自分らしく働くリーダーたちをクローズアップする新連載がスタート。後輩を率いる立場になり得30代に向けて、キャリアを築くヒントをお届け。今回は株式会社ディー・エヌ・エーで働く瀬志本藍さんをご紹介します
70歳になってもプレイングマネージャーでいたい

株式会社ディー・エヌ・エー スポーツ・スマートシティ事業本部 横浜拠点開発室 副室長
瀬志本藍さん
41歳、埼玉県出身。大学時代から“居場所づくり”に興味を持ち不動産業界へ。自分が手がけた商業施設が、周囲の人たちの思い出の場所になっていくことが何よりのやりがいに。

HISTORY
22歳【2006年】 | 大手不動産会社に新卒入社 |
リーダーになった 35歳【2019年】 | |
38歳【2022年】 | 株式会社ディー・エヌ・エーに入社 |
リーダーになった 39歳【2023年】 | |
40歳【2024年】 | 横浜拠点開発室の副室長に就任 |
Q ある一日のスケジュールは?
7:00 | 起床 |
8:00 | 子どもを保育園に送る |
9:30 | 横浜オフィスに出社 |
12:00 | オフィス内で同僚とランチ |
13:00 | 内装デザイナーと打ち合わせ |
16:00 | 工事中の現地に足を運び、進捗確認 |
18:00 | 業務終了 |
午前中は社内、午後は社外との打ち合わせや会議に奔走。残業はほとんどせず、週の半分はチームメンバーや前職の後輩、ママ友たちとごはんへ。話題のスポットや飲食店に足を運ぶことも商業施設開発に直結する大事なこと。リフレッシュにもトレンドの情報収集にも役立っている。
Q 仕事のマストアイテムは?

1 娘からもらったメッセージカードをカバンに忍ばせておき、たまに見ては元気をチャージ。
2 リモートの打ち合わせが多いため、ワイヤレスイヤホンは必須。
3 海外出張時には、ホテルでリラックスするためにペーパーフレグランスを愛用。
Q 30代でしてよかったことは?
転職
Q 30代でやっておけばよかったことは?
筋トレや健康維持
Q 仕事をする上で大切にしている言葉は?
目の前の仕事は最後までやり切る!
Q オフの日の過ごし方は?

6歳の娘と一緒に遊ぶ
プレイングマネージャーが、私にとっていちばんベストな働き方だった

管理職になることに魅力を感じられず、38歳で転職を決意
2026年春に開業予定の「BASEGATE横浜関内」は、横浜スタジアムに隣接する建設中の大型複合施設。ヘルメットをかぶって行き交うスタッフたちに次々と話しかけていたのが、この事業に関わるDeNA(ディー・エヌ・エー)の横浜拠点開発室で副室長を務める瀬志本藍さん。「誰も私を管理職だと思っていないかも」と笑う、気さくな人柄が魅力だ。16年間、大手不動産会社で商業施設開発に携わってきた彼女に転機が訪れたのは、38歳のときだった。
「前職でもチームを率いるプロジェクトリーダーを任されていましたが、一定の年次になれば管理職側になって、マネージメントが中心になる未来が見えていました。自分が手を動かすというより、後輩を育てるなどみんなをモチベートするのが管理職の醍醐味だと思いますが、私はそこがメインになることに魅力をあまり感じられなくて。プレイヤーとして何かを生み出し続けたいという気持ちがすごく強かったんです」
そんなときにDeNAが街づくりに力を入れていることを知り、転職を決意した。
「前の会社にもすごく愛着がありましたし、業務自体にはやりがいを感じていました。ただ、DeNAはちょっと特殊というか。役職に関係なくフラットに働ける社風だと聞き、これまでのキャリアを生かす最適な場所だと思ったんです」
ゲームやスポーツなどエンターテインメント事業を多く手がけるIT企業への転職は、新鮮な発見も多かった。
「全員がプレイヤーとしてしっかり意見を持ってアウトプットできる人ばかりですし、縦割りではなく横並びで仕事をしている雰囲気が圧倒的な魅力だと感じました。私のチームはスペシャリストの集まりなので、得意な街づくりについては自分の力を発揮できますし、数字や資料づくりなど苦手なことは仲間に支えてもらえる。めちゃくちゃ働きやすいです」
管理職として心がけているのは、フラットなコミュニケーション。
「トレンドを敏感にキャッチすることが求められる集客施設の開発は、年齢が上の人の意見が必ずしも正解ではありません。若いメンバーの情報や視点も必要になってくるので、いろんな人と気兼ねなく話ができる環境を心がけています」
環境を変えたことでマネジメントへの意識も変化
持ち前の行動力でパワフルにキャリアを築いてきたように見えるけれど、38歳での転職は、瀬志本さんにとって「かなり勇気がいることだった」と振り返る。
「周りからも『え、なんで?』と言われましたね。ただ、キャリアを人任せにしたり、決められたレールに乗っているだけで自動的に面白いと思える仕事に出合えるわけではありません。管理職になりたいかなりたくないかを含めて、どんなキャリアを築きたいかを自分で考えて、周囲に発信することも大切だと思います」
かつては管理職に対してポジティブになれなかった彼女が、環境を変えたことで「ストレスなくマネジメントの仕事ができている」というから驚き。
「メンバーの業務の進捗管理や問題が起きたときの調整など、マネジメント業務が増えたのは事実ですが、街づくりに関する仕事なのでまったく苦じゃないんです。これまでと変わらずプレイヤーとしてアウトプットもしているので、プロジェクトに携われている実感もあります。経験値を生かしてみんなの困り事を解決することもできるし、頼ってもらえることが嬉しい。プレイングマネージャーであることが、私にとっていちばんやりがいのある働き方。60歳、70歳になってもずっと街づくりに携わっていたいです」
撮影/田中 瞳 ヘア&メイク/小澤 桜〈MAKEUPBOX〉 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2025年4月号掲載