“ちょっとの更新”が素敵を左右するからこそ、去年可愛かったあのニットは、着こなしは、どうアップデートするのが正解? BAILAの人気コンビ、エディター・伊藤真知さん&スタイリスト加藤かすみさんが教える、“2周目”ニットの着こなしを一挙公開!
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スタイリスト加藤かすみさん
「今年は色も大事!トーンを合わせて大人っぽく」
表紙やファッション特集を数多く手がける人気スタイリスト。センスと理論に基づいた着こなし術にはファンも多く、「かすみさんのコーディネートは売れる!」は定説。
エディター 伊藤真知さん
「パンツ派の私もスカート合わせに開眼しました!」
本誌をはじめ数々の女性誌で活躍するエディター。等身大のリアルなコーデやまねしたくなる着こなしセオリーで、私服スタイルも人気。昨年、初のスタイル本を刊行。
1.「去年のニット」をアップデートするには?
マンネリ? いいえ、「2周目ニットコーデ」こそラクして素敵になれる近道です!
伊藤 ざっくりしたタートルは定番だったし、リブもブラウンも着ていたし……今年のニットって、去年着ていたものもけっこう多い印象ですね。
加藤 あまりトレンドがない、というと否定的になってしまいますが、似ているものが多いのは事実。でもそのぶん素材が変わったり、きれいな色が増えたり、少しずつですが今年らしくアップデートしています。
伊藤 シャーベットのようなアイスカラーも新鮮ですし、毛足の長いモヘアも去年はそんなに見なかった質感。ニットワンピもゆるくてすとんとした形から、メリハリのあるAラインに変わっていたりと、全体的に女性らしくなったのかな?と。
加藤 そうですね。でもその女性らしさも、たとえば肌見せだったら、以前は背中あきやオフショルのようにわかりやすく肌が出るものが多かったけれど、今年だったら透けやタイトなライン。直球よりもどこか奥ゆかしく、品のよさを感じさせることがポイントなのかなと思います。
伊藤 着こなしもこれまではデニムなどでカジュアルに振っていることが多かったのですが、そもそもニットの品がいいのできれいめなパンツにも合わせやすい。個人的には甘くなりそうで苦手だったスカートも、つやのあるサテンやエコレザーのプリーツなど、スカートそのものが大人っぽく更新されたこともあって、ぐっと合わせやすくなりました。
加藤 確かにニットはほっこりしがちなアイテムではあるので、着こなしにも女っぽい要素を足していくのがいいのかなと思います。つやや堅さなどインパクトのあるトレンド素材を合わせることで、“変わった感”も出しやすいですしね。
伊藤 変わったといえば、足もとも。流行のロングブーツはともかく、スニーカーやローファーも含めて圧倒的にぺたんこが増えました。
加藤 生活様式が変わり、“オンオフどっちもいける”ことが重視される今は、スポーティな要素もよりリアルなものとして受け入れられるように。着慣れた茶系のワントーンや、可愛いニットとプリーツスカートだからこそ、スニーカーにしてみるのも今年らしさのひとつの手。きれいだけど走れる、ラクだけど女っぽい、そんなオールマイティな着こなしも、“2周目”の今だから、挑戦しやすいのではないでしょうか。
ニット選びも、着こなしも品のよさを感じる女性らしさを(加藤さん)
揺れるようなモヘアや透け素材が新鮮。(左)¥73000/マディソンブルー (中)¥21000/ロンハーマン (右)¥39000/ル フィル NEWoMan新宿店(ル フィル)
旬のワントーンが手軽に楽しめるニットアップも注目。ニット¥16000・スカート¥16000/ノーク(ノーク バイ ザ ライン)
きれいな色が増えて、ワントーンコーデの楽しみが広がりました!(伊藤さん)
淡くスモーキーなアイスカラーはどんな色ともなじみがよく万能。パンツ(左)¥9900/ノーク(ノーク バイ ザ ライン) (右)¥20000/ルーニィ
バッグ¥60000/フルラ ジャパン(フルラ)
かっちりショルダーやパイソン靴、やわらかなニットをおしゃれに締める小物もマスト。靴¥36000/ベイジュ(ピッピシック)
ニットラバーな二人の「2周目ニット」の盛りテクは?
やさしい色が増えた今年は、小さなピアスで上品な華やぎを
「ニットにも合わせにもきれいな色が増えた今季。色の華やかさを損なわないように、盛り上げアクセはやや控えめに。小ぶりでも印象的なゴールドの太めフープピアスを愛用中」
暖かいニットに冷たいアクセ。手もとは“締めて”洒落感アップ
「ニット自体がやわらかくふわっとした印象なので、アクセなどはシルバーなど辛口なもので締めたほうが好バランス。時計のベルトも服色に近いものなど、少ない色数で品よく」
2.ゆるタートルニットは“真逆”の素材感のボトムスと
《ゆるタートルニット》去年はこう着た
’19年11月号 撮影/YUJI TAKEUCHI〈BALLPARK〉
《ゆるタートルニット》今年はこう着る!
ふんわりモヘアときっちり細プリーツで“真逆”の素材感ではっと素敵に!
「可愛いニットにプリーツスカート、そこにパンプスだと直球すぎてしまうので、時代のムードも反映したスニーカーを。ちょっとアクティブに見えたほうが、甘い服はおしゃれに仕上がります」(加藤さん)、「素材も色も甘いので、形はハンサムなクルーネックを選ぶと洗練された雰囲気に。モヘアニットの目新しさをじゃませず、それでいてスパイスになるような同系色のスニーカーは理想的」(伊藤さん)。ニット¥60000・スカート¥38000/ボウルズ(ハイク) リング¥48000/ショールーム セッション(マリハ) バッグ¥13000(ジャミレイ)・スニーカー¥10000(ナイキ)/ユナイテッドアローズ 有楽町店
《Kasumi's Point》
揺れるような毛足の長いモヘアを使ったボリュームニットは今季、大注目の一枚。ベーシック色でも登場していますが、せっかくなら色も淡いパステルで更新を。
《Machi's Point》
プリーツスカートとの相性のよさはお墨つき。でも今年は、折り目きっちりの細プリーツで大人っぽく。ハズしではなく、“なじむ”スニーカーも今の気分です!
3.コンパクトニットはきれい色でワントーンコーデに
《コンパクトニット》去年はこう着た
’20年1月号 撮影/YUJI TAKEUCHI〈BALLPARK〉
《コンパクトニット》今年はこう着る!
シンプルなコンビが即、華やぐきれい色のワントーン
「定番色では着尽くしてきたワントーンも、きれい色ならまた印象は一新!」(伊藤さん)、「決め手は案外、靴。重たい黒や茶は避け、抜け感を出したいところ。さわやかに白もいいけれど、秋冬ならほどよく締まるアニマル柄を。ヒョウほど強くなく、アイスブルーにもなじむパイソンが適任」(加藤さん)。ニット¥27000/ロンハーマン(オーラリー フォー ロンハーマン) パンツ¥9900(ノーク バイ ザ ライン)・コート¥26500(ノーク)/ノーク バッグ¥62000/フルラ ジャパン(フルラ) リング(人さし指)¥11000・(中指)¥10000/エテ 靴¥36000/ベイジュ(ピッピシック)
《Kasumi's Point》
一点ピリッときかせるよりワントーンでさらりと。今年のきれい色は“全身”で楽しむのがトレンド。
《Machi's Point》
挑戦しやすいのはブルーやピンク、パープルといったひんやり系のアイスカラー。パイソン靴が相性バッチリ。
4.リブニットは薄手タートルを選ぶと今年っぽい
《リブニット》去年はこう着た
’19年10月号 撮影/三宮幹史〈TRIVAL〉
《リブニット》今年はこう着る!
トレンドのチェック柄フレアと薄手のタートルで鮮度高めに
「ネイビーや茶系など、チェックは地味めなほうが大人向き」(伊藤さん)、「柄を着るときは、ほかのアイテムと色をリンクさせるのが基本。ニットはネイビーでも素敵ですが、ジャケットと重ねると少し重く、トラッド要素が強いので、ベージュで抜いて女性らしく」(加藤さん)。ニット¥18000/アンクレイヴ スカート¥125000/マディソンブルー ジャケット¥27000/ノーク(ノーク バイ ザ ライン) バッグ¥54000(ア ヴァケーション)・靴¥55000(ペリーコ サニー)/アマン ピアス¥36000・リング(上)¥79000・(下)¥48000/アーカー ギンザシックス店(アーカー)
《Kasumi's Point》
旬のチェックが入るだけでわかりやすく更新感がアップ! コーデ全体で色を合わせて何色も使わないのがポイント。
《Machi's Point》
一見シンプルなタートルも実はトレンドの透け素材。着慣れた形も質感を変えてフツウに見せない工夫を。
5.ニットワンピースの今年らしい着こなしって?
《ニットワンピース》去年はこう着た
’19年11月号 撮影/遠藤優貴〈MOUSTACHE〉
《ニットワンピース》今年はこう着る!
ラクして女っぽいフィット&フレアのワンピにロングブーツの新シルエットで
「体にフィットする以上、裾までピタピタしたIラインではただのボディコン状態。なので形は、絶対的にAラインを。凹凸感のあるリブや黒など、タイトでも響きにくい色や質感を選ぶのも大事です」(伊藤さん)、「一枚で着るアイテムだからこそ、ストールなどポイントになる小物も必須。縦のラインを強調し、スタイルアップして見える“流し巻き”は、可愛い揺れ感も出せておすすめです」(加藤さん)。ワンピース¥42000/アニエスベー ストール¥24000/オーラリー バッグ¥55000/マイケル・コース カスタマーサービス(マイケル マイケル・コース) ピアス(1個)¥14000・イヤカフ¥11000/ショールーム セッション(マリア ブラック) 靴¥59000/ベイジュ(ピッピシック)
《Kasumi's Point》
一枚で完結するワンピース。特に冬は露出が減るぶん、ラインを出して女っぽく。コートを羽織ったときにできる“すき間”がきゃしゃさや可愛さにもつながります。
《Machi's Point》
パンプスやショートブーツもいいですがややコンサバで、代わり映えしない印象。流行のロングブーツに“かぶせて”着る、そんな今年流の足もとがいいアクセントに。
6.加藤かすみさん&伊藤真知さんの最新ブラウンニットコーデ
スタイリスト 加藤かすみさんの今年着たいブラウンニットコーデ
「グレーのようなあいまいなブラウンに惹かれて選んだニットは、ややフレアなデニムやブーツと合わせるのが定番。全体的に色は抑えつつ、寂しくならないように柄のバッグもよく使います。茶色のニットでメイクも茶系だとコンサバ感が強くなるので、目もとやリップにはオレンジ系を選ぶことが多いですね」
「サイドに大きくスリットが入っているので、厚みがあっても動きが出やすく、女性らしく着こなせるのもお気に入り。タートルは直接首に触れ続けるので、チクチクしないウールやカシミヤなど、ストレスフリーな良質素材を選ぶのも欠かせません」。ニット¥23000/プラージュ 代官山店(プラージュ) バッグ¥54000/アマン(ア ヴァケーション)
エディター 伊藤真知さんの今年着たいブラウンニットコーデ
「着こなしによって甘くも辛くもいけるチョコブラウンは、大好きな色。ですが小柄なこともあり、色が暗くてボリュームのあるニットだと“着られて”しまうので、コンパクトなリブタートルですっきりと。カラーパンツにインして、腰位置を高く見せるのもマイルールです」
「ぴったりしていて胸元があいていると変に女っぽくなってしまうので、リブニットはタートルや襟つきが絶対。肩のボタンなど目線を分散させるディテールも有効」。ニット¥8800/ザ・スーツカンパニー 銀座本店(ザ・スーツカンパニー) パンツ¥17000/ルーニィ コート130000/ロンハーマン(エブール フォー ロンハーマン) 靴¥18000/オデット エ オディール 新宿店(オデット エ オディール)
7.ブラウントーンの最新ニットコーデ4選
「ワントーンでも、きれい色を合わせる日も、全体のトーンをそろえて大人っぽく」(加藤さん)
「着慣れた形を、目新しい素材で。それだけでも更新感は出せるはず」(伊藤さん)
やわらかなブラウンベージュのニットコートを主役に、白多めでまろやかに仕上げたフェミニンカジュアル。「見た目はきれいだけどラクで快適、そんな着こなしが今の気分。スニーカーは以前のようにグイグイ主張せず、街着に似合うリアルハイテクも増えてきているので、淡いトーンにも合わせやすいはず」(加藤さん)。コート¥23000/ザ ヴァージニア ルミネ有楽町店(ザ ヴァージニア) Tシャツ¥13000/サードマガジン パンツ¥19000/ウィム ガゼット ルミネ新宿店(ウィム ガゼット) バッグ¥39000/RHC ロンハーマン(ステート オブ エスケープ) スニーカー¥15000/シシ
《Kasumi's Point》
通勤服も“走れそう”が今のリアル。スニーカーやロンT、ゴムウエストなどきれいめなスポーティ要素をさらりと。
「自信を持って着こなせる定番のシルエット、そしてアップデートしたとはいえ着やすいブラウンのニットなので、“安パイ”なデニム合わせは封印! つやと揺れ感が美しいサテンスカートのおかげで、リラックスなニットもほっこりせず、コーデの幅が広がりました」(伊藤さん)。型押しのバッグやパイソン柄の靴で辛さもひとさじ。ニット¥12000/ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ丸の内店(ビューティ&ユース) スカート¥19000/ウィム ガゼット ルミネ新宿店(ウィム ガゼット) バッグ¥30000/サマンサタバサ ルミネ新宿店(サマンサタバサ) 靴¥38000/ベイジュ(ピッピシック)
《Machi's Point》
昨秋、週4で着ていたざっくりタートルは旬のブラウンにして、今年もおかわり! ただし着こなしはつやスカートで女っぽく。
ただでさえ色の幅が広いブラウン。特にきれいな色と合わせるときは、どこか雰囲気の似たブラウンを選ぶと全体がチグハグにならず上品に。「ちなみにパンツはややスモーキーで、大人にも使いやすいアイスピンク。今年のきれい色は“なじませ色”に近い感覚。パキッと一つで主役になるものより、茶色にもグレーにも合わせられそうな、あいまいさのあるものが重宝します」(加藤さん)。ニット¥18000・カーディガン¥22000/アンクレイヴ パンツ¥20000/ルーニィ バッグ¥54000/アマン(ア ヴァケーション) 靴¥18000/オデット エ オディール 新宿店(オデット エ オディール)
《Kasumi's Point》
相手がピンクだったらブラウンも“赤寄り”。色のトーンや方向性をそろえるのがきれい色とのコーデを品よく見せるコツ。
「ふんわりモヘアとパリッとしたレザーという対照的な素材なら、同色のニット+スカートでも表情豊か。エコレザースカートにブーツを合わせると、つや感が連なって主張しすぎてしまうので、寒さを増す冬本番でもタイツ+フラット靴がおすすめです」(伊藤さん)。ニット¥28000・スカート¥29000/インターリブ(サクラ) ジャケット¥37000/ユナイテッドアローズ 有楽町店(ユナイテッドアローズ) バッグ¥24000/ドレステリア 新宿店(ザ・ディレッタント×ドレステリア) 靴¥23000/ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 渋谷公園通り店(バス×ビューティ&ユース)
《Machi's Point》
変わった感を出すには、毛足の長いモヘアやエコレザーなど、素材でインパクトを。真逆の質感でワントーンも洒落見えに!
撮影/曽根将樹〈PEACE MONKEY〉(人)、魚地武大〈TENT〉(物) ヘア&メイク/桑野泰成〈ilumini.〉 スタイリスト/加藤かすみ 取材・原文/伊藤真知 構成/三橋夏葉〈BAILA〉 ※クレジット表記のないものは本人私物です ※BAILA2020年11月号掲載