「どんなときでも踏ん張って、一歩ずつでもいいから進んでいけば、未来は必ず開ける」と語る木村拓哉さん。時代のトップを走り続けるスターが己を奮い立たせ、新たな挑戦を続け、前へと突き進む理由を解き明かす。
木村拓哉
木村拓哉
きむら たくや●1972年11月13日生まれ、東京都出身。O型。主演するドラマがどれも高視聴率を記録し、数々のドラマや映画に出演。現在、「木村さ~~ん!」(GYAO!無料配信中)、ラジオ「木村拓哉 Flow」(TOKYO FM 日曜11時30分~)でメインパーソナリティを務める。また、世界を舞台にしたSFサスペンス「THE SWARM」(Hulu)が世界同時配信予定。
自分の脳内グラフが“悩み”で埋まっちゃうなんて、もったいない!
「人生は分岐の連続だけど、いくら悩んでも誰にも答えなんて出せないことがある。ほどほどのところで考えるのをやめて、小さな行動に出るだけで流れが変わったりも。めちゃくちゃ美味しいもの、きれいなもの、楽しいことが世の中にはたくさんあるから、経験して、体感して、感動する時間を増やすのが大切だと思う。自分がコントロールできないことでは悩まない!」
高校ボクシング部が舞台のドラマ。スポーツの指導を通じて新しい風を吹かせていきたい
「ボクシングは本格的にはやったことがないので、ツアーの合間を縫って役作りに励んでいます。自分はコーチ役で生徒たちを指導していくんだけど、やっぱり人に物事を教えるってものすごく難しいよね。どんなことでも、10人いたら10人、受け取り方って違う。その人に合った細かい指導ができたら理想だけど、なかなか現実には難しい」
「俺は一からやり方を説明したりはしないかな。聞いてくるまでは何も言わないし、見て感じていくものだと思っていて。とんちんかんな質問をされてもムッとしたりはしないし、むしろ可愛いよね。同じ質問をされたらさすがに“おい!”とは思うけど、2回目で“これで最後な!”と釘を刺し、3回目があったら“まだわかんないのか!”と、ふざけながらヘッドロックをかますくらい(笑)。手取り足取りしなくても、相手ときちんと向き合いさえすれば大切なことは伝わるんじゃないかと思っています」
生きる希望を喪失したまれに見るどん底の役どころに初挑戦!
「これまでいろんなキャラクターを演じてきましたが、物語のスタート時点でここまで腐ってる人間は初めて!」
「いつ死んでもいいと言ってはばからない主人公・桐沢祥吾が漂わせるヤバさや温度感をどんなバランスで演じていくのか、新しいチャレンジですね。自分には落ちるところまで落ちるという感覚がわからなくて。きっと、どっぷり沈む前に必死でもがくだろうし、どうにかして浮上する方法を考え、前を向きたいと思うから。そういった意味でも、ボクシングを断念し、最愛の妻を亡くした上にさらなる不運に見舞われ、どん底まで落ちた男がどうやって目に光を宿していくのか楽しみだし、注目しながら見てくれたら嬉しいです」
「自分はカウントがかかったときほど、踏ん張れちゃうタイプ。追い込まれたならここぞの力を発揮したいし、意識があるうちはあがきまくりたい。ダメでも何かしらの結果はついてくるものだから、最後まで力を絶対に出し切りたいんだよね。たとえへこむことがあったとしても、“誰も沈んだお前なんて見たくないよ”って言ってくれるような仲間が俺にはいるから。挑戦する勇気をくれたり、沈んでちゃだめだなって思わせてくれる味方がいるってすごく大きいですよね。桐沢にもそういう存在がいたら、そこまでメンタルを持ちくずさなかったかもしれないし、“次は何かやってやろう”っていう気持ちになったんじゃないかな。自分を求めてくれる人たちがいるから、どんなこともやり抜くことができるんだと思います」
目標を立てるのはいいけど、逆算して焦る必要はない
「目標を立てて、逆算し、達成する。これができる人はいいけど、逆算思考って、どうしても気持ちを焦らせたり、マイナスの方向へ行きがち……。逆算思考よりも、積み上げ思考で一日を全力で過ごしたほうが充実するはず」
テンションが上がるのは、米とおかずの配分が完璧に食べられたとき!
「撮影中はお弁当を食べる機会が増えるんだけど、米とおかずの配分を調整せず、上手に食べられると“イェーイ”って嬉しくなります」
誰かと比べてしまうときは、“素敵な人が身近にいてラッキー”って思いたいよね
「誰だって、“隣の芝生は青く見える”ことがある。俺もそうだもん!ただ、相手がすごいのであれば、“自分の近くにこんな素敵な人がいるなんてラッキー”って思うようにしてる。それと、あまり卑屈にならずに、“自分は自分”と割り切っていく気持ちも必要だよね!」
『未来への10カウント』
出演/木村拓哉、満島ひかり、安田 顕ほか
テレビ朝日系 木曜21時~
生きる希望を完全喪失した男・桐沢祥吾(木村拓哉)が高校ボクシング部のコーチになったことで、徐々に熱を取り戻し、再生していくさまを描く青春エンターテインメントドラマ。
取材・原文/山中ゆうき ※BAILA2022年6月号掲載