より自分らしく輝くために、働き方を選択できる時代。連載第12回は、株式会社バンダイ ベンダー事業部企画で働く松本 蘭さんにクローズアップ。旺盛な好奇心を武器に、12年のキャリアで4度の異動を経験してきた松本さん。「面白そう!」を追求した幸せな働き方とは。
自由な社風だから、失敗を恐れずにチャレンジできる!

株式会社バンダイ ベンダー事業部企画・開発第一チーム
松本 蘭さん
大阪府出身、35歳。写真や映画、音楽、読書など趣味が豊富。中でもカメラ歴は約10年の腕前で、商品のディスプレイ撮影の構図やライティング考案などに役立てている。

「『誰かに喜んでもらえる商品をつくりたい』。
その思いで商品開発を希望した私にとって、担当したガシャポンを目の前でお客さまが楽しそうに購入してくださっている様子や、実際に身につけていらっしゃるところを見ることは何よりの喜びです。
キャラクター商品のほか、企業とのコラボ商品も担当していて、SNSで大きな話題になった商品もありました。
一人で年間40〜50商品ほど企画するので常にアイディアを探している状態。大変ですが、前向きなリアクションを見るとすごくやりがいを感じます。
絵本やSNS発の人気キャラクターだけでなくゼロから自分で考案した作品も提案できるので、いつかオリジナルのキャラクターを世に出すことが目標です」
HISTORY
2012 | 株式会社バンダイに入社 |
2014 | グループ会社・株式会社キャラ研へ出向 |
2017 | 株式会社バンダイに帰任 |
2019 | トイ事業部企画2チームに異動 |
2022〜現在 | ベンダー事業部企画・開発第一チームにてオリジナルのカプセルトイブランド「ガシャポン」の企画開発を担当 |
2〜3年で新しいことにチャレンジしたくなる
月間約100種以上ものガシャポンをリリースしている株式会社バンダイのベンダー事業部で、企画開発を担っている松本さん。新卒入社以来、営業やマーケティングなど5つの部署で様々な業務に携わってきた経歴が。その多彩なキャリアは、「ジョブローテーション制度」を利用して切り拓いてきたものだという。
「興味関心が次々に広がっていく性分なので、2〜3年業務に携わると新しいことに挑戦したくなってしまうんです。様々な部署に異動希望を提出することができるジョブローテーションは、私にとってありがたい制度です。3年前までは未就学児向けのおもちゃの企画開発をするトイ事業部に在籍していましたが、商品の開発スパンが長くコストもかかるため、在籍中に担当した商品はあまり多くありませんでした。『もっとたくさんの商品を企画してみたい』と思い、開発スパンが短く商品数も多い、ガシャポンを扱う今の部署に異動を希望したんです」
現在は企業とのコラボ商品も手がけているため、ライセンスを持つメーカーと取り引きする機会も多いそう。
「入社3年目で異動したグループ会社の『株式会社キャラ研』では『くまのがっこう』の版権を持っていたため、ライセンスを許諾する業務を担当した経験があります。版権元様に許諾をいただく現在の部署と反対の視点を学べた経験は、今の業務に確実に生きています。私のほかにも、社内には様々な部署を経験したメンバーが多く、人の流れがすごく活発だと思います」
バンダイの社風はズバリ「自由」。「オフィスカジュアルどころじゃない服装の人もいっぱいいます」と笑う松本さんが、最も魅力を感じているのが「失敗を恐れずにチャレンジできるムード」。
「企画開発として初めて商品を担当したのが、トイ事業部時代に手がけた子ども向けの楽器のおもちゃでした。もともと自分が楽器の経験者だったこともあり、ものすごく熱が入ってしまって。欲しい機能を詰め込みすぎたらかなり高価格になってしまったんです。営業から『高いのでは?』との意見も出ましたが、最終的には思いどおりの商品を出させてもらいました。ところが販売がそこまで振るわず……。とても反省しましたが、『次また新しいものをどんどん考えよう』と、周囲が前向きに捉えてくれたことは本当にありがたかったです」
社内の面白そうな仕事をやりつくしたい
幼少期から絵を描いたり文章を書くことが好きだった彼女の目標は、オリジナルのコンテンツを制作すること。ものづくりに携わるため、何度か別の業界への転職を考えたこともあったそう。
「バンダイナムコグループではビジネスが多岐にわたっているので、おもちゃだけでなくアパレルやゲームなど、経験したことのないジャンルも多くあります。転職するよりもまず、ジョブローテーション制度を活用して社内の面白そうな仕事をやりつくしたいと思ったんです。異動すると転職レベルで業務内容が変わりますし、ネットワークもどんどん広がっていく。社内にいながら様々なチャレンジができる今の環境はすごく魅力的です」

©BANDAI ©BANDAI/LLP
ある日のスケジュール
8:00 | 業務開始 |
10:00 | 社内会議に参加 |
11:00 | 版権元との打ち合わせのため外出 |
12:00 | 打ち合わせ終わりに、版権元の担当者とランチ |
13:30 | グループ会社のオフィスでオンライン会議に参加 |
15:00 | 版権元との打ち合わせ |
16:00 | 社外でテレワーク |
18:00 | 業務終了 |
18:30 | 同僚とスポーツ観戦へ |
在宅勤務は週1回。普段は浅草のオフィスで業務に当たっているものの、打ち合わせの場所によっては田町にあるグループ会社を合間に利用することも。現在は「くまのがっこう」などファンシー系キャラクターをはじめ、SNS発の人気キャラクターを多数担当している
ON

ひとつの商品の企画から発売までにかかる時間は6〜8カ月。毎月4〜5商品を担当している。カプセルに入る小さいサイズの商品を扱っているため、試作品の厚みや大きさをミリ単位で確認するのが日常に
OFF

休日はミラーレス一眼カメラを片手に旅行や散歩へ。子どもの頃にクラシックピアノの経験があり、2024年からはジャズピアノにも挑戦。音楽理論から勉強している。いつかジャズセッションに参加するのが目標
仕事のマストアイテム

1 商品の厚さや大きさを測る自前のノギス
2 地球からロケットが発射しているデザインのメジャーは、宇宙の展覧会で見つけてひと目ぼれ
3 会社で朝と昼に1回ずつ、ミルで豆を挽いてコーヒーを淹れるこだわりが。手間と時間をかけることで思考を整理できている
株式会社バンダイの「ジョブローテーション制度」とは?
年に一度、キャリアプランシートで異動希望を提出できる。異動希望先は社内の部署だけでなくグループ会社を選択することも可能。部署異動のみならず職種(営業職→企画開発職など)を変更することができるのも大きな特徴。個人のキャリアアップをかなえる目的はもちろん、社内の人材交流や情報交換の活発化にもつながっている。
撮影/財津裕也 ヘア&メイク/小澤 桜〈MAKEUPBOX〉 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2025年2・3月合併号掲載