韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラム。
今回は、余命数ヵ月の宣告を受け、人生最後の旅に出ることにした男と、それに巻き込まれた男の元恋人との旅路を描いた、ヒューマン・ラブコメディ『Mr.プランクトン』のあらすじや見どころを紹介します。
CONTENTS
1.『Mr.プランクトン』作品概要

『Mr.プランクトン』
全10話
出演:ウ・ドファン、イ・ユミ、オ・ジョンセほか
Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
【あらすじ】
便利屋を営むヘジョ(ウ・ドファン)は、複雑な生い立ちを持つ、孤独な男。ある日、ヘジョの悲しい運命に追い討ちをかけるかのように、余命わずかだと宣告される。どうせ死ぬならと、自分のルーツを探す旅に出ることにしたヘジョは、旅の道連れとして、宋家の跡取り息子フン(オ・ジョンセ)と挙式寸前だった元恋人、ジェミ(イ・ユミ)を奪い、逃走する。
2.物語を動かすヘジョ、ジェミ、フンが魅力的すぎる
もしも、「余命は3カ月です」と宣告されたら?
残された人生を、どのように過ごしますか?
本作は、根なし草のように生きてきた主人公が「自分のルーツを探す旅」に出るという“余命もの”。とはいえ、そんじょそこらの“余命もの”とはわけ違う、名作ヒューマンドラマ兼ラブロマンスなんです!

物語を動かしているのは、この3人。
父親と母親と満ち足りた毎日を送っていたある日、父親との血の繋がりがないことが発覚。それもクリニック側のミス(冷凍精子の取り違え)によるものという信じられない現実が襲い掛かったうえ、親子関係に亀裂が入り、高校卒業後は家を出て、ずっと孤独な根なし草のように過ごしてきたヘジョ(ウ・ドファン)。


生まれた日に親に捨てられて以来ずっと施設で育ち、宗家の長男の嫁としてようやく人並みの幸せを手に入れられると思った矢先に、“早期閉経”を告げられてしまう、まだ20代のジェミ(イ・ユミ)。

宗家の長男であり、周囲からは何不自由なく生きている“お坊ちゃま”と思われているけれど、実は名家や家族というしがらみの中でもがく、“籠の中の鳥”状態のフン(オ・ジョンセ)。
このワケあり3人が、それぞれが抱える問題と向き合い、今を生きることの意味を指し示す物語をノンストップで繰り広げるんです。これがもうハチャメチャでして(笑)。詳しくはネタバレになるので書けないのですが、もがき、寄り添い、ときには互いに取っ組み合いながらも、自分なりの答えを見つけていくのですが、3人の真っ直ぐな生き方・考え方に、これでもかというほど、心の琴線をえぐられます。わんわん泣けるし、ガツンと響く。なのに笑えるっていうね……。

あろうことか、ヘジョが脳腫瘍で余命3カ月を宣告されるところからこの物語は始まります。
それが遺伝の可能性が高いと知って、自分に負の爆弾を背負わせたヤツの顔も知らずに死んでたまるかと、生物学上の父親を探す旅に出ることになったわけです。
元恋人・ジェミの早期閉経の話をたまたま聞いたヘジョは、ジェミの結婚式に潜り込み、花嫁を拉致(笑)。早期閉経を新郎に隠したままにしている負い目から、ヘジョに強く出られないジェミは、「元カレの本当の父親捜しの旅」に嫌々ながらも付き合うことに。一方、「新婦は逃げたに違いない」と周囲に言われつつも、フンはジェミを信じて彼女を探しに行くのです。
上記の説明をスパッと言えば、「名家の息子との結婚式当日に、元カレに強引に拉致された女主人公が、元カレの実の父親を探す旅に出る」なんですけども(笑)、つっこみどころが多すぎる内容が斬新。とはいえ、この行き当たりばったりにも見える3人の行動にはちゃんと理由があって、それぞれの現実がひも解かれていくにつれて、悲しみや、切なさ、やりきれなさといった感情が雪だるま式に増えていくというヒューマンドラマに。
めくるめくコメディのようなやりとりと、テンポのよい会話の中に、意外にも、深いロマンスや親子の愛情、淡い友情、無償の愛……といった、キラキラしたカケラが詰まっていて、彼らの人生にドラマティックさと泥臭さを与えてくれています。回を追うにつれて変化する3人の関係性もおもしろいし、快楽主義、破天荒、ボンボンという、全然自分とは違うタイプのキャラクターなのに、なぜか共感できちゃう不思議。各々が掴み取る選択にも大満足。
設定上、サッドエンドだとわかってはいたのですが、いざ終わってみれば、泣きながらも笑っている感じ。悲しさによる喪失感ではなく、主人公たちが後悔なく生きた、生きていることで満たされるような爽快感を味わえました。
後半にかけて、号泣度は上昇するのですが、伏線回収とラストは見ごたえしかないです。
余談ですが、本作を観て、韓ドラの不朽の名作『ごめん、愛してる』や、映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を思い出して、さらに余韻が深まりました。
3.“ウ・ドファンとオ・ジョンセ、どっちが好み?
「一体、何をバカな質問を……」と思うかもしれませんが、本作に限っては、2人も同等のイケメンです。イケ散らかしております!


ウ・ドファンの新境地、ここに極まれり。
本作のウ・ドファンは、こぼれ落ちる涙の破壊力、捨てられた大型犬のような庇護欲をかきたてる眼差し、アウトローな色気と肉体美由来の力強さがギュッと凝縮されております。愛を切望し、愛に見放され、しかし最期は、乞い願う真の愛を知る。誰よりも切なくて、悲しくて、幸せな男・ヘジョの、爆誕です!
ぶっちゃけますと、王子様タイプではないし、俳優とは思えないほどムッキムキに鍛えており、体の厚みもすごいのですが(『私の国』や『ブラッドハウンド』では、アスリート顔負けの肉体美を世に知らしめた)、本作のために7キロも体重を落としたそう。正直、「そんなに減量したのに、この体ですか!?」と二度見するほどの肉体美。それゆえに、今回も脱ぎちらかしています! というか、気が付いたら脱いでいるんですよ……。「脱げるチャンスがあるなら、自ら脱ぐのが俺のスタイル」と言わんばかりに、新しいスキルを身に付けたウ・ドファンにご注目ください。

見れば見るほどに深まる、オ・ジョンセ沼
元恋人同士のヘジョとジェミのロマンスに、名乗りを上げるのは、オ・ジョンセ演じるフン。実年齢アラサーの2人と三角関係の相手を演じているのは、実年齢48歳のオ・ジョンセ。『サイコだけど大丈夫』『魔女-君を救うメソッド-』など、自閉スペクトラム症役から悪役までなんでもござれのバイプレイヤ―。本作でも、「彼が演じているならおもしろくないわけない」と言わしめるほど、安定の演技力でした。
ともすれば「しょうもない、中年のボンボン」という印象になってもおかしくない、フンのキャラクターですが、愛する人の幸せを心から願うことのできる人。無償の愛が溢れる、包容力の高い人としてしっかり描かれていました。写真を見る限り、「フンがヘジョの恋敵!? ありえないでしょ~」と思ってしまうのですが、ドラマを観ているうちに……惚れます。愛情不足のジェミとヘジョに、惜しみない優しさと慈しみを見せてくれるのですよ……! 後半はもう、「フンと結婚して幸せになってもいいのでは?」と思いいたらしめるくらい、魅力溢れる演技に、何度もキュンとしたことは秘密です。
結果的に、フンは一見、母親のいいなりで頼りなく感じるけれど、肝が据わっていてどっしりと構えているように見えるんですね。
正直、ウ・ドファンとオ・ジョンセのどちらかを選べと問われたら、自分には選べません(聞かれてない)。

ヘジョに「あーん」をしてあげているフン。恋敵だろうがなんだろうが、惜しみなく与える男なのだ。
4.その美しさは、まるでロードムービーのよう

自分の父親を探す旅に出るヘジョと、ヘジョにかっさらわれ、その旅に無理やり付き合わされるジェミ、そのジェミを追うフン。この珍妙な三角関係に加え、フンを連れ戻そうとする彼の母親からの追手と、便利屋業務でトラブったヘジョを追いかけるヤクザたちが加わり、くんずほくれつ、上を下への大騒ぎ! ヘジョの人生における“最期の旅”だったはずなのに、そのドタバタぶりがおかしくて。なのに、とっても切なくて。心の中の愛情がワッと滲みだし、物語全体を包み込むのです。なんだか、「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」というチャールズ・チャップリンの言葉を思い出してしまいました。
その効果に一役買っているのが、四季折々の韓国各地の風光明媚な景色。釜山、済州島、全羅道、江原道、はては無人島(笑)の、夏から冬にかけての季節の移ろいが映しだされていました。
自分、韓国旅行の際はソウルに滞在することが多いのですが、「次回は地方に足を延ばそうかな。だったら国際免許を取得してレンタカーの旅もいいかもいいかもしれないな」なんて。そんな夢が膨らむシーンがたくさんありますよ!
5.エンディング曲も必聴!
全10話、テンポよく話が進むうえ、続きが気になる展開に、とばしがちになってしまうエンディングクレジットですが、本作を視聴する際は、グッとこらえてください。というのも、エンディング曲がほぼ毎回変わっているのです!
以下、曲目リストです(注:ライターK調べ)
ep.1 ママス&パパス「夢のカリフォルニア」
ep.2 JUNHA PARK「Smile」
ep.3 JUNHA PARK「The Town」
ep.4 Choi Jeong-in「Snow」
ep.5 ママス&パパス「夢のカリフォルニア」
ep.6 Kim Yeon-jeong「If I Could Be Together」
ep.7 JUNHA PARK「Sailor O」
ep.8 ママス&パパス「夢のカリフォルニア」
ep.9 ママス&パパス「夢のカリフォルニア」
ep.10 JUNHA PARK「The Town」

全10話で7曲も! 初回のエンディング曲がママス&パパスの『夢のカリフォルニア』ですよ……哀愁フルスロットルですよ(号泣)。こちらは挿入歌としても流れるのですが、「まさにそこなのよ!」というタイミングでちょうどよく流れるんですよね。そのたびに、古き良きアメリカ映画を観ているような気分に。郷愁があって、切なくて。でも、ほんのりと明るくて。
「楽しいことが好き」
「楽しく、愉快に生きたい」
心に深い傷を抱えながらも、そんな生き方を貫くヘジョにふさわしい選曲でした。
ここで紹介しなかった曲も素晴らしいので、本編とともにチェックしてくださいね。
『Mr.プランクトン』の視聴はこちら



























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