッコ。
Q 30代でしてよかったことは?
やりたいと思った仕事にすべて挑戦したこと
Q 30代でやっておけばよかったことは?
プライベートで熱中できる趣味探し
Q 仕事をする上で大切にしている言葉は?
“夢中”は努力を超える
Q オフの日の過ごし方は?

辛いもの&ビールのセットを満喫!
自分の過去の悔しい経験を、メンバーに生かしてもらいたい

部署のマネジメントとプロジェクトリーダーを兼任
9月10日に発売した「inquto口内美顔器VRインナーリフト」は、「お口の中から美容」という新たな習慣づくりを提案するライオン株式会社の新規事業。プロジェクトリーダーとして企画開発を主導した松井茜さんは、ビジネスインキュベーション室の室長も兼任している。
「ビジネスインキュベーション室とは、毎年社内で募集が行われる新価値創造プログラムで採択された新規事業と、そのプロジェクトの担当者が集まる組織です。私が新規事業に携わるのは『inqüto』で二度目。一度目は夕飯テイクアウトサービス事業で、2021年にローンチしましたが3年の検証ののちに事業を終了することになりました。そのときの悔しい思いを含め、社内での話の通し方や仲間の集め方などの経験を、各プロジェクトリーダーに生かしてもらえるようアドバイスしています」
室長としてのマネジメント業務は全体の3割ほど。現在は多くの時間を、発売間もない「inqüto」に費やしている。
「『お口の中から美容』という着眼点は、2018年にクラウドファンディングで発売した美顔器『VISOURIRE(ヴィスリール)』がベースとなっています。当時一部のお客さまからはご支持をいただけたのですが、マーケティング戦略のシナリオをうまく描くことができず、一般発売に進むことができませんでした。プロジェクト終了を残念に感じていた社員が私以外にもいたため、もう一度『お口の中から美容』という着眼点を掘り起こしてみようと、ボトムアップで今回のプロジェクトを立ち上げました。過去のマーケティングの経験を生かし、電池式から充電式にアップデート。お風呂で使えるよう防水性能を搭載するなど、機能面の改良を行いました」
メンバーは「口腔」「皮膚」「習慣化」に関する3人の研究員をキーパーソンに、マーケティング担当など各ジャンルの中堅社員が参加。松井さんを含めた全員がほかの業務との兼任のため、メンバーの気持ちをつなぐための努力も怠らない。
「基本的には『参画したい』と集まってくれたメンバーなので、めちゃくちゃ熱い絆があると自負しています。とはいえ、だんだんと関わる人が増えていくなかで、それぞれの考えを素直に言い合えるよう、否定をしない環境づくりを心がけています。新規事業は予算が限られているのですべての意見を実現することは不可能ですが、たまに突拍子もないアイディアが生まれるのも楽しいじゃないですか。みんなが投稿できる共有のワークスペースを作り、“いつかトライしてみたいアイディア”も積極的に出し合えるようにしています」
一歩踏み出した過去の自分に感謝しています
初めて手がけた事業をクロージングするという悔しい経験を経てもなお、果敢に新たな事業に挑戦し続ける松井さん。そのモチベーションの源は?
「前例があることよりも自分のオリジナリティを出した仕事をしたいという、目立ちたがり屋の性格があるかもしれません(笑)。これまでのキャリアを振り返ると、失敗も多かったけれど後悔はないんです。それは楽しいと思える場所に身を置くために、常に自分で仕事を取りに行く挑戦をしてきたから。一度目の新規事業を提案したときは子育てが大変な時期でしたが、勇気を出して一歩踏み出したあのときの自分にすごく感謝しているんです。おかげで今の仲間に出会えたし、リーダーとして常にワクワクしながら仕事ができている。チームには素晴らしい発想を持つZ世代のメンバーもいるので、いつか彼女たちがリーダーになって活躍する姿を見るのが楽しみです」
撮影/田中 瞳 ヘア&メイク/小澤 桜〈MAKEUPBOX〉 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2026年1月号掲載

BAILA編集部
30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。
























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