月によって経血量や痛みにムラがあるのはなぜ? 生理のときの出血がダラダラ続く原因は? なかなか聞けない<経血>に関する読者のお悩みに婦人科医の高尾美穂先生が答えてくれました。
回答してくださったのは
イーク表参道 婦人科医 高尾美穂先生
東京慈恵会医科大学大学院修了。女性それぞれのライフステージに合った治療法を提案、よりよく年を重ねていけるようさまざまな角度からサポートしている。
Q 経血の量はどれくらいが正常なんでしょうか?
A 夜用ナプキンが1回でいっぱいになるなら多すぎ
正常な月経量の目安は50〜150g。と、いわれてもそれが一体どれくらいなのかわからない!「一般的な頻度でナプキンを変える際、1回で夜用ナプキンがいっぱいになると多すぎですね。しかし、“多くて困る”と本人が思えばそれは過多月経(出血量が多い月経)。多いと感じたら、婦人科で相談してみてくださいね(」高尾先生)
Q レバー状の経血が出る。怖い
A 塊が出ること自体は問題なし。大きすぎるサイズは危険信号
「経血は血液だけでなく子宮内膜が含まれているので、塊状になることもあります。また、体の中の管を通って体外に排出されるものなので、姿勢によって、多少滞ったり、あとから一気に出てきたりすることも。なので、500円玉サイズまではほとんどが問題ありませんが、不安な方は一度婦人科を受診しましょう」(高尾先生)
Q 最近、経血の量が減った、増えた。これって病気のせい?
増えた→子宮筋腫や内膜症などのサインかも
減った→心配の必要はあまりないけれど、無排卵月経の可能性が考えられます
「量が多い生理は、注意したほうがいいですね。子宮筋腫や子宮内膜症などの病気による過多月経の可能性があります。減るのはあまり心配はありませんが、充分量のエストロゲンが出ておらず、排卵がきちんと起こっていないのに少量のみ出血することも。できれば基礎体温を記録し体温に差があるか確認を」(高尾先生)
Q 生理期間外に不正出血があります
A 排卵期でもないときの出血は病気のリスクがあるので今すぐ婦人科へ
「実は、子宮頸がんやクラミジア感染なども不正出血を認めます。異常と扱われない不正出血は排卵日とその前後数日に起きる中間出血のみ。それ以外の出血はポリープや病気の可能性があるので検査がマストです。婦人科検診を受けていない方はすぐ病院へ!」(高尾先生)
Q 生理のときの出血がダラダラ続いてしまいます
A メリハリのある出血が正常な生理。無排卵月経の可能性も考えられます
「生理は3〜7日程度の期間に、メリハリのある出血があるもの。量の変化がなくダラダラ続くのは排卵のある正常な生理ではないことも。出血が7日以上続く場合は、無排卵月経の可能性もあるので、できれば基礎体温などの記録を持って婦人科を受診してみてください」(高尾先生)
Q 月によって経血量や痛みにムラがあるのはなぜ?
A 生理がくる前までの健康状態のサイン。ストレスが影響している可能性も
「卵巣から女性ホルモンを出す指令は脳の視床下部から出ていますが、視床下部はストレスをキャッチする場所でもあります。ですから、生理前の期間に精神的ストレスや睡眠不足などがあると視床下部に負担がかかり、月経の状態も変化するんです。生理前1〜2カ月間の生活に何かしらの原因がある可能性が大いにあります」(高尾先生)
イラスト/mio.matsumoto 取材・原文/東 美希 構成/菅井麻衣子〈BAILA〉 ※BAILA2020年2月号掲載