まだまだトレンドの続くピンクを今季、大人が上手に取り入れるには? 甘くない“冴えるピンク”を楽しむためのコツを、おなじみスタイリストのサトカナこと佐藤佳菜子さんが明快アンサー!
1.スタイリスト佐藤佳菜子さんが選ぶ旬のピンクアイテム7選
Q.今年気になるピンクは何ですか?
A.私のピンクはいつでも淡いピンク一択です
「ピンクが苦手な人って、ぶりぶりしてる?可愛すぎる?といった心配が多いと思っていて。濃いピンクだと勇気が必要なときもあるけどこの淡くてじわっとしたピンクは、どんな色にも合うし、どんな気分の日も着られる。肌のトーンが明るくても暗くても似合うからイエベとかブルベとかで人生決めなくていい。いつの時代も誰もが気負わず着られる色だと思う」(佐藤佳菜子さん)
TICCA
ほんのり透け感のあるシャツ。青みのあるクールな色のトーンとゆったりシルエットで、ピンクをメンズライクに着こなせる。シャツ¥26400/ティッカ
ADAM ET ROPÉ
優しいピンクにボール状のメタルボタンがシャープなアクセント。腰まで隠れる長め丈で軽いアウター代わりにも。カーディガン¥14960/アダム エ ロペ
LOEFF
色に主張がある分、デザインはベーシックでも着映え感は充分。Tシャツ代わりに重宝。ニット¥22000/エイチ ビューティー&ユース(ロエフ)
THE PAUSE
ベージュに寄った肌なじみのいいピンクは、初心者にもおすすめ。とろみ素材がエレガント。パンツ¥18700/ウィム ガゼット ルミネ新宿店(ザ ポーズ)
ODETTE E ODILE
甲のストラップがレディな足もとをつくる。薄ピンクならコケティッシュ。靴¥19800(ヒール2㎝)/オデット エ オディール 新宿店(オデット エ オディール)
uncrave WHITE
ごく淡い白に近いトーンが旬。デニムスカートだから、甘くならずこなれたピンクを楽しめる。スカート¥19910/アンクレイヴ(アンクレイヴ ホワイト)
ADD CULUMN
小物ならやや発色のいいピンクも◎。淡ピンクの服と一緒にグラデで取り入れても。バッグ¥20900(縦15×横21×マチ6㎝)/アンソロジー(アド カラム)
2.この春はピンクをドライに着こなすのが気分
Q.この春イチ押しのピンクのスタイリングは?
A.さっぱりとドライに着るピンクが気分です
今好きなピンクの気分は、ʼ90年代っぽいスタイル。装飾が少なくて、色数が少なくて、ネトネトとかふわふわとかしていないけれどフォルムにちゃんと個性がある。ピンクと真逆な印象のネイビーを合わせたりしてサクッとドライに着るのがいいんです。
かっちりしたピンクジャケットとゆるめネイビーパンツの対比が新鮮
きちんと感のあるコンパクトなピンクのジャケットに、色の印象も質感も真逆な落ち感のあるネイビーのパンツ。そのメリハリが、互いの魅力を引き立て合う。青みの強いピンクも’90年代ムードを牽引。ジャケット¥26400/エストネーショングランフロント大阪店(エストネーション) ボディスーツ¥53570/オールド イングランド銀座店(オールド イングランド) パンツ¥24200・バッグ¥14300/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店(ユナイテッドアローズ) 靴¥137500/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン) 靴下/スタイリスト私物
3.気分に合わせて楽しむピンクの配色ルール
Q.ピンクの配色ルールはありますか?
A.心が強い日は×黒。心が弱い日は曖昧なニュアンスカラーで気配を消して
朝のテンションって選ぶ服に反映されるからやる気があって強気な日は、コントラスト強めに黒×ピンクを楽しめる。でも、そうじゃなくて弱気な日は、何色とも言えない曖昧な中間色で薄ぼんやりと気配を消しながらやり過ごせばいい。淡いピンクなら、どんな気持ちの日にも寄り添ってくれる。
PINK×BLACK
ストイックな黒コーデにインナーのピンクで乙女心をひとふり
ブルゾンとタイトスカートという攻めの黒も、少し見えるインナーがピンクになるだけで、印象がほどよくソフトに中和される。肌の色になじむピンクだから、黒とのコントラストが強くても色物だけ浮いて見える心配もなし。カットソー¥15400/ショールーム セッション(アダワス) スカート¥55000/サードマガジン ブルゾン¥99000/デパリエ 伊勢丹新宿店(デパリエ) ピアス¥24200/マリハ リング¥52800/エナソルーナ バッグ¥79200/ヤマニ(メゾン カナウ) 靴¥121000/オデット エ オディール 新宿店(ペリーコ)
PINK×BEIGE
なじみ系配色が淡ピンクの優しい魅力を引き立てる
淡いニュアンスカラーだけを重ねたふんわり配色ながら、ピンクが一色入るだけでぼやけた印象にならず、春らしい華やかさがアップ。ピンクパンツはデニムなので、そのカジュアルな素材感の個性も、着こなしが単調に見えない理由。パンツ¥21890/アンクレイヴ(アンクレイヴ ホワイト) ブラウス¥49500/カオス丸の内(カオス) 肩にかけたニット¥46200/プルミエ アロンディスモン ピアス¥24200/マリハ バッグ¥47300/ヴァジックジャパン(ヴァジック) 靴¥35200/マルティニーク ルミネ横浜(トニービアンコ)
4.オフィスでも好印象なピンクコーデ2選
Q.オフィスにピンクを着ていくなら?
A.受け止め役をメンズっぽいアイテムにする
仕事の場でぶりっ子のピンクっていらない。合わせの服をメンズっぽいアイテムで受けるのが何はともあれシゴデキ風に見える最短ルート。これ、ピンクじゃなかったら逆におじさんすぎるぞってくらいのバランスでほどよい印象に着地するんです。
かっこいいけど、まじめすぎない。ピンクシャツで抜けをつくって
シャツがゆったりしたピンクというだけでなく、ジャケットがビッグシルエットだったり、パンツがハイウエストだったり。メンズライクでも今どき感のあるアイテム選びを。シャツ¥25300・パンツ¥30800/プルミエ アロンディスモン ジャケット¥60500/ウィム ガゼット ルミネ新宿店(ウィム ガゼット) メガネ¥46200/フォレストパイン・デザインラボ(パイン) ピアス¥39600/エナソルーナ バッグ¥78100/ショールーム セッション(へリュー) 靴¥137500/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン) 靴下/スタイリスト私物
Q.普段は選ばないけどピンクを着てみたい!
A.顔から遠い場所に、肌に近いトーンのベージュピンクを投入
そんなにピンクに怯えなくて大丈夫(笑)! ぱっと見で印象的な顔回りは着慣れた色のトップスで心を落ち着かせておいてピンクは遠いところのボトムで取り入れて。薄ピンクの中でも、より肌の方向に寄ったベージュ系ピンクならなじみもいい。
まろやかトーンのカラーパンツが上品な着映え感を発揮
はき慣れたシルエットのベーシックなパンツを、淡いピンクに変えるだけ。いつもの着こなしバランスのまま、ピンクの可愛げが手に入る。パンツは面積が広いけれど、甘くならずにさらりとピンクを取り入れられるので、ピンクが苦手な大人にとって実はハードルが低いアイテム。パンツ¥19910/アンクレイヴ(アンクレイヴ スタンダード) ニット¥33000/カオス丸の内(カオス) ジャケット¥82000/デパリエ 伊勢丹新宿店(デパリエ) サングラス¥41800/アヤメ バッグ¥49500(ミュール)・靴¥81400(へリュー)/ショールーム セッション
5.ピンクを嫌味なく着こなすには?
Q.ピンクを着るとき、理想の女性像は?
A.おばあちゃんの着るピンクには可愛いしかない!
どの世代にとってもピンクって永久不変に女心をときめかす色なのだけれど、究極おばあちゃんが嫌味なくさらっと着ているピンクって本当に可愛いなと思って。私たちがそれを目指すとしたら、いつの時代にもある古典芸能的なアイテムを今っぽい気分で楽しむのがいい。
クラシカルな装いを、足もと合わせや柄アイテムでモダンに進化
ツイードジャケットにタイトスカートという普遍的なレディスタイル。足もとをパンプスではなくボーイッシュなソックス&ローファーに変え、ドットやトリコカラーバッグなど現代的な柄物を効かせることで、ぐっと旬顔ムードに。スカート¥64900/オールド イングランド銀座店(オールド イングランド) ブラウス¥33000・ジャケット¥70400/エストネーショングランフロント大阪店(エストネーション) バッグ¥143000/ピエール アルディ 東京(ピエール アルディ) 靴¥35200/フラッパーズ(カステラーノ) 靴下/スタイリスト私物
Kanako likes...
「気負いなく、さらっと色を自分のものにしているところが素敵」と、サトカナさんが目指すLinda Wrightさんは、アメリカ出身パリ在住の元モデル。自然体でいてエレガントなスタイルが人気。
6.小物はどう取り入れる?
Q.ピンクの小物はどう取り入れる?
A.小物だけは映えてもいいんじゃない?
小物なら分量も服ほどないし、一個入れたくらいじゃ人生に何の影響もない。どうせ小さな分量で効かせるならちょっと遊びがあるものでもいいと思う!普段とイメージが違うアイテムをピンクにしてみるとか、クセありデザインを選んでみるとか。小物はちょっとしたことで映えるから楽しいんです。
やんちゃなキャップをピンクで取り入れるのが大人の遊び心
たとえば、キャップでいつもなら選ばないピンクを取り入れてみるだけで、カジュアル一辺倒だった着こなしが断然目新しくてキャッチーな印象になる。白に近いごく薄いピンクだから子どもっぽい印象にならず、小物だけ悪目立ちすることがないのもポイント。帽子¥4950/サードマガジン(サードマガジン×ニューエラ) Tシャツ¥29700/ブリル新宿(ブリル) 肩にかけたニット¥28600/カオス丸の内(カオス) パンツ¥39600/ポステレガント
1首に巻いたり、ヘアやバッグに結んだり。アレンジ力満点のシルクスカーフなら、さし色ピンクを色々な方法で楽しめる。スカーフ¥19800/マニプリ 2暖色系のバイカラーが可愛らしいデザイン。肌触りのいい細リブの上質なソックスだから、大人好みの足もとに。靴下¥3740/真下商事(パンセレラ) 3スウェードならではのパウダリーなピンクが上品。甲の大きなバックルが、シンプルスタイルのアクセントに。靴¥59400(ヒール1.6㎝)/ネブローニ 4つるりとした風合いのバケツ型バッグ。きちんとした形こそ色で遊びが必要。バッグ¥25300(縦33×横24×マチ13㎝)/ヤーキ オンラインストア(ヤーキ)
「大人には淡くてさりげない“外づけのピンク”が必要です」
ーKanako Sato
若い頃、ピンクは可愛すぎて大人が似合う色という認識がなかったけれど、今のほうが恥ずかしくなく着られるし、むしろ似合っていると思う。何だか顔色もよく見えて、気負わずさらっと着こなせる。そんな風に、年を重ねて自分からピチピチのピンクオーラを発光する力が減ってくると、外づけでピンクを添えたくなるんです。でも、ぶりぶりな可愛さが欲しいわけじゃなくて、今の気分は、さっぱりモダンなピンク。甘すぎないし、淡くてさりげない。そんな“冴えるピンク”が、私たちにはちょうどいい。
スタイリスト
佐藤佳菜子
さとう かなこ●独特のサトカナ節で、思わずひざを打つ誰もが取り入れやすいファッション理論を提案する人気スタイリスト。誌面でも自身の着こなしでも、大人ピンクのスタイリングに定評あり。
撮影/東 京佑(人)、さとうしんすけ(物) ヘア&メイク/笹本恭平〈ilumini.〉 スタイリスト/佐藤佳菜子 モデル/佐藤晴美 取材・原文/東原妙子 ※BAILA2024年5月号掲載