仕事と恋愛、婚活、そして結婚……。人生を大きく左右する帰路に立つアラサー女性たちのリアルな心の声を描写し、「これ、私のことかも」と共感を得ている二人の作家。それが宮木あや子さんと山内マリコさん。二人とも「女による女のためのR-18文学賞」受賞経験者。実生活でも仲良しな二人の、マストリードな代表作を紹介。
「帝国の女」(光文社) 宮木あや子
大手テレビ局・帝国テレビジョンを舞台に美人プロデューサー、女性脚本家など男社会で闘う女たちのシビアな日常を描く。どこまでが仕事でプライベートなのかわからいない暮らしの中で、彼女たちが何を選択していくのか。切実でリアルな恋愛模様が心に染みる一作。
「野良女」(光文社文庫) 宮木あや子
DV男にハマる桶川、不倫におぼれる横山など、恋愛をこじらせた5人のアラサー女子のあけすけなガールズトークが痛快。どんな悩みも明るくポジティブに笑って飲んで翌日からはまたは頑張る。結局頼りになるのは女友達なんだと実感できる作品。舞台化され今年4月5日から東京・シアターサンモールで上演。話題になりそう!
「あのこは貴族」(集英社) 山内マリコ
東京生まれで何不自由なく育った華子。20代後半で彼氏に振られ、友人たちの結婚に焦り、お見合いを重ね、ようやく結婚にこぎつける。一方で地方から上京して東京の大学に入学するものの経済的事情で中退した32歳の美紀。生まれも境遇も違う二人が同じ男性をめぐって繰り広げる恋愛模様。いわゆるスペックのいい男性と結婚すればそれで幸せなのか?について考えさせる一作。
「かわいい結婚」(講談社) 山内マリコ
専業主婦になったものの、家事能力はゼロ。単調でエンドレスな日常をもて余すひかり。夫のまーくんはそれを非難するわけでもなく、でも何を正解とすればいいのか、何を真似ればいいのかわからない……。結婚していたら「ちょっとわかる」ような、まだ結婚していなかったら「そうかもしれない」と思うような。無気力主婦が抱える孤独をコミカルに描いていて思わずぐいぐいと引き込まれます。結婚のリアルに気づきつつもそれをどのように自分で楽しく面白みのある生活にしていくか。これから結婚を考えるなら読んでおきたい。
今日から新年。2017年は何から読もうかな……と悩んだら、ぜひ二人の作品をチェックしてみてください。あるある!と共感できるもの、心がスカッと晴れるもの。仕事や恋愛にいき詰まったらぜひ読んでほしい「心のサプリ」的な作品ばかり。本誌1月号「『婚活』にさまよえる女子たちへ」では二人が面白くてタメになる徹底トークを展開しています! おほかにも代表作がたくさんありますが、詳しくは本誌のほうでもぜひチェックしてみてくださいね。