ワイルドで熱く、やんちゃながらまじめでクール。岩田剛典という男は、ひとつでは形容できない。アーティストとして俳優として、その胸の内を探る。

色気をテーマに据え、ソロアーティスト・岩田剛典としての待望のニューシングル、『Phone Number』がリリースされる。
「レーベル移籍後第一弾ということもあってチームで話し合いながら作り上げたんですが、僕の新しい魅力を引き出したいと熱く語ってくれて。
今までは一人でジャッジしていたものを今回は料理してもらった感覚もあるし、“色気”というテーマも音楽で表現してこなかったので、新天地に行けたというか。ポップでジャジーなサウンドなんですが、歌唱のキー設定も大分上がったんですよね。自分の中にあった固定観念を取っ払うことで、新しい表現ができたと思っています」。
腹筋の割れた素肌がのぞく限定盤のジャケットにも、すでに注目が。自身の色気については、どう捉えているのだろう。
「色気って、なんなんですかね。男性で言えば何をやってきたか、かな。着実に経験を重ねている人はたたずまいや発言の重みも説得力も違うし、そこに色気を感じるのかも」。
女性の場合について尋ねると、「隙やギャップを感じたときかな。でも、色気って難しいですね」と、はにかんだ。

恋愛の過去は消さない
「ニューシングルの中に『まだ消せないPhone Number』っていう歌詞があるんですが、そういう感覚って男性のほうがあるんでしょうねきっと。と、言いながら僕はかなりさっぱりしていて執着もしないので、感傷に浸ったり電話番号どうしようって悩んだりもしないです。消さないかな、過去は」
結婚は…できるのか!?
「翌日がオフだとわかったら、いつも20年来の友人たちと集まってベロベロになるまで飲んでますね。仕事のときとはまったく違うってわかってくれてるのも気が楽で、完全に僕の居場所です。って、いつ結婚できるんだろう(笑)。今のところ予定もないし、ここ数年間本当に同じ事言ってるよなぁ」

絵を描くという自己表現
「コロナ禍に始めた絵を描く作業は、今も継続中。今日も撮影前に描こうかな?と思ったんですが、納期があるものでもないし、完全に趣味の一環ですね。とは言え、息抜きになったり自己表現のひとつになっているのも事実。ソロのCDジャケットに採用されたりと、自由にやらせてもらってます」
2025年も充実した1年に
「2月のニューシングルの発売をきっかけにソロアーティスト活動も再開するので、新たに生まれ変わった姿をぜひ楽しんでほしいですね。俳優業では今、放送中のドラマ『フォレスト』があり、結構重たい話なので涙なしには見られない日曜の夜になってるんじゃないかなと思っています」
世界に名を連ねたい
「ここ数年ルイ・ヴィトンのアンバサダーとして毎年パリコレに行かせてもらっているんですが、アジア各国のスターとコミュニケーションをとることで大きなインスピレーションを受けるんです。俳優として、ソロアーティストとして、ビルボードに自分の名前を連ねることが今の夢ですね」

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後輩たちに「こういう生き方もあるよ」って、新しい道を提示したかった

自分には何ができるのか。証明したくて、俳優業を開始
日本を代表する人気ダンス&ボーカルグループのEXILEと三代目 J SOUL BROHTERSにおいて、パフォーマーとして活動する岩田さん。確固たる地位を築きながらもそれだけにとどまらず、俳優としての活躍も話題だ。ただその出発点は、意外なことにコンプレックスからだったという。

「今35歳なんですが、グループとして活動しているときは青春を感じさせてもらっていて、なんて言うか仕事だけれど仕事じゃないような感覚なんです。多分それは、僕がパフォーマーだからなのかも。
デビュー当時からグループ内での役割は決まっていて、そこは揺るぎないものなんですよね。ボーカルはグループを背負う存在で、パフォーマーは言わば縁の下の力持ちといったポジション。その中でも、どう自分を認知してもらうかを軸に約14年活動してきたけれど、俳優業を始めようと思ったのは、まさにコンプレックスがあったからなんです。
貢献、って言葉はまじめすぎちゃうかもしれないけれど、自分はグループ内でも武器が少ないメンバーだと思っていたので、自分には何ができるのか、何かを成し遂げたい気持ちがあったんですよね。そうしないとほかのメンバーとの張り合いも生まれないというか。だから俳優業を始めたし、その撮影の現場で、ものすごく多くの人たちから『歌はやってないの?』って言われて。それがきっかけで、ソロアーティストの活動も始めることになったんです。
失敗も成功も全部自分で背負わなくちゃいけないけれど、挑戦したり戦ったりしながら、また違うベクトルで“仕事してる!”って実感しています。その上で自分に返ってくるものを、またグループ活動に還元できたらいいですよね」

さらに、自分のこの先の人生についても、冷静に見つめている。
「パフォーマーは体が資本。俳優は年齢とともに演じられる役柄に幅が生まれるけれど、これから先、年齢を重ねたら若いときと同じようには踊れなくなるのは事実だと思うんです。どこかで絶対にリミットが来てしまうということを10年前から意識しながら活動してきて。
一本道の美学もあるかもしれないけれど、今こうやって色々なお仕事をさせていただいていることは、後輩たちに新しい道を見せられた気がしています。自分でも俳優やソロ活動をしていなかったらどうなっていただろうとも考えるけど、人生をどう生きるのか、自分次第で変えていけると思っているので」

ソロアリーナツアーの成功が自分の心の大きな支えに
2月に発売になるニューシングル『Phone Number』に収録された『Get Down』と『MVP』の2曲は、岩田さん自身が作詞を担当した。そこには、怒りにも似たエモーションに満ちあふれた言葉が並ぶ。
「まさにそのとおりで、反骨心が自分のエネルギー源ですね。コンプレックスの裏返しというか、周りの庭を見て羨ましいと思う気持ちとかいまだにありますし。とは言え、2曲とも作詞した時期の自分の中にあった『なにクソ!』っていうメンタルがかなり反映されているかも。今は大分落ち着きましたけどね。それは多分、去年ソロアリーナツアーを成功させたことが大きいかな。正直、責任をすべて背負って、ソロアーティストとしてステージに立つのは気持ちよかったです。HIROさんも「すごいよ」って言ってくれたけど、ソロ活動する上でドームやアリーナツアーを絶対にするって決めていたんで、2年で実現できたことは心の大きな支えになりましたね」

人生をどう進んでいくのか。未来を変えるのは、自分次第だと思ってる

岩田剛典
いわた たかのり●1989年3月6日生まれ、愛知県出身。ダンス&ボーカルグループのEXILEと、三代目 J SOUL BROTHERSのパフォーマー。2022年にソロアー ティストとしてデビューしたほか、俳優としても活躍中。

New Single『Phone Number』
2月12日発売 通常盤¥1500、ほか5形態
ユニバーサル ミュージック
「リード曲の『Phone Number』は、僕の中で昭和歌謡的なムードを感じるんです」と、岩田さん。大人の恋愛模様を想起させる楽曲のほか、魂の叫びを感じる本人作詞の2曲までも楽しめる、まさに多面性あふれる一枚。
ジャケット¥520300・レザーベスト(参考商品)・花柄シャツ(参考商品)・パンツ¥220000・靴¥198000/すべてボッテガ・ヴェネタ ジャパン(ボッテガ ヴェネタ) アクセサリー/本人私物
撮影/ISAC〈SIGNO〉 ヘア&メイク/下川真矢〈BERYL〉 スタイリスト/渡辺康裕 取材・原文/森山和子 構成/渡辺敦子 ※BAILAhomme vol.4掲載
BAILAhommeは売り切れ次第終了!!
ネット書店で購入できます