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【働く女性のヒット商品ストーリー④】世界の女性をエンパワーメントしたい! 吸水ショーツ「Nagi」誕生に込められた想いとは?

「こんなものが欲しかった」。思わずそう声を上げたくなるヒット商品の数々は、実は、バイラ世代の女性たちが多くの壁や苦悩を乗り越えた末に生み出したものでした。今話題の吸水ショーツ「Nagi」を手掛けた石井リナさん。「世界の女性をエンパワーメントしたい」と語る彼女のもとには多くの女性が採用面接に訪れているそう。

BLAST Inc. 石井リナさん(CEO 31歳)

IT系広告代理店でキャリアをスタートし2018年にBLAST Inc.を設立。女性向けエンパワーメントメディア「BLAST」を立ち上げ2020年にフェムテックブランド「Nagi」をローンチ。

BLAST Inc. 石井リナさん(CEO 31歳)

Nagi 吸水ショーツ
開発期間に1年半をかけ、150人の女性にヒアリングして作った吸水ショーツ。たった30秒で97.2%の水分を吸収し、1枚でナプキン6枚分の吸水量を実現(スタンダード)。制菌加工によりイヤなにおいを軽減するなど細部までこだわっている

「Nagi」に関する記事はこちら

パーフェクト サントリービール

日本の女性だけでなく世界の女性をエンパワーメントしたい

3年以内のグローバル展開を見据えています

着たい服が着られない、座って立ち上がるのが怖い、肌がかぶれる、においが気になる……。毎月訪れる憂うつな生理と快適につきあい、「女性たちが凪のようにいつでも穏やかに暮らせますように」という思いで作られたのが、2020年5月に発売した「Nagi」の吸水ショーツ。

「販売開始1週間で2000枚が完売。そのタイミングで約140媒体に取り上げていただきました。『もう紙のナプキンには戻れない』という意見をいただき嬉しかったです」

IT系の広告代理店でSNSマーケティングに従事していた石井さんが、日本の女性をエンパワーメントするメディア「BLAST」を立ち上げたのは2018年のこと。日本のジェンダーギャップ指数の低さに衝撃を受けたことがきっかけだった。

「2016年頃は、海外のSNSでダイバーシティやフェミニズムが盛んに叫ばれた時期でした。その潮流を追う中で、先進国だと思い込んできた日本のジェンダーギャップ指数の低さに驚いたんです。構造的差別の中にいることや、知らずしらずのうちに抑圧されている現状に気づかない私のような女性はほかにもいるはずだと思い、まずはメディアを立ち上げました。日本の女性をエンパワーメントすることは、情報だけではなくプロダクトでもできると考えていたので、物理的にサポートする『Nagi』をローンチしました」  

女性が置かれている構造的な差別に気づいたことは、同時に痛みを伴うことでもあった。

「新卒で入った会社の経営層に男性しかいなかったことや、ロールモデルがいないと感じていたのは女性が出産後も満足に働ける環境が整っていなかったからなど、いろんなことに納得がいきました。そこに気づいたからこそ、傷つきやすくなったり絶望したり、悲しくなることも多くなった。フェミニズムに出会うと不可逆的で、知らなかった頃には戻れないんです」  

石井さんのもとには、同じく社会への違和感を覚える女性たちが駆け込み寺のように採用面接に来ているという。

「社会はトップダウンで政治やルールが変わるパターンと、市民が気づき声を上げボトムアップで変えるパターンの二つがある。女性一人ひとりが気づき声を上げ権利を勝ち得ていけるよう私も活動していきたいです」

見据えるのは、世界の女性をもエンパワーメントすること。

「真摯に作っている私たちのショーツは非常に高いクオリティがあると自負しています。直近3年以内にはグローバル展開もしていく予定です」

Nagi  吸水ショーツのパッケージ

テンションが上がるおしゃれなパッケージデザインにもこだわりが

石井リナさん

「Nagi」をやるようになって「自然とグリーンのものを選ぶようになった」と笑う石井さん

Nagi  吸水ショーツ

社会問題を是正するアイデンティティがある会社として、生理の貧困や環境問題にも配慮。学割や環境団体への寄付企画も行っている

Q.仕事で大切にしていることは?

1.ミッションを忠実に 2.スピード感のある事業成長を目指す 3.自分の体と心を大切にする
女性をエンパワーメントするというミッションから始まった会社なので、私が仕事をする上でそこから外れた事業はやらない。またそうしたコミュニケーションをとらないよう心がけています。加えてスタートアップの経済圏にいるので、できるだけ早く、遠くに行ける事業成長はどうすれば達成できるか、常に考えています。あとはやっぱり体と心が資本なので、体調が悪いときは率先して会社を休むことも

撮影/木村 敦 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2021年12月号掲載

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