朝起きたときにスッキリしない、眠りが浅い気がする、そもそも睡眠時間が全然とれない…。肌や心身のコンディションと深く関わる、眠りの悩み。その解決の糸口は、“睡眠ホルモン”にあった!
1.働く女性の睡眠事情は?
BAILA読者の睡眠事情!
Q.平日の平均睡眠時間は?
6.5時間
忙しい平日の睡眠時間は少ない人で平均5時間、多い人でも7時間。多くの時間を仕事に割きつつ、そこにプライベートな時間を加えていくと、平日にたっぷり寝るのはなかなか難しいのが現実……
Q.その睡眠時間、満足できてる?
NO 68%
YES 32%
7割近くの人が「寝足りない」と感じているもよう。もう少し寝たいと思いつつ、改善できていない日々!
Q.睡眠の質を高めるためにやってることある?
YES 82%
NO 18%
質向上のためのアクションを起こしている人が8割以上! それだけ自分の睡眠に危機感がある証拠
2.いい睡眠のカギとなる“メラトニン”とは?
アフロードクリニック表参道
道下将太郎先生
脳神経外科医、環境宇宙航空医学認定医。東京慈恵会医科大学卒業後、同大学病院勤務を経て、2022年にアフロードクリニックを開院。治療にアートや音楽を取り入れるなど、新たなアプローチの医療を提供。
肌と体のリカバリーのために睡眠を見直すことが重要!
仕事やプライベートのストレス、紫外線や大気汚染といった外的要因……。私たちを悩ますあらゆる肌ダメージを蓄積させないためには、それらを明日に持ち込まないことが重要。そこでキーとなってくるのが、睡眠。私たちが体を休めている夜間に細胞がダメージを修復するという素晴らしい機能だが、現代人は生活習慣の乱れによって睡眠の質が著しく低下。修復が間に合わず、気づいたときにはガクンと“肌落ち”なんてことも。
“いい睡眠”のために…注目したいのはメラトニン
それならば限られた睡眠時間の中で、質を見直したい! そう考えたときにキーとなるのが、“睡眠ホルモン”と呼ばれるメラトニン。生体内リズム(サーカディアンリズム)をコントロールするメラトニンを上手に分泌させることができれば、睡眠の質がアップ。夜中に目覚めることなく、じっくりしっかり日中のダメージ修復が可能になる。速やかな入眠と快適な目覚めも手に入って、日中のパフォーマンスも向上。いいことずくめ!
睡眠にはメラトニンの濃度が関係していた!
「睡眠と覚醒など人間本来の生体リズムを調整する役割を果たすホルモン、メラトニン。暗くなると生成が促されて濃度が上がり、光があると生成が止まり濃度が下がるという仕組み。メラトニンの濃度を上げると速やかに入眠しやすくなるので、まずは暗い環境に身を置いて」(道下先生、以下同)
体内時計とデジタル時計のラグが体のギアチェンジを狂わせている!
「現代はデジタル時計によって日常が支配されている人がほとんど。日が落ちてもまだまだ明るく活動時間が続くため、もともと体に備わっている体内時計との間に時差が生じており、光刺激によって濃度が変化するメラトニンのバランスがくずれてしまっています。それが眠りの質の低下を招いていると同時に、覚醒にも影響を及ぼし、日中のパフォーマンス力も下げる結果に。要は、昼夜問わず心身のギアチェンジがうまくできていない状態なんです」
肌でもつくられるメラトニン。それ自体にも美容効果がある!?
「メラトニンは脳の中の松果体という場所で産生されることで知られていますが、最近ではそのほか様々な臓器でもつくられていることが解明されてきました。そのひとつが肌。メラトニンそのものに抗酸化作用があるだけでなく、産生の際に代謝される物質にも抗酸化力があり、一石二鳥!」
メラトニンは加齢とともに減り続けている!
「質のいい睡眠にも肌にも重要なメラトニンですが、産生は18歳をピークにどんどん減少していくことがわかっています。特に松果体は石灰化しやすい部位で、脳での産生は低下の一途。年齢とともに減少して濃度が下がるメラトニンだからこそ、日々の正しい習慣やコスメなどでサポートを」
できなくても知っておきたい、メラトニンのための理想のナイトルーティン
20:00 夕食 消化を考えて4時間前に
22:00 お風呂 入浴で体をあたためて
23:00 ブルーライトをOFF 携帯を手放して。読書はOK
24:00 睡眠 ベッドは寝るだけの場所!
「朝7時起きで7時間睡眠となると、タイムテーブルが決まってきます。就寝前のストレッチなどは部屋で行い、ベッドでは寝るだけに。おやすみ中は足もとから放熱するので、靴下はNG」
ショートスリーパーはほぼ存在しないらしい
「諸説ありますが、遺伝子的にそういう方は1%未満。つまりショートスリーパーに“なる”ことは難しいでしょう。睡眠時間が7時間を切ると生活習慣病のリスクが上がるというデータも」
パジャマ¥33000/モットハウス・トーキョー(スリーピー・ジョーンズ)
3.美肌のための睡眠向上ティップス
メラトニンにアプローチすることで美肌免疫機能がさらにアップ
メラトニン濃度をコントロールして、肌の再生能力をアップ
不規則な睡眠による体内時計の乱れが、肌のバリア機能をゆるがす点に着目。メラトニン合成遺伝子の発現を促進するアミノ酸配合で、肌の抗酸化や抗炎症効果の向上を目指す。アルティミューン パワライジング コンセントレート Ⅲn 50ml ¥13200/SHISEIDO(10月1日発売)
眠れない夜はベッドに急がずリラックス
「大切なのは環境設定。ベッドの上でダラダラ過ごす時間を減らし、アイマスクをするなど自分の中での“寝るサイン”を決めることも有効です。眠れないときは眠くなるまでほかの部屋でゆっくりし、眠気を感じてからベッドへ」(道下先生)
携帯は枕元でなく足もとに。ブルーライトを完全にオフして入眠
「現代人の睡眠においていちばんの大敵は、やはり携帯やPC。ベッドに入る際に電子機器を枕元に置くのを避けましょう。とはいっても翌朝のアラームなどで必要な場合も。携帯は足もとに置くと、目覚めの際にも自然に起き上がれるのでおすすめです」(道下先生)
枕元にシュッとひと吹き。香りの力で深い眠りと爽やかな目覚め
(左から)夜中に目覚めてしまう人に。ネロリやクラリセージの精油が、心と体をゆるめて穏やかな睡眠を誘う。ザ パブリック オーガニック スーパーディープナイト ホリスティック精油ピローミスト クオリティスリープ 60ml ¥3080/カラーズ 心身をほぐすラベンダーやオレンジ、カモミールなどに加え、セダーウッドや独自の香気成分をブレンド。心地いい入眠と目覚めの両方にアプローチ。スイッチング アロマ ピローミスト 30ml ¥3850/アスレティア
それでも睡眠の質が上げられない…なら、肌のリカバリー力を外からサポート
塗って眠りにつくだけ。翌朝には理想の肌がかなう魔法
(上から)貯水CICAヴェールという新フォーミュラで、肌に薄膜が密着。ひと晩中潤いを抱え込み、睡眠不足を感じさせないもっちり肌が実現。カームブライトニング ナイトリペアマスク 50g ¥4730/セルヴォーク みずみずしいウォータージェルに溶け込んだアロマオイルのカプセルが肌の上でブレイク。シダーウッドやユーカリの香りが広がり、静かな森での休息を擬似体験。翌朝には潤いに満ちた肌に。アロマティック スリーピングマスク 80g ¥7700/BAUM
疲れた肌を癒すリチュアルで心地よく夢の世界へ
(左から)睡眠の質と精油の関係に着目した独自のブレンド精油を採用。シトラスハーバルの香調を深呼吸するように肌に滑らせれば、スムーズな入眠がかなう。バランシング オーバーナイト オイルセラム SQ 28ml ¥11000/THREE(10月4日発売) 独自の美活菌®発酵液をはじめ、夜の肌が必要とする成分をぎゅっと凝縮。スペシャルケアとして週に数回、就寝前にマッサージするように塗布。ソフィスタンス リチュアル 3g×10包 ¥9900/ソフィスタンス
“よく寝たあとの肌”に導く名品があれば、寝不足も怖くない
(左から)肌の再生プロセスにおける時計遺伝子に同期。ブルーライトなど日中のダメージを効率的に修復。アドバンス ナイト リペア SMR コンプレックス 50ml ¥17050/エスティ ローダー 玉ねぎ状のカプセルがひと晩かけてほぐれ、角層深くまで美容成分を届ける。3時間多く眠ったような肌に。リポソーム アドバンスト リペアクリーム 50g ¥11000/コスメデコルテ “夜の女王”との別名を持つムーライトカクタスを配合。寝ている間に過労肌を素早く立て直す。ピュアショット ナイトセラム 50ml ¥16170/イヴ・サンローラン・ボーテ
モヘアカーディガン¥82500(参考価格)/ワングラムチャン02.03(マイアミ) Tシャツ¥13200/マーガレット・ハウエル ハウスホールドグッズ(マーガレット・ハウエル) アイマスク¥11000/フートウキョウ(フートウキョウ) メガネ¥38500/アヤメ
撮影/大塚三鈴 へア&メイク/吉﨑沙世子〈io〉 モデル/emma スタイリスト/鈴木美智恵 取材・原文/前野さちこ 構成/渡辺敦子 ※BAILA2023年11月号掲載