韓国文化を知るうえで欠かせない“恨(ハン)”という概念。しかし今の韓国の30代にはあまり身近ではなく、“ひと昔前の文化で、エンタメとして楽しむもの”という感覚が強いそう。 帝塚山学院大学教授の古田富建さんが、“恨”の意味を分かりやすく解説&“恨”が描かれているおすすめ韓国ドラマ3本をご紹介。
解説
古田富建さん
帝塚山学院大学教授。NHKラジオ「ステップアップハングル講座」担当。著作に『くらべて覚える韓国語』(かんき出版)。研究著書『恨の誕生』(駿河台出版社)を今秋上梓予定。
「韓国の“恨(ハン)”は運命や人生など大きな目線での悲哀。日常の出来事や人間関係がもとになる日本の“根に持つ”よりも規模が大きいものです。といっても、今の韓国の30代には恨の文化はあまり身近ではありません。若者の日常に根づいた恨文化は1990年代がピーク。現在では“ひと昔前の文化で、エンタメとして楽しむもの”という感覚が強そうです。たとえば、ドラマ『トッケビ』がまさに“恨”のエンタメ。“運命に翻弄される悲哀=恨”を浄化するというストーリーは、韓国の30代にも人気です。人生や運命など、“長い目で見た悲哀”を描くので、死者や不死の人物が出てくることも多いですね」
「明日」
「今年配信開始のドラマ。半分人間で半分霊となってしまった主人公が、死神が働くあの世の企業で、自殺願望がある人間を癒していく。“共感”で“恨”を解いていくような物語です」
Netflixシリーズ「明日」独占配信中
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「ホテルデルーナ」
「幽霊だけが泊まれるホテルで、“恨”を持つ死者のお客さんをとにかくヒーリングしてあげる、というお話。過去の呪い・約束によりホテルで働いている社長や支配人の人生も“恨”です」
U-NEXTで配信中
© STUDIO DRAGON CORPORATION
「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」
「悲しい過去を背負い、“不滅の命”に翻弄される主人公・シンの人生は、まさに“恨”そのものだといえます。まずこの作品を見れば、“恨とはこういう感覚なんだな”とつかめるはず」
U-NEXTで配信中
取材・原文/東 美希 ※BAILA2022年10月号掲載