漫画を愛するライター・中川 薫がバイラ女子におすすめの漫画をピックアップ! 今回は、年の差40歳、図書館司書とベテラン庭師の心洗われるラブストーリー『銀河のカーテンコール』をご紹介します。
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中川 薫
雑食ライター。この2作以外に、三浦糀『アオのハコ』(集英社『週刊少年ジャンプ』 連載中)も推し〼!
©北駒生/講談社
2コ上の婚約者と別れた図書館司書の眞(30)と、庭師を引退した誠二郎(70)は、ひょんなことから隣合わせて、意気投合する。“ちょうどいい彼女”を演じるのに疲れたこと、辞めた庭師への未練など、二人はそれぞれの事情を語り合う。同年代とは違い、相手をおもんぱかる誠二郎の実直な言葉に心惹かれていく眞。一方、誠二郎も、眞との会話によって、仕事ロスのため白黒になった世界が色づくことに気づくのだった。
人間関係も「コスパが悪く」「非効率的」であれば連絡を断って、はい、おしまい、という人が多い世の中は何とも世知辛い。だが、何十年も物言わぬ植物を相手にしてきた誠二郎は「樹も人もどうしてそうなったのか」と根元を確かめるのである。相手に必要なものを見極め、与え、見守り、どうにかして再生を試みる。その姿が星のようにまぶしい。
人は周りに合わせてしまいがちだ。自分の身の丈に合わないとか、凡人だからとか、「コピペで物言って」夢をつぶしてきた人ほど、誠二郎の言葉に救われるだろう。
『銀河のカーテンコール』
北 駒生著
講談社 1巻〜 715円
図書館司書の眞(まこと)とベテラン庭師の誠二郎は、それぞれのある“終わり”に戸惑っていた。偶然が重なって意気投合した二人は……。年齢差40の、心洗われるラブストーリー。
漫画好きならこれも必読!
『ボーダレスネーム』
谷中分室著
集英社 1巻〜 660円
しまい込んだ夢を取り出してもう一度挑んでみませんか?
代理店で働くアラサーの亜生(アオ)はある仕事をキッカケに、昔捨てた夢・漫画家を目指す。あきらめない心の輝きが胸に刺さる。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2021年9月号掲載