トレンドの取り入れ方だったり、色の使い方やシルエットアレンジだったり、コーデを変えるのは、本当に“ちょっとしたこと”。着こなしが単調でマンネリしやすい晩夏、いつもの服で素敵に見えるスタイリスト加藤かすみさん流シンプルスタイルの磨き方、教えます。
1. 旬の空気も上質感も。大人のトレンドはハイブランドのバッグで香らせる
「おしゃれが停滞しがちな季節の変わり目にまず何かを変えるなら、トレンドを牽引するハイブランドのバッグを投入してみて。もちろん手頃なブランドで、という選択肢もあるけれど、やっぱりハイブランドはそのシーズンのファッションをリードする存在ですし、何より働く大人の装いに大切な品格も満たしてくれる。服や靴と違って毎日使えるから、結果としてコスパもいいんです」(スタイリスト 加藤かすみさん)
旬感とこれからの定番になりそうなムード、両方を兼ね備えたパーフェクトな相棒
「アイコニックなだけでなくオーセンティックさもあるデザインを選ぶと、スタイルもシーンも問わず毎日愛用できるはず。ザクッと持てるロングショルダーやビッグサイズが今っぽさを醸しつつ、きちんと見えもするセリーヌのレザートートは、その理想型。このバッグひとつで、シンプルな黒ワンピに新鮮さとリッチ感が加わります」。バッグ「カバ アナイス ミディアム」¥418000・ピアス¥69300・ブレスレット¥69300・靴¥154000(すべて予定価格)/セリーヌ ジャパン(セリーヌ バイ エディ・スリマン) ワンピース¥75900/オブリオ
2. きれい色を上手に楽しむなら3色コーデが最適解
「色数をしぼるほど、失敗しにくい上モダンに見えます。基本は、“きれい色1+定番色2”の3色まで。主役のきれい色アイテムを決めたら、それになじみやすい引き締めカラーを合わせるのがポイントです。秋に向けて、カーキやブラウン系のアースカラーは注目株。あらゆるきれい色と相性がよく、黒のようにコントラストが強くならないので印象も柔和になります」(スタイリスト 加藤かすみさん)
パンツ起点でリラクシーにまとめて。配色もムードも足並みをそろえると一歩差がつく
大胆なグリーンにスッとなじんで大人っぽく引き締めるのがカーキブラウン。バッグは上半身と同系色でつなぐとまとまりよく。そこにひとさじの白がいい抜け感に。「リラクシーさが魅力のパンツなので、ルーズなシャツやかごバッグで歩調を合わせて。配色に加えムードにも統一感をもたせると、より洗練されます」。パンツ¥42900/インターリブ(サクラ) タンクトップ¥26400/トゥモローランド 渋谷本店(トゥモローランド ビー) シャツ¥26400/アルアバイル バッグ¥13200/ハウス オブ ロータス(アフリカンスクエアー) 靴¥176000/ジャンヴィト ロッシ ジャパン(ジャンヴィト ロッシ)
3. シルエットひとつでTシャツスタイルはあか抜ける
「夏になると毎日といってもいいくらい頼りになるTシャツ。便利な一方、“地味に見えるのが怖い”という声を聞くこともしばしば。それを解消する最も簡単な方法のひとつが、シルエットで洒落た空気感をまとうこと。“上下真逆”のシルエットを意識すると、フレッシュ感とスタイルアップを両立できます。ムリに盛らずにフォルムで新しく見せるアプローチこそ、地に足がついた30代らしい選択肢!」(スタイリスト 加藤かすみさん)
ゆるT × Iラインスカート
体が泳ぐゆるTにはIラインスカート!バランスアップも上品見えもかなえる
「抜け感のあるオーバーサイズTは、シャープなIラインボトムで引き締めて。ゆるっとインすることでバランスよく見えます。裾だけ広がったナローシルエット&ドット柄のスカートならほどよくレディに」。Tシャツ¥9350/カオス新宿(カオス) スカート¥24200/マイストラーダ プレスルーム(マイストラーダ) ネックレス¥33000・シングルピアス¥18700/マユ ショールーム(マユ) バッグ¥99000/アルアバイル(ル ナイン) 靴¥13200/ユナイテッドアローズ カスタマーサービスデスク(シー ユナイテッドアローズ)
ぴたT × ワイドパンツ
ボリュームタックパンツでジャストサイズの白Tをキレよく
「コーデの土台となる白Tほど、ちゃんといいものを選ぶとセンスの底上げにつながります。この白Tはカジュアルすぎない肉厚感と5分袖が魅力。上がベーシックな分、ボトムは洒落感が際立つワイドパンツを。きれいめなカラー&シルエットで大人っぽさをキープして」。Tシャツ¥25300/マディソンブルー パンツ¥55000/トゥモローランド 渋谷本店(トゥモローランド ビー) バッグ¥101200/ピエール アルディ 東京(ピエール アルディ) 靴¥135300/ジャンヴィト ロッシ ジャパン(ジャンヴィト ロッシ)
4. 困ったらジャケット!自分に似合う一着を厳選しよう
「決まりのいいジャケットを持っておくと、平日も休日もおしゃれに自信を持てるように。ここ数年でバリエが驚くほど増えましたが、ジャケットに関してはトレンドに引っ張られすぎないほうがよいと思います。オーバーサイズが旬でも、人によってはコンパクトなほうが似合うことも。だから試着は大切です。着たときグッと気持ちが上向いたら、その一着こそあなたにとってのベストだと思って!」(スタイリスト 加藤かすみさん)
仕上げの一手で王道シンプルが変わる!夏にちょうどいい薄軽ネイビージャケット
サラッと軽く、ほのかな透け感が絶妙に女性らしいジャケットは、一枚でサマになるアイテム。「黒じゃなくネイビーなのもこなれた印象。一枚羽織るだけでTシャツ×デニムのようなベーシックがビシッと決まります。真夏は手に持つだけでもワンランクおしゃれに」。ジャケット¥58300(エブール)・靴¥75900(ペリーコ)/リトルリーグ インク Tシャツ(2枚組)¥9900(サードマガジン×ミコモリ)・パンツ¥29700/サードマガジン メガネ¥52800/アイヴァン 東京ギャラリー(アイヴァン) バッグ¥21450/アマン(アンドミューク)
大人のコーデを変えるのは、本当に“ちょっとしたこと”。「小物使いで大事なのは、メリハリをつけること」というスタイリスト加藤かすみさんが、いつもの服で素敵に見えるシンプルスタイルの磨き方、教えます。
5. “盛らない”のがコツ。小物使いは“ズラす”&“しぼる”と印象的に
「小物使いで大事なのは、メリハリです。たとえば、きれいめスタイルのとき小物まできれいにそろえてしまうと、それっぽくは見えるけど、印象には残らない。服とは少し違うムードを演出する小物でズラしてみたり、存在感のあるアクセサリーをひとつだけポイント使いしたりパッと目を引くアクセントでメリハリをつけると個性やセンスが際立ちます」(スタイリスト 加藤かすみさん)
靴はコーデのバランサー。“モードなピンク”でひとひねり
「私自身、毎朝最後まで足もとのスタイリングに悩みます。合わせる靴によって全体の印象がガラッと変わるから。なので、働く世代に推奨したいのは足もとまできれいにまとめすぎないこと。まじめ顔のセットアップには、あえて遊んだピンクのミュールを。そうするとコンサバすぎずモードな雰囲気に。いい意味での違和感が、その人らしさにつながります」。靴¥141900・バッグ¥512600/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ・ヴィヴィエ) セットアップ¥26400/セルフォード ルミネ新宿2店(セルフォード)
真っ先に視線が向く顔まわりに存在感のあるイヤリングをひとつ
「コーデのメリハリアップにアクセは不可欠です。でも、アクセを足せば足すほど個性がぼやけていく、というのが持論。大人なら、”見てほしいところはひとつだけ”、それくらい潔くて意志のあるアクセ使いが素敵だと思うんです。おすすめは、顔まわりにフォルムがユニークな大ぶりの地金イヤリングを添えること。キャッチーだけどすっきりモダンで、好感度高く洒落感を演出できます」。イヤリング¥16500/フーブス(イリスフォーセブン) ブラウス¥17930/メゾンスペシャル 青山店(メゾンスペシャル)
大人のコーデを変えるのは、本当に“ちょっとしたこと”。甘い服のときはヘアスタイルで抜け感をつくったり、カジュアルなときはしっかりめにメイクしたり。スタイリスト加藤かすみさんが、いつもの服で素敵に見えるシンプルスタイルの磨き方、教えます。
6. おしゃれはトータルバランスで考える。服に合わせてメイクも着替えて
「撮影でいつも感じるのは、ファッションにヘアメイクが伴って初めて、イメージする女性像が完成するということ。甘い服のときは前髪を上げて抜けをつくったり、カジュアルなときは逆に少ししっかりめにメイクしたり。センスのいい人って、きっとそういうちょっとしたバランスに気を配っている人なんだと思います」(スタイリスト 加藤かすみさん)
ヘルシーでほんのり色っぽい。“ミュートメイク”が今の気分
トレンドでもあり、かすみさんの今季の気分にもマッチするのが、肌になじむベージュやベージュゴールド系でまとめた“ミュートカラー”のメイク。目もともリップも、ラインや輪郭をぼかしてやわらかさを出すのがポイント。チークはツヤ、リップはマットと、質感に差をつけることでぼんやりせず今っぽい緩急が。「ヘルシーでどこかコケットな女性を想像しながら選んだ赤のポロニット。力が抜けていて、ほのかに色っぽさの漂うヌーディなメイクがイメージにぴったりです」。ニット¥19800/プランク プロジェクト 青山店(プランク プロジェクト)
スタイリスト
加藤かすみ
かとう かすみ●『BAILA』をはじめ、女性誌やカタログ、広告等で活躍する人気スタイリスト。自身も愛するベーシックなアイテムやコーディネートにひとひねり加えた、大人がリアルに着たいと思えるスタイリングにファン多数。
撮影/大塚三鈴 ヘア&メイク/笹本恭平〈ilumini.〉 スタイリスト/加藤かすみ モデル/桐谷美玲 取材・原文/榎本洋子〈TENT〉 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載