自分らしく働く魅力的なリーダーにクローズアップ。今回は、責任とプレッシャーをポジティブにとらえ、金融業界で活躍する、東京海上アセットマネジメント株式会社 常 暁冬(チャン シャオトン)さんの働き方に迫ります。
自分の意思で仕事を進められるのは管理職のメリット

東京海上アセットマネジメント株式会社 マルチマネージャー運用部 プライベートエクイティ運用グループ シニアファンドマネージャー
常 暁冬(チャン シャオトン)
40歳。中国・瀋陽(シェンヤン)市出身。高校卒業後に来日。企業価値評価を専門とする大学のゼミに所属し金融業界を志す。テクノロジー企業に投資する機会も多いため、理解を深めるために大学院でも学んだ。プライベートでは9歳と7歳の母。

常さんのHISTORY
24歳【2009年】 | 証券会社に入社し、 |
26歳【2011年】 | 東京海上アセットマネジメント株式会社に入社 |
28歳【2013年】 | ファンドマネージャーに昇格 |
35歳【2020年】 | 育児休業中に米国の大学院に入学 |
38歳【2023年】 | 米国の大学院を卒業 |
リーダーになった 39歳【2024年】 | |
40歳【2025年】 | シニアファンドマネージャーを務めながら |
Q ある一日のスケジュールは?
8:30 | 出社 |
10:00 | チームメンバーとミーティング |
11:00 | 空いた時間で |
11:30 | お昼休憩は |
12:30 | 投資先ファンドとの |
14:30 | アドバイザリーボードに参加 |
16:00 | チームミーティングや資料作成 |
18:00 | 帰宅 |
20:00 | 子どもの就寝後、資料作成など集中して |
21:00 | 業務終了 |
午前中は社内、午後は海外から来た投資先ファンドなどとのミーティングに参加。ランチはなるべく他部署の人たちと情報交換を。子育てと仕事を両立する秘訣は、すべてを完璧にこなそうと思わないこと。掃除や料理は外注するなど、子どもと一緒に過ごす時間を何より大切にしている。
Q 仕事のマストアイテムは?

1・2 乾燥肌のため、仕事中も保湿スプレーやリップクリームで潤いをチャージ。
3 その日のToDoリストや人と会ったときのメモ、考え事などはノートに書くのがこだわり。手で文字を書くことで内容がしっかり頭に入り整理できるそう。
Q 30代でしてよかったことは?
投資(資産運用&資格取得などの勉強)
Q 30代でやっておけばよかったことは?
体を鍛えること
Q 仕事をする上で大切にしている言葉は?
用意周到
Q オフの日の過ごし方は?

年に数回、家族で旅行へ
会社が与えてくれた機会は、思い切ってチャレンジしていい!

管理職になってから責任を担う場面が増えた
資産運用会社の東京海上アセットマネジメント株式会社で働く常さん。シニアファンドマネージャーとして、主に未上場企業へ投資するプライベートエクイティ ファンドの投資一任業務に従事している。
「39歳で管理職に就きましたが、なんでも挑戦をしてみたい性格なので当時からマネジメントにハードルを感じることはありませんでした。うまくいかなければそのときに原因を考えればいいですし、周りの力を借りる選択肢もありますよね。会社が与えてくれた機会は、思い切ってチャレンジしていいと思います」
ファンドマネージャーとしての日々の業務は、管理職になってからも大きく変わらなかったものの、周囲からの期待値や責任が増したことは確か。
「普段は投資するファンドの選別や担当する約30のファンドのモニタリング、価値やリスクの分析・調査、顧客に向けたレポーティング業務を行っています。管理職になってからはさらに、先輩が担当していた顧客への報告をメインスピーカーとして任されたり、受託した資産の金額やパフォーマンスが人事評価の半分以上に影響するなど、これまでよりも責任を担う場面が増えました。それでも、上司の承認を待つことなく自分で意思決定してプロジェクトを進められるようになったことは大きなメリット。管理職の魅力や楽しみのひとつだととらえています」
やりがいを感じるのは、投資家から評価されて運用を任せられたとき。そして運用しているファンドが高いリターンを上げたとき。巨額の資金を運用するプレッシャーは相当大きいだろうと想像するものの、本人は「数字で結果がわかるものが好きなんです」と、からりと笑う。
「就職活動中はほかの業種も候補にしていましたが、金融ほど自分の判断がパフォーマンスに影響する業種はありません。うまくいくことばかりではありませんが、結果が数字で明確にわかる金融の仕事は、私の性格に合っていると思います」
働く女性としての道を示してくれたメンター
軽々と仕事をこなす自信にあふれたスーパーウーマンに思えるけれど、実は常さんにもコンプレックスが。
「大事な日の前は眠れなくなるほど、しっかり準備をしないと不安になります。ミーティングやプレゼンの前は一人で会議室に引きこもって話す練習をしますし、うまくいかなかった場合のプランBをどうするのかなど、色々と考えてしまいます。子どもとの外出も、おもちゃで飽きたときのためのスケッチブックと色鉛筆、それでも時間をつぶせなかったときのための絵本など、いつもたくさんの荷物を持って出かけることに。余裕がある人に憧れますが、これが自分の性格だと思って仕方なく受け入れています(笑)」
親しみやすい柔和な雰囲気と、頼りがいを感じる明快な語り口が印象的。現在はメンターとして若手社員のサポートを担うなど、人材育成や採用活動にも積極的に関わっている。常さんにも未来の働き方を思い描く上で大きく影響したロールモデルがいるという。
「債券のグループリーダーとして働く女性の先輩が、私の新人時代のメンターでした。金融の仕事は、その忙しさから管理職になる前に離職してしまう女性が多いのも事実。女性管理職として活躍する彼女は仕事ができるだけでなく、いつも謙虚で明るく、仕事を楽しむ姿勢を自然と持っていました。当時はまだ珍しかった女性管理職の先輩の姿を間近で見て『私も管理職としてずっと働いていけるかも』という希望を抱くことができました。自分もそんな存在になれたらいいなと思います」
撮影/木村 敦〈Ajoite〉 ヘア&メイク/小澤 桜〈MAKEUPBOX〉 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2025年7月号掲載