こんにちは。
スーパーバイラーズの今越さくらです。
今回は都内にある大正時代に創業した米屋「板五米店」が作るあんみつをご紹介します。
築100年ごえの風情ある古民家の中でいただく味は格別。「忘れられない味」です。
連綿と続く歴史の重みと、手作りのぬくもりをお伝えさせていただきます。
▶︎創業当時のおもかげを残す店構え
2階建ての店は、土壁の上に漆喰などを塗って仕上げる「土蔵造り」で、1914(大正3)年に中山道中(現板橋区仲宿)建てられました。耐火性が高く、関東大震災や2度の世界大戦の戦禍を生き延びました。現在も創業当時の面影を残しており、板橋区の登録有形文化財として登録されています。
中山道は日本橋から京都三条大橋までを結ぶ内陸路で、仲宿は江戸時代に宿場町として栄えました。しかし、時代とともに街や人々のライフスタイルも変わり、その歴史に幕を下ろす個人商店が増えました。「板五米店」もその一つで、しばらくの間、空き家状態になっていたそうです。
「板五米店」の営業が再開したのは2019年12月。地域で長年、親しまれてきた建物を保存・活用しようとの気運が高まり、仲宿商店街振興組合、板橋区などと地域の事業者で結成された会社「向こう三軒両隣」が連携し、「板五米店再生プロジェクト」が始動。米屋は地域の人々が憩う「おむすびカフェ」として生まれ変わりました。
外観は当時のまま、内装をリニューアル。店内は木造の温もりと畳の匂いに満ち、大きな窯で炊かれたお米の香りが鼻をくすぐります。日本人の心に訴え掛けるノスタルジックな空間です。私が訪れた際は、SNSでお店を知った大学生や高校生も足を運んでおり「エモっ」「思ってた以上にエモいね」「うん、エモすぎる」という会話を繰り広げていました。たしかにエモい。
お子様向けメニューもあり、家族で訪れる方も多かったです。
▶︎豆腐の白玉を使ったカラダに優しいあんみつ
みなさんは、あんみつお好きですか。私は大好きです。数ある和菓子の中でも「これ考えた人、天才じゃない?」と思う一品です。
「板五米店」のあんみつの魅力は、なんといっても白玉。水の代わりに水分を含んだ「豆腐」を使い、一つ一つ手ごねして作られています。同じ形のものがなく、手作りのあたたかみを感じます。
りんごやさくらんぼ、桃やいちごなどの果物がふんだんに盛り付けられ、見た目も華やか。ふっくらもちっとした食感がたまらない白玉と、小豆を粗く濾したあんこのやさしい甘み、黒蜜のコク、果物の酸味、寒天のつるんとした食感と爽やかさがベストマッチしています。
食後は、その丁寧な仕事ぶりに感謝して心から「ごちそうさまでした」と言いたくなる一皿です。
ミニサイズの用意もあるので、お食事と一緒に召し上がるのもおすすめです。
▶︎ 看板メニューの「おむすび」や「わっぱめし」もぜひご一緒に
看板メニューは何といってもおむすび。
白米と玄米から選べます。おむすびを両手で持って、頂上からガブリと口にほおばると、多幸感でいっぱいに。ふっくらと炊きあがった温かいお米はかみしめるたびに甘みが広がります。中の具材も20種類ほど用意があり、「次来るときはこれも頼んでみたいな」と思わせてくれます。
私が好きなのは「煮たまご」や「いか明太」。梅や鮭、ちりめんじゃこ、高菜、明太子などベタなものも揃っています。お味噌汁は少し甘め。お新香の塩味とのバランスが取れています。
焼き鮭や牛のしぐれ煮、厚焼き玉子などが乗った「わっぱめし」もおすすめです。
白米が見えないように詰め込まれた食材は、一つ一つがしっかり味付けされており、何を食べても「丁寧だな~」とため息をつきたくなります。箸を運ぶたびに「あぁ、今、すごく幸せだなぁ」と思うんですよね。
初めて板五のわっぱめしをいただいたとき、当時の暮らしを振り返って、すごく反省したことを覚えています。もともと、丁寧な暮らしが好きで、炊飯器じゃなくて土鍋でご飯を炊くことに幸せを感じるタイプだったのに、日々の仕事に追われて自炊から距離を置いてしまい、「食べるの私だけだし」「時間掛かるし、洗い物めんどくさいし」と自炊をしない言い訳を並べてはコンビニに足を運ぶ生活をしていました。でも、このとき、その丁寧な仕事ぶりに感動して、襟を正される思いがしました。「ちゃんと自分のこと幸せにしてあげよう」って。
結局、忙しさにかまけて、外食が多いですが(笑)、自炊をする際は白米を土鍋で炊きます。目標はこの板五のご飯です!
おわりに…
地域の方々で賑わう活気のあるお店です。
お近くにお住いの方はぜひ、一度足を運んでみてください。
以上、今越さくらでした。