バイラ世代といえど油断禁物なのが、「腰痛」のお悩み。ぎっくり腰がクセになるというのは本当？腰痛になりやすい人の特徴はある？といった悩みに医師が回答！痛いのに我慢したりぎっくり腰を招かないために、正しい知識を身につけよう。
教えてくれたのは
お茶の水整形外科 銅冶英雄院長
医学博士、日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会専門医。痛みの根本解決メソッドを考案。著者に『どこでも腰痛体操』（ダイヤモンド社）。
1.腰痛やぎっくり腰を慢性化させないためには？
バイラ読者351人に緊急アンケート
Q 腰に痛み・悩み・ 不安がありますか？
30代が中心のバイラ読者だけれど、実に9割近くが腰にトラブルや不安を抱えていると判明。20代で腰痛に悩んでいる人もおり、一刻も早い対策をとるのがよさそう。
Q 慢性的に腰痛がありますか？
一時的なトラブルは誰にでも訪れるけれど、「腰痛はいつものこと」という読者が過半数。慢性的な腰痛が数年続いているという人も珍しくなく、問題は根深そう。
Q「ぎっくり腰」の経験はありますか？
ない…64%
ある…36%
「ぎっくり腰」経験者は4割近くにのぼり、なかには数回繰り返しているという人も。「またぎっくり腰になるかも」とおびえて日々を過ごすなんてもったいない！
Q いつから「腰痛・ぎっくり腰」に悩むようになりましたか？
10代・20代で腰のトラブルに悩むようになったという人は、なんと7割以上！「腰痛は中年の悩み」ではなく、バイラ世代が抱えるトラブルと心して。
Q 「腰痛」のケアとして、行っていることはありますか？
ストレッチ……………33%
ほぐし・マッサージ …22%
湿布などの貼り薬 ……17%
整骨院へ通う…………11%
コルセットを使用……6%
飲み薬…………………4%
鍼灸院へ通う…………3%
その他…………………4%
腰痛に悩まされていても、積極的なケアを取り入れている人は少なめ。その多くが自己流ケアなので、実際に効いているかはわかりにくい側面も。
何歳でも生じる腰痛悩み。慢性化させないために環境見直し＆運動を！
教えてくれたのは
お茶の水整形外科 銅冶英雄院長
医学博士、日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会専門医。痛みの根本解決メソッドを考案。著者に『どこでも腰痛体操』（ダイヤモンド社）。
「腰痛はどんな年代でも起こりますし、腰に悩みを抱える若い方も多い。私自身も20代でぎっくり腰になりました」と教えてくれたのは、腰痛治療の第一人者である銅冶英雄先生。働き盛りのバイラ世代なら、いきなり生じる腰痛への対処法は身につけておくべき知識といえそう。
「ぎっくり腰のほとんどは、時間がたてば痛みが引いてくるもの。あまりにつらい場合は寝ていてもいいのですが、ある程度落ち着いたら普段どおりの生活を送るほうがいいですね」ちなみに2、3日で痛みが引いてくれば骨折などのトラブルが隠れている心配はないので、通院は必要ないそう。それよりも日ごろの姿勢を見直し、腰痛を繰り返さないための工夫を取り入れるのがおすすめ。
「腰痛は、腰の骨と骨の間にある椎間板のズレで生じます。猫背で腰が丸くなると、椎間板への圧力が偏るんですね。それによって椎間板の中の髄核というゼラチン状の物質がズレて、線維輪に亀裂が入るので腰痛に。慢性化したものは放置していても治らないので、積極的なケアが必要になります。湿布やマッサージなどはあくまでも対症療法。生活環境を整える、体操を取り入れるなど、根本から原因にアプローチしましょう」
2.医師が回答！ぎっくり腰がクセになるというのは本当？
読者からの疑問にドクターがアンサー
Q1 家族全員腰痛持ちですが、腰痛は遺伝しますか？
A 遺伝はしませんが、生活習慣は要因になりえます
腰痛は遺伝性ではありません。ただ、椅子より床に座ることが多いなど、腰痛になりやすい生活習慣は重なりますよね。すると家族で腰痛持ちになりやすく。
Q2 腰痛になりやすい人の特徴はありますか？
A 身長も年齢も国籍も性別も関係ありません
身長や性別などは関係ありませんし、日本人が特になりやすいというわけでもなく腰痛悩みは世界共通。姿勢がいいか悪いか、それが決め手です。
Q3 ぎっくり腰がクセになるというのは本当？
A しっかり治療しなければ再発する可能性あり
椎間板は血流が乏しい組織なので、いったん線維輪に亀裂が生じるとなかなか治りにくいもの。その意味では、腰痛はクセになりやすいと言えますね。
Q4 心理的なストレスも腰痛の原因になりますか？
A ほかに原因が見つからない場合、関連しています
ストレスを抱えると脳が過敏になり、痛みを感じやすくなることは研究で判明しています。椎間板に問題ないのに痛みがある人はストレスの可能性大。
3.腰痛に関するリアル悩み10問10答
＼教えて銅冶先生！／「腰痛」の リアル悩み10問10答
お悩み1 慢性的な腰痛が完治することはありえますか？（35歳・広告代理店）
A しっかり対処すれば腰痛は完治できます！
何十年と悩んできた腰痛が、体操で完全に治ったという方も。きちんと原因を見つけ、猫背を正したり腰椎のズレを体操で戻したりといったケアを続ければ完治はありえます。あきらめずきちんと向き合いましょう。
お悩み2 痛みがひどいとき、楽になる姿勢は？（29歳・金融営業）
A うつぶせ寝がおすすめ
ぎっくり腰は猫背で生じることが多いので、その場合、腰を伸ばすと楽になります。そういった意味で簡単にできるセルフケアはうつぶせ寝です。痛みが楽になるし緊張もとれますよ。
畳や床など体が沈み込まない場所がおすすめ。手は体の横や顔の下など楽な位置でOK。
お悩み3 家の中でまず見直すべきは「ベッド」ですか？（28歳・受付）
A「ベッド」は最後。まずは椅子から
日常の姿勢が腰痛の大きな原因なので、まずは長時間過ごす椅子の見直しを。座っているときは猫背になりがちなので、クッションで補整するだけでもかなりの変化があるはず。
お悩み4 腰痛にならないための座り姿勢を教えてください（31歳・客室乗務員）
A パソコンのデスクトップはまっすぐ目線の先にあるのが理想
パソコンは、座ったときに目の高さにあるのが理想的。もしノートパソコンを使うのであれば、背中が丸まらないよう台を置いて目線を上げるなどなんらかの工夫をして。
椅子の背もたれにつけると腰椎が支えられて、自然と腰への負担が軽減。ドウヤメソッド腰支え枕￥8800／お茶の水義肢装具
お悩み5 腰痛持ちなら、ヒールの靴は避けるべき？（32歳・事務）
A 腰痛タイプによるので、どちらか確認を
ハイヒールを履くと腰が反ってしまう人が多いですね。ただ、腰を反らせたほうが楽になるタイプであれば、ハイヒールを履いても問題ありません。自分のタイプを見極めて。
お悩み6 腰痛・ぎっくり腰は運動不足・筋肉不足と関係がありますか？（32歳・事務）
A 関係ありません
「運動不足で……」なんて言い訳をしがちだけれど、腰のトラブルと運動は関係ないそう。逆に、無理な筋トレで痛めている人は多いですね。筋力と腰痛に関係はありません。
お悩み7 腰が痛いときは「冷やす」と「温める」どちらが正解？（33歳・法律事務所事務）
A どちらでもOK。自分の痛みが軽減されるほうを選んで
温感は唐辛子成分、冷感はメンソールでもたらされるものが多いですね。シップの効果は痛み止め成分が浸透して発揮されるものが多いので、使うなら好みで選んでOK。使って自分が楽と感じるもので大丈夫。
（上から）極薄で服に響かない。パテックス®うすぴたシップ24枚入り第3類医薬品￥1300（編集部調べ）／第一三共ヘルスケア 腰に直接貼るとぽかぽか。めぐりズム蒸気の温熱シート8枚入りオープン価格／花王
お悩み8 食生活で注意すべきことは？（29歳・秘書）
A 糖分のとりすぎには要注意
椎間板はタンパク質からできているので重要な栄養素ですが、食べたら腰痛がよくなるというものではありません。ただ、糖質はタンパク質を劣化させる糖化を引き起こすのでとりすぎ注意です。
お悩み9 腰痛からひざ痛に。かばって歩いていることが原因？（36歳・メーカー事務）
A ひざの痛みも腰痛が原因になっていることが多いです
腰を痛めるとひざなど脚にも痛みが出ることがあります。これは腰から脚全体へと神経が通じているためで、適切な体操で腰を根本的に治せば脚の痛みも治ることがほとんど。
お悩み10 「ぎっくり腰一歩手前のヒヤヒヤ」を感じたとき、どんなことをすべき？（32歳・販売）
A 前屈か後屈、腰が楽になるほうの体操を
椎間板は日常の動作で常に動いています。悪い姿勢が続き、椎間板の中にある髄核がズレ始めているのがその“ヒヤヒヤ感”。自分に合った体操でズレを戻して。
後屈で楽になる人は…
両足を開き上半身を壁に預ける。両手を腰に当て、おなかを壁に密着させたまま2〜3秒反らす。10回×5セット
前屈で楽になる人は…
両足を開いて壁に寄りかかり、足は一歩前へ。骨盤を壁につけたまま上半身を倒して2〜3秒。10回×5セット
イラスト／黒猫まな子 取材・原文／高見沢里子 構成／田畑紫陽子〈BAILA〉 ※BAILA2020年9月号掲載
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