「薄毛」や「ボリュームダウン」というと、40-50代からの悩みという印象があるかもしれませんが、実は30代から直面している人もいます。なぜなら抜け毛は、ホルモンバランスの乱れやストレスが大きな原因。仕事、家事、出産、育児などでライフステージが大きく変化し、何かとストレスが多いアラサー女子は要注意です。そこで、皮膚科の医師にアドバイスをいただきました。
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Q. 30代で薄毛で悩む女性に多いのはどんな症状でしょうか?
抜け毛が気になったら早めに医師に相談を
小林:薄毛には原因や状態、薄くなる場所によってさまざまな種類がありますが、「最近、シャンプーやブラッシングをした際の抜け毛が急に増えた」と感じる場合、「休止期脱毛症」の可能性があります。

髪の毛は、一定の周期で生え変わりを繰り返しています。これをヘアサイクル(毛周期)と呼びます。
ヘアサイクルは大きく「成長期」「退行期」「休止期」の3つの期間に分けられ、健康な状態では、ほとんど(約85~90%)の毛髪が成長期にあり、成長が止まり自然に抜け落ちるのを待っている状態の休止期の毛髪は、10~15%程度になります。
ところが、何らかのきっかけにより、通常よりも多くの髪の毛が成長を止め、休止期に入ってしまうと急に抜け毛が増えます。これが、休止期脱毛症です。
これは女性に多い脱毛症で、特定の部位だけでなく、頭部全体の髪が薄くなるのが特徴。頭部全体の髪が均等に抜けます。また、分け目が目立ったり、全体的にボリュームが減ったと感じたりします。
休止期脱毛症を引き起こす原因はいろいろありますが、多くの場合、身体的または精神的な負担が大きいことがきっかけとなります。
例えば、過度なダイエットによる栄養不足、大きな手術や病気、出産、精神的なショックなどが挙げられます。そして、これらの出来事から数ヶ月後に抜け毛が増え始めるのが特徴です。
抜ける髪の量には個人差がありますし、「髪の量がこれくらいになったら薄毛」という基準があるわけではありません。あくまでも主観的なもの。
「以前より髪の量が少なくなった」「シャンプーやブラッシングの際に髪の毛がたくさん抜ける」と感じたら、自己判断せず、できるだけ早めに皮膚科医に相談し、必要に応じて治療を始めることをおすすめします。
Q. 薄毛の悩みで受診した場合、どのような診察・検査をするのでしょうか?
医師が頭皮や毛髪の状態をチェックして正しく診断
小林:まずは、問診をして詳しく話を伺います。抜け毛が始まった時期、抜け毛の量、生活習慣の変化はあったか、何か病気にかかったか、服用中の薬、最近経験したストレスなど。特に、原因と考えられる、大きなストレスがかかるような出来事があったかどうかはとても重要な情報です。
それから、視診や触診で頭皮や毛髪の状態をチェック。頭皮の色や炎症の有無、毛髪の太さや密度などを確認します。
そして、ダーモスコピーと呼ばれる特殊な拡大鏡を用いて、頭皮や毛穴、毛髪の状態を詳細に観察。毛髪の太さのばらつき、毛穴の状態、血管のパターン(頭皮に見られる毛細血管や血流の状態)を確認することで、頭皮の病変や薄毛の兆候を見つけ、他の脱毛症(AGA、円形脱毛症など)と見分けるのに役立てます。
こうして、特定された原因に対して具体的なアドバイスを行います。例えば、栄養不足が考えられる場合は食事指導を、ストレスが原因と考えられる場合はストレスをどのようにして軽減していくかを一緒に考えます。
Q. 休止期脱毛症には、具体的な治療方法はあるのでしょうか?
体の内側と外側、両方から発毛にアプローチ
小林:外用薬と内服薬がありますので、効果的な治療をするには両方を併用することが多いです。
たとえば、「ミノキシジル」は発毛を促進する外用薬。血行改善することで、毛髪を作る細胞(毛母細胞)に毛髪が成長に必要な栄養を届けるのを促します。
ミノキシジルはドラッグストアで購入できる育毛剤にも配合されていますが、その含有量はだいたい1%程度。クリニックで処方されるもののほうが、含有量が高い(約5%)ので、髪の成長をよりしっかりとしたサポートすることが期待できます。
自費の治療になるので、金額はクリニックよって異なるとは思いますが、2ヶ月分くらいの量で5000~7000円くらいになります。
ローションタイプとフォームタイプがあり、生え際などに使用した場合は流れ落ちにくいフォームタイプが好まれます。
その他、血行を促進する内服薬、栄養不足が見られるようであれば栄養補助のためのサプリメントの服用を検討することもあります。サプリメントは、髪の成長に大きくかかわる亜鉛、鉄、ビタミンなどを含む、総合的に栄養を補完できるものを処方します。
こうした治療薬で髪の成長をサポートしつつ、生活習慣や身体的・肉体的ストレスといった、髪の成長を妨げている根本原因を軽減・解消することが最も重要です。
なお、ヘアサイクルが正常に戻り、髪の量が回復するまでの期間というのは個人差が大きいですが、治療効果を感じられるようになるまでの期間はだいたい3~6か月が目安です。
Q. ヘアサイクルを正常に戻して、髪をもとの状態に近づけるために、日頃、自分でできるケアはありますか?
頭皮マッサージで血行を改善
小林:健康な髪を作るために重要なのは、髪の土台である「頭皮」のケアです。
というのも、頭皮には、髪の毛を作るもととなる毛母細胞があり、毛母細胞に十分な栄養が届けられることで健康な髪が育ちます。頭皮の血流を促すケアを心がけましょう。
頭皮マッサージのやり方ですが、左右両耳の上あたりに親指を当て、残りの4本の指の腹を頭部に置いてやさしくもみほぐしましょう。頭皮と顔の皮膚はつながっていますから、耳上にあるリンパとともに頭皮の血行を促すことで、顔のむくみ予防にも効果があります。
頭皮ケアのローションをつけたり、頭皮マッサージ用のグッズを使用したりするのもよいと思います。
Q. 薄毛予防に普段の生活で気をつけることはありますか?
紫外線や頻繁なヘアカラーなどのダメージを避ける
小林:頭皮のダメージになることはできるだけ避けるようにしたいですね。
そのひとつが紫外線です。
紫外線は、頭皮に大きなダメージを与えます。特に夏の紫外線対策は重要です。秋に抜け毛が多くなるという人がいますが、これは、夏に紫外線を多く浴びたことが原因のひとつと考えられます。
紫外線対策をしましょう。
帽子をかぶる、スプレータイプの髪用の日焼け止めなどもおススメです。
編集部が見つけた、紫外線対策のお役立ちアイテム

オージュア デイライト シャワー SPF50+、PA++++ 80g 1320 円/ミルボン(美容室専売品)紫外線から髪を保護して、システイン酸の生成を抑制することで、 ツヤのある髪をキープ。後頭部にも塗布しやすいスプレー式。
小林:ほかには頻度の高いヘアカラー(ブリーチ)も髪のダメージにつながります。ブリーチや、ブリーチを伴うヘアカラーをする際は、前回の施術から少なくとも1か月あけるようにしましょう。また、最近は薬剤が頭皮に付着しないように塗布するテクニックを取り入れているサロンもあるのでチェックしてみましょう。
編集部が見つけた、すごいヘアカラーテクニック「ゼロテク」Ⓡ
ゼロテクⓇ ヘアカラーの薬剤が頭皮につかないよう、髪の根元ギリギリ(0mm)から塗るテクニック。「ゼロテクアンバサダー®︎」(※)による「ゼロテク®︎」(※) 施術を体験できるサロンで受けられる。
小林:そして髪を強くひっぱるまとめ髪も気をつけましょう。
いわゆる「ひっつめ髪」といわれるような、強い力で髪を引っ張るようなまとめ髪は、毛根に負荷がかかって、抜け毛の原因になります。髪を結ぶ際は頭皮に負担のない、ふわっとしたゆるいアレンジに。
また洗髪時に爪を立ててゴシゴシ強い力でこすると頭皮を傷つけるのでNG。そしてトリートメントは基本的に髪につけるもの。頭皮につけると負担になるので気をつけて。
そのほか、基本的なことになりますが、ストレス解消や十分な睡眠、運動をして血行を促すといった、健康的な生活を心がけるようにしましょう。
薄毛は6カ月程度で落ち着くことも多いので、焦らずゆったりとした気持ちで回復を待つことも大切。薄毛の最大の敵はストレスですから、やはり気になるというときは、一人で悩まず、ぜひ専門医に相談を。
※「ゼロテク®︎」「ゼロテクアンバサダー®︎」は株式会社アリミノの登録商標です。


























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