忙しく働く女子のために、BAILAが「膀胱炎駆け込み寺」を開設。普段は人に話せないデリケートなお悩みにズバリお答えします。膀胱炎の知識を深めて、対処法をマスターすればもう膀胱炎は怖くない!
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この先生に聞きました!
女性医療クリニックLUNA横浜元町院長 中村綾子先生
日本泌尿器科学会専門医。泌尿器トラブルをはじめ、さまざまな女性の体の悩みに対応。女性ならではのこまやかな診療で人気。
1.【働く女の「膀胱炎」駆け込み寺】悩んでるのはあなただけじゃない!
膀胱炎かけこみ寺
※このお寺はフィクションです
まずは膀胱炎の基本をおさらいするのじゃ!
【そもそも膀胱炎って?】
原因
肛門から菌が侵入することがほとんど
「多くの人がかかる膀胱炎は細菌感染が原因で起こる細菌性膀胱炎です。その9割は大腸菌の感染で起こり、大腸菌が肛門から、尿道を通って膀胱に侵入し、炎症を起こすのです」(中村先生※以下同)
症状
排尿時の痛み、頻尿、残尿感、血尿など
「膀胱炎の主な症状は、排尿時の痛みや、トイレが近くなる頻尿、排尿をしても出し切っていないような感じがある残尿感、血尿が出る、尿がにごるなどです。排尿時の痛みは激しい場合もあります」
種類
大きく分けて4つ
「一般的に膀胱炎といえば、細菌性(単純性)膀胱炎のこと。免疫が低下している人が慢性的にかかりやすい複雑性膀胱炎や、膀胱に尿がたまると痛みが生じる原因不明の間質性膀胱炎、がんの放射線治療のあとなどに起こりやすい放射線性膀胱炎があります」
【かかる割合は?】
女性のほとんどが一生に1~2回経験
「膀胱炎は女性のほとんどが一生に2回以上はかかるといわれているほどポピュラーな病気。軽い場合は自分で自覚していないこともあり、それを含めると誰でも1回はかかっていると考えられます」
バイラ世代約400人に聞いた結果、9割の人が膀胱炎にかかったことがあるとの回答。
【かかりやすい年代は?】
20~40代
「膀胱炎は、性交渉の際に自分の大腸菌が尿道から侵入し、それがきっかけでかかることが多いので、性交渉の機会が多いこの世代の女性に多いのです。また、働き盛りで疲れやすいことも原因のひとつ」
【女性に多い理由は?】
尿道が男性より短く、肛門の菌が膀胱に侵入しやすいから
「女性は男性より尿道が短いので、肛門の菌が尿道から侵入しやすいからです。排便時にトイレットペーパーで肛門をふくとき、前へ向かってふくだけでも菌が侵入し、膀胱炎になりやすいので要注意」
【主な治療法は?】
保温、安静、飲水が基本。ひどい場合は抗生物質を
「膀胱炎になった場合、体を温めて安静にし、菌をできるだけ早く尿と一緒に体外に出すため水分をたくさんとってトイレの回数を増やしましょう。症状がひどい場合は病院で抗生物質を処方してもらって」
【通院するなら何科?】
専門は泌尿器科。難しければ内科・婦人科でも◎
「膀胱炎の専門は泌尿器科なので、泌尿器科に行くのがベストです。ただ、泌尿器科はあまり数が多くないので、近くにない場合は、婦人科や内科でも診察してもらえるので、それでもいいでしょう」
2.【涙の膀胱炎エピソード】みんなが職場やデートで苦労したことって?
膀胱炎には、働き盛りのBAILA世代の多くが苦しめられている模様。人に相談しづらい病気のため、職場や外出先で大変な思いをしたという声がたくさん寄せられました。一人で抱え込まずに、みんなの「涙の膀胱炎エピソード」で痛みを分かち合おう。
【忙しい仕事中の悲劇】
【楽しい予定中の悲劇】
【心ない発言による悲劇】
3.【膀胱炎Q&A①】「性行為が原因?」「生理と関係ある?」聞きづらいギモンにお答え!
30代が抱える膀胱炎のお悩みは実に深刻。人に相談しにくいがゆえに、一人で苦しんでいる人も多いよう。BAILAが膀胱炎の駆け込み寺になるべく専門家に取材し、みんなが密かに抱えているお悩みについてお答えします。
Q.一度なるとクセになるって本当?
A.クセにはなりません。原因は「繰り返しやすい環境」
「膀胱炎がクセになることはありません。ただ、トイレになかなか行けない仕事だったり、冷房が効きすぎている冷えた職場で働いていたり、疲れがなかなか取れないほど仕事が多忙だったりと、膀胱炎になりやすい環境にいる人は、どうしても繰り返し膀胱炎になってしまいます」
トイレに行けない
冷えやすい
疲れが取れない
Q.性行為が原因なの?
A.性行為以外にも原因は多数。膀胱炎=恥ずかしい症状ではありません
「膀胱炎は性行為だけでなく、排便時に肛門をふくときに菌が侵入してかかる場合も。また膀胱は本来、菌に対する抵抗力をもっていますが、疲れや過労、冷えなどの原因で体の免疫力が落ちると菌への抵抗力も落ちて膀胱炎に。ですから恥ずかしい症状ではありません」
Q.出産経験や生理と関係はある?
A.出産を経験すると膣の状態が変わるので膀胱炎になることも。生理中は清潔を保って
「出産をすると体質が変わって膣の状態が変わることもあり、膀胱炎になりやすくなる場合も。また、生理中は尿道周辺が汚れていたり湿っていたりして菌が繁殖しやすくなるうえ体の抵抗力も落ちるので膀胱炎になりやすくなります。清潔を保ち、無理をしないこと」
Q.膀胱炎によい食べ物、よくない食べ物はある?
A.クランベリージュースには殺菌力がアリ。刺激物はNGです
「膀胱炎にいいといわれているのがクランベリージュース。クランベリーに含まれるプロアントシアニジンという成分に菌を抑える作用があるといわれているのです。逆に、とらないほうがいいのが辛いものやカフェインなどの刺激物。膀胱を刺激し、頻尿がひどくなるので避けましょう」
Q.日ごろの生活に取り入れられる予防法はあるの?
A.鍼やお灸も効果的。ストレッチを補助的に取り入れるのも手
膀胱炎には鍼やお灸が効果を発揮する場合もあるので試してみるのもいいですね。脚を横や前後に大きく開脚したりといった股関節を柔軟に保つストレッチも、間接的に膀胱炎予防につながります」
Q.温水洗浄便座を使うと膀胱炎になりやすいって本当?
A.本当です。温水洗浄便座だけではなく、洗いすぎには注意
「温水洗浄便座を使いすぎると、粘膜のバリア機能が低下し、菌に感染しやすくなるのでNG。陰部をゴシゴシと洗いすぎるのも同じくバリア機能が落ちて、菌に感染しやすくなるので避けましょう」
4.【膀胱炎Q&A②】病院にいくタイミングは? 自分でできる予防・対処法は?
Q.冷えが原因というのは本当?入浴して温めてもOK?
A.冷えは大きな原因のひとつ。入浴はしてもいいけれど公衆浴場は避けて
「体が冷えると免疫力が下がり、菌に感染しやすくなるので膀胱炎になりやすくなります。夏は冷房で冷えやすいので温めましょう。おなかにカイロを貼るのもいいですし、入浴も問題ないので湯船につかって温めるのもおすすめ。ただし公衆浴場は感染のリスクが高まるので避けて」
Q.抗生物質を飲んでもすぐ治るときと長引くときがあるのはなぜ?
A.薬が合っていない、もしくは免疫力が相当低いことが考えられます
「膀胱炎は病院で処方される抗生物質を、医師に言われた期間きちんと飲み続ければ基本的には治ります。治らない場合は、薬が合っていないか、免疫力が相当低くなっている可能性が。また、薬剤への耐性が強い菌に感染している場合もあります。医師によく相談を」
Q.泌尿器科に行くのが恥ずかしいんです
A.女性医師がいる病院なら安心して相談できます
「泌尿器科は医師が男性の病院が多いのですが、女性医師がいる病院もあります。男性医師だと恥ずかしい場合は、女性医師がいる病院を探して行きましょう。気後れせず安心して相談できます」
女性医療クリニックLUNA横浜元町
婦人科、女性内科、乳腺科、泌尿器科、美容皮膚科と女性の体をトータルで診療。医師も全員女性。◆http://www.luna-clinic.jp
Q.軽めの症状、もしくは病院に行けないときのセルフケアはある?
A.まずは保温、安静、飲水。市販薬や漢方を試してみても
「膀胱炎の9割は、体を温めて安静にし、水をたっぷり飲むことで自然に治ります。また、軽めの症状なら市販の膀胱炎の薬や漢方薬で改善することもあるので試してみるのもいいでしょう。治らない場合は病院へ」
排尿痛、残尿感、尿のにごり、頻尿などに効果的。竜胆瀉肝湯エキス錠クラシエ 48錠 ¥1219/クラシエ薬品
(左)膀胱炎の原因菌に働く抗菌生薬ウワウルシや、利尿作用で菌を体外へ素早く排出する茯苓などの生薬を配合した和漢薬。腎仙散 12包 ¥1500/摩耶堂製薬(右)炎症を抑え、尿の量を増やして菌を押し流す漢方薬“五淋散”の処方。排尿時の痛みや残尿感に。ボーコレン 48錠¥1600/小林製薬
Q.膀胱炎から腎臓の病気に発展する可能性は?
A.ほうっておくと腎盂腎炎になって入院の可能性も
「膀胱炎を放置すると、菌が膀胱から腎臓まで行き、腎盂腎炎になる場合があり、すると38℃以上の高熱や、背部痛などの症状が出て、入院が必要になるケースも。放置せず早めに治すことが肝心」
Q.病院に行くベストなタイミングは?
A.自然治癒することもあるので、1~2日は様子を見ても。つらい場合はすぐに病院へ
「膀胱炎のほとんどは1〜2日で自然に治りますが、2日たっても治らない場合は病院へ行きましょう。2日以上ほうっておくと腎盂腎炎のリスクが高まるので放置しないこと。もちろん激しい排尿痛など症状が強い場合は、我慢せずにすぐに病院へ行くのがおすすめ」
Q.残尿感だけでも膀胱炎?その場合、病院に行くべき?
A.残尿感だけの膀胱炎も。ひどくない場合は保温、安静、飲水でとりあえずは様子を見よう
「症状が残尿感だけでも膀胱炎にかかっていることもあります。ひどくない場合は、まず保温、安静、飲水を心がけて様子を見ましょう。2日たっても改善しない場合は、病院へ行くのがおすすめ」
【駆け込み寺 和尚さんからの膀胱炎の教え】
一、まずは膀胱炎になりにくい環境を整えるのじゃ
二、膀胱炎になってしまったらとにもかくにも保温・安静・飲水じゃ
三、膀胱炎は決して恥ずかしい症状ではないと肝に銘じるのじゃ
イラスト/いいあい 取材・原文/和田美穂 ※BAILA2019年7月号掲載