韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラムです。
今回は、小学生時代に出会った親友でありライバルでもある2人の女性の、10~40代まで続く複雑な友情を描いた愛憎劇『ウンジュンとサンヨン』のあらすじや見どころを紹介します。
CONTENTS
1.『ウンジュンとサンヨン』作品概要
『ウンジュンとサンヨン』
全15話
出演:キム・ゴウン、パク・チヒョン、キム・ゴンウほか
Netflixシリーズ「ウンジュンとサンヨン」独占配信中
【あらすじ】
脚本家のウンジュン(キム・ゴウン)と、映画プロデューサーのサンヨン(パク・チヒョン)は、小学校時代から親友であり、ライバルだった。大人になるにつれ、疎遠になっていた2人だが、10年ぶりにウンジュンはサンヨンから呼び出される。成功したサンヨンに複雑な思いを抱くウンジュンは、しぶしぶ会いに行くのだが、彼女からある “頼みごと” をされ、困惑してしまい……。
2.大切な人との時間を幾重にも重ねていくストーリー
2025年も12月に入り、「今年も韓国ドラマをたくさん観たなぁ」という振り返りシーズンがやってきました。どの作品が印象深かったかを思い返してみると、比較的最近の作品ではあるのですが、今回取り上げる『ウンジュンとサンヨン』がしみじみ良くて……。
本作は、母子家庭で育ったウンジュン(キム・ゴウン)と、お金持ちの家に生まれ、才能あふれるサンヨン(パク・チヒョン)の、10代から40代までの友情と人生の軌跡を描いたヒューマンドラマ。「ヒューマンドラマって完走できたら感動するけど、脱落しないようにするのが大変なんだよね……」と、まるでマラソンの感想のようなイメージを持たれる方が多いと思うのですが、いい意味で裏切ってくれます!
といっても、超能力やタイムリープ、記憶喪失や財閥御曹司とのラブラインといった、ハラハラドキドキする展開やキュンキュンする場面は、ほぼゼロ。なんなら「めっちゃ悪人」すら出てこないのですが、その分、大切な人との時間を幾重にも重ねていくストーリーがありました。
誰しもが多かれ少なかれ経験する友だちとのケンカや疎遠になるエピソードや、過去を引きずったり、ささいなやり取りをキッカケにこじれていく友情を、10代、20~30代、40代の三部構成で、臨場感たっぷりに映し出しております。ライフステージごとに変化しながら、“憧れと嫉妬”や“近付いては離れる”を繰り返す、女友だちの絡み合う日常。
その、なんてことのない小さな心の揺れが、感情を揺さぶる大きな余韻へと変わっていき、ウンジュンの落ち着いたモノローグ・ボイスのトーンとあいまって、回を増すごとにじわ~じわ~としみ込みます。
(以下、ネタバレあります)

子供時代のウンジョン

子供時代のサンヨン
3.キム・ゴウンとパク・チヒョンの愛憎対決!
愛憎入り混じる幼なじみのウンジュンとサンヨンを演じるのは、『ユミの細胞』でも共演したキム・ゴウンとパク・チヒョン。あのユミとセイのタッグを再び見ることができるだけでもエモいんですが、本作の2人はエモいどころか、視聴者の号泣&嗚咽スイッチを押しまくる、ガチ演技対決を繰り広げておりました。
まず、本作のつかみがすごいんですよ。
冒頭でまず、ウンジュンがサンヨンのことを心底嫌っているんです。この2人は幼なじみなはずなのに。「この2人、何があった?」と気になっているところに、10年ぶりに再会したサンヨンが末期がんを告白(汗)。そこで、ウンジュンに、人生を締めくくるスイスへの旅に付き添ってほしいと懇願(大汗)。久々に連絡してきてそのお願いはちょっと容認できないとばかりに、「とんでもない暴力だ!」とサンヨンは怒りとも悲しみともつかない様子で断るんですが……(そりゃそうだ)。
1~2話だけで、キム・ゴウンとパク・チヒョンの演技に、ズドンと引き込まれます。

颯爽と歩くウンジュン
その後、彼女たちの出会いから現在までを振り返る過去編がスタート。小学生のとき、初めて出会ったときから、互いに“自分にないもの”を相手に感じた2人は、ぶつかり合いながらも、いつしかかけがえのない親友に。その後、ある出来事をキッカケに決別。
大学時代には2人の間にサンハク(キム・ゴンウ)という、ウンジュンとサンヨンの友情を揺るがす、異性の先輩が登場。お察しの通り、三角関係になるのですが(笑)、一途で頑固、嫉妬に燃えるウンジュン VS 見た目クールな執着家サンヨンとの熾烈な戦いが勃発! 一瞬、「これは、『ユミの細胞』の裏エピソードかな?」と思うぐらいの、宙ぶらりん展開になって、ああもう終盤だなというあたりで、ふと気づくんです。ここまでは、2人の過去の話だ、ということを。
過去への旅が終わると、冒頭の最期の旅につながって、号泣展開へ。“最期の最後”まで “ウンジュンとサンヨン”の人生をしっかりと描き切っているので、感情と顔がぐっちゃぐちゃになるほど泣かされたラストは本当に圧巻でした……。

若かりし頃のウンジュン

若かりし頃のサンヨン
4.メンドくささも含めて、まるで“恋愛プログラム”
本作を演じるにあたり、ウンジュンとサンヨンを演じた2人の気合も素晴らしかったです。
2人とも、世代ごとの演じ分けがとてもナチュラル。例えば、キム・ゴウンの怒り方。ウンジュンは、サンヨンに振り回されることが多いのですが、大学生時代は“爆発した感情がぶつかり合うような怒り”ですが、再会後の40代では関係性を熟知しているがゆえの“静かな怒り”。時が刻まれたような重みが、怒りから伝わってきて、ゾクッとしました。
ちなみに、10代のウンジュンを演じるにあたって、「自分の若い頃を振り返ると、頬がふっくらしていたので、それを再現したかった」と、増量に励んだとか(確かにふっくらしてました!)。内面(=演技)のみならず、外見からも“時間”を表現しようとするストイックさに敬礼!

ウンジュンの眼鏡姿もキュート♡
そして、ウンジュンに対してのねじれた思いから言動が不安定になりがちのサンヨンを演じたパク・チヒョンの演技も。人生の不幸を煮詰めたような幸薄い女性に見える一方、内面には強烈な渇望や歪みを抱えている役って、めちゃめちゃ難しくないですか?! サンヨンの自分自身の人生をどう受け止めてよいかわからない戸惑いや認知の歪みが滲む表情に、何度ハッとさせられたことか……。
「2人(ウンジュンとサンヨン)の眼差しやセリフ、呼吸、震えのひとつひとつがリアルでありながらも、自然に描かれていて。この作品はまるで“恋愛プログラム”のようにも感じられた」と語っていたパク・チヒョンに全面同意です!

くたびれた様子のサンヨン

サンヨンの意志の強い眼差し
ちなみに、パク・チヒョンは、「お姉さんの顔を見るだけで涙が出るほどだった。お姉さんがウンジョンでホントに良かった、完璧な人!」とコメントするくらい、キム・ゴウンの熱烈なファンだそうで。
そんなパク・チヒョンの、「大好きと尊敬、嫉妬と劣等感を滋味深くコジラセテシマッターノ」演技や、キム・ゴウンの、「ノー・セリフ・シーンの感情の爆発力(沈黙が雄弁すぎる):~すべてはサンヨンの行動理解のために~」演技。推しとファンの関係性が、2人の演技をさらなる高みに押し上げたのではないでしょうか。

サンヨンとウンジュン
『ウンジュンとサンヨン』の視聴はこちら
話は戻りますが、お互いの存在を心に留め置き、様々な激情を秘めながら人生の轍を刻む2人。うっかり、相手への本音がこぼれ落ちてしまったら、そっと距離を取る……という関係は、確かに恋愛プログラムを観ているかのようですね。
最後に。
本作を観るタイミングは、くれぐれもご注意ください。2人の女性の人生を、丁寧かつ繊細に紡いだヒューマンドラマのため、視聴後の余韻が半端ないんです。時間(と表情管理)に余裕のある時に観て、どっぷりと浸ってくださいませ。




































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