30代・40代の妊娠のお悩みや疑問に医師が回答! 美容、健康キープのために飲んでいるサプリ。妊娠したかも?という時期にも継続して大丈夫?
Q:妊娠超初期、妊娠初期にサプリを飲み続けても大丈夫?
30代&40代女性の「リアルな妊娠悩み&疑問」!
・「美容やアンチエイジング、バストアップ用のサプリをたくさん飲んでます。さらに最近は、妊娠にいい子宝サプリもネットで買って追加しました。妊娠した場合、飲むのをやめなきゃいけないんでしょうか? アンチエイジング系サプリは特に、飲んでいるからこそ肌をいい状態にキープできていると思うので、やめるのが怖い!」
・「35歳過ぎたあたりから、健康オタクとなった私。本やネットを読み漁り、ビタミン剤やプロテインを飲んで健康キープのために頑張ってます。最近結婚し、妊娠を意識しているのですが、ビタミンAは赤ちゃんによくないと知り、長い間マルチビタミンを飲んできた私はショックを受けています……。妊娠超初期だったら悪影響あり?」
医師が回答!
通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を総合的に駆使した診療を行うコーチング医。認知行動療法をベースに、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを日常診療に取り入れ、健康管理だけではなく、育児の悩みや親子関係・夫婦関係の改善など、幅広い分野で同テクニックを活用する。
※“妊娠超初期”という表現について……排卵日から月経予定日の期間を、“妊娠超初期”や、“妊娠2〜3週”と呼ぶ人もいますが、これは医学用語ではありません。この時期はまだ妊娠が成立していないため、妊娠とは呼べない段階です。記事でも読者からの悩み等に登場しますが、便宜上“妊娠超初期”、“妊娠2〜3週”を「排卵日から月経予定日」と捉えた上で解説しています。
【ANSWER】サプリは飲む目的、効果により継続可否が決まる
「サプリメントを飲む目的、効能によって答えは違ってきます。美容やアンチエイジング目的で飲んでいるとしたら、妊活中は一旦ストップを。妊娠が最高のアンチエイジングとも言えるので、まずは妊娠に向けて体を整えるべく、アンチエイジング系サプリの服用は終了しましょう。
妊娠すると肌荒れが気になってくる方も多く、妊娠後にビタミンのサプリメントを摂りたいと希望される妊婦さんは多いです。そういう場合、ビタミンCでしたらある程度の量であれば大丈夫です。そのほかでは、ビタミンDも補ったほうがいい栄養素。脂溶性ですが過剰に摂らなければ問題ありませんので、サプリメントの規定量の上限を守って摂りましょう。ビタミンDは、インフルエンザなどのウイルスへの感染を予防する効果もあるため、妊婦さんは不足しないように気をつけたいもの。
バストアップを目的としたサプリメントは、ホルモンバランスに影響する成分が含まれていることが多いのでオススメしません。こちらは妊活を始めた段階で飲むのをやめましょう。
妊活用サプリメントは、妊娠したのであればストップしてよいはず。妊娠中、サプリメントで摂取したほうがいい栄養素は葉酸。妊娠3カ月前~妊娠12週までに必要ですが、“妊娠3カ月前”は予測できないので妊活開始時から摂取することをオススメします。鉄分や亜鉛も足りなかったら摂取したほうがよいのですが、不足しているかどうかを知るためには血液検査が必要です。特に足りていない女性が多い成分は亜鉛です。お肉、お魚をあまり食べないタイプの女性では足りていないケースが多いです。妊娠継続に重要な栄養素ですので、意識的に摂るようにしましょう。妊娠を希望している人は、妊活中に栄養素が足りているかどうかを血液検査で調べておくのが理想です。必要量を摂取できていなければ、食事やサプリメントで補うようにしましょう」
【POINT】ビタミン剤はビタミンAに注意!
「注意したいのはビタミンA。妊婦さんには『Aだけはダメよ』とお伝えしています。妊娠初期にビタミンA剤を過剰摂取すると、赤ちゃんに奇形をもたらすリスクが上がってしまうのです。とはいえ、海外のサプリメントを輸入でもしない限り、過剰な量のビタミンAが含まれるビタミン剤は売っていません。国産のプロテインなどに含まれるビタミンAを心配される人も多いですが、ビタミンAの前駆体であるβカロテンが入っている場合が多く、問題ないケースがほとんど。βカロテンはにんじんなど食品を食べるのと同様に、過剰摂取にはなりません。催奇性があるのは、ビタミンAそのものを摂ってしまったケースです。ビタミンAが入っているとダメだけれど、βカロテンは大丈夫。そのあたりも素人判断は難しいと思いますので、妊活中からかかりつけ医にサプリメントを見せて相談すると安心です」
【ADVICE】サプリメントは厳選して飲むことが大事!
「妊娠初期のサプリメント摂取でいちばん問題になるのは、栄養素よりもそのサプリメントに含まれる添加物。安全なサプリメントを必要量摂っているのであれば安心ですが、複数のサプリメントを摂ることによって肝臓に負担がかかる可能性があることが心配なのです。
サプリメントはその主成分だけでなく添加物にも注意が必要です。サプリメントを錠剤の形に固めるために、あるいはカプセルであればカプセル自体にいろんな添加物が使われているわけです。安価なサプリメントをたくさん摂取していると、添加物を大量に摂取することになり、その結果、肝臓の数値に問題が出てくる人も。
もちろんすべてのサプリメントをやめる必要はないのですが、できるだけ安全なオーガニックのサプリメントを選ぶことも大切ですし、これは必要、これは不要……と摂取するサプリメントを整理することも必要です。
食事で栄養が摂れない状況を改善することも重要ですが、今はお野菜を山ほど食べたとしても、食品に含まれている栄養素そのものが減っているので必要な栄養素は摂りにくくなっています。ですから、実際のところは、ビタミンやミネラルが含まれたサプリメントをベースサプリとして摂取したほうがよい妊婦さんが多いのではないかと思います。
サプリメントを選ぶときは、『妊活中の方向けサプリ』と書いてあるサプリメントであれば、葉酸にビタミンBやCが付加されているものが多く、必要な栄養素をカバーできる場合が多いです。妊活を意識したときから、こういった妊婦さん向けのサプリメントにシフトしていくと安心度が高まります」
サプリメント=食品だからと安易に考えず、中身を精査する必要があると心得て!
取材・文/櫻木えみ