【アンガールズ・田中卓志さんのお悩み相談】「30歳、5年つきあった彼と別れた」大人の失恋に、新婚田中さんのアドバイスは？【隣の部署の田中先輩】

働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない（!?）アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第8回！　今回は「結婚するつもりだった彼と別れました」という相談者。30代半ばに失恋を経験した田中さんから、時間が癒してくれるから大丈夫とアドバイスをもらいました。

結婚すると思っていた彼と別れました。一緒に住んで結婚の準備をしていたつもりですが、見ないふりをしていた相手の嫌なところと向き合ってみて、やっぱり結婚はできないと思い自分で別れを決めました。が、とっても悲しくて、人生でいちばん泣いて、まだ立ち直れません。

30代半ば、失恋を経験。僕も風呂場で泣きました

自分から「彼とは結婚できない」と決断したはずなのに涙が出てしまう……。5年も一緒にいれば情もわくでしょうし、急に一人になるのは寂しいだろうし、次の出会いはあるのかと不安になることもあるだろうし。だからこそ、別れたあとも「この決断は正しかったのか」と気持ちが揺れ動いてしまうのかもしれませんね。

フったフラれたでいうなら、完全に後者の経験がメイン。失恋の痛手に関しては熟知している僕からすると、心の傷の回復に必要なものはただひとつ、それは時間です。30代半ば、僕もずっと片思いしていた女性にフラれて、その恋をズルズルと引きずったことがあるんですよ。あきらめず押し続けることで落ちる恋もある、そんな噂を耳にした僕はその人に3回告白。それ以上しつこくするとストーカーになっちゃうから、最初から「3回まで頑張ろう」と決めていたんですけど。その最後の3回目の告白でフラれたときは本当に悲しくてねぇ。頑張った時間が長かっただけに心の傷も深くて、その日はお風呂で泣きました。失恋した男性はドラマや映画だとシャワーを浴びながら涙を流すのですが、僕の場合は湯船で。お湯につかりながらオイオイと肩を震わせて泣きましたからね。そのあとも、しばらく落ち込んでしまって。心配した周りの人が合コンに誘ってくれたりしたんだけど、ちっとも楽しくなくてねぇ。でも、1カ月くらいたった頃かな。気持ちがスーッと引いていくのを感じて。急に「そういえば、あの人のここは好きじゃなかった」と相手のイヤなところが見えてくるように。「なんで好きだったんだろう？」って噓みたいに気持ちが切り替わったんですよ。

情や恋愛感情がそぎ落とされると、それまで見えなかったことが見えてくる。それが本当の“恋の終わり”のサイン。そのサインがなかなか訪れないときは周りに話して「別れてよかったんだよ」と、「フラれてよかったんだよ」と、「あなたは間違っていない」と背中を押してもらうのもいいと思う。当時は僕も「こういうところがイヤでしたわぁ」「結果よかったですわぁ」って、まるで自分がフったかのように話していましたからね（笑）。

相手が誰であっても、一つや二つは「イヤだな」と思うことは必ずある。それでも「一緒にいたい」と思うのが結婚なんだと思います。また、世間の大人たちは昔から「結婚前に一緒に暮らしたほうがいい」とよく言います。デートでは簡単に装うことができるけど、一緒に生活すれば本当の相手の姿が見えてくるからって。この相談者さんもそんなセオリーを理解していたからこそ、5年も彼と一緒に暮らしたんだと思う。「いつか変わるんじゃないか」と相手を信じ願いながらね。でも結局、彼は変わらず別れを決断したわけで……。僕はその判断は間違ってなかったと思うし、その5年も決して無駄じゃなかったと思うんですよ。彼と一緒に暮らしたことで、自分は何がイヤで、何を許せないのか、いろんなことが見えてきたと思う。精度が上がるとはまさにそのことで。「長い春を終えた人ほどスピード婚する」そんな話もよく聞きますが、それもきっと長い春を経て精度が上がったからこそ。大丈夫、あなたが“本命”に出会うのはもうすぐです。今日は泣いていても、来年のあなたはきっとニコニコ笑っているはずですよ‼

撮影／黒沼 諭〈aosora〉　ヘア＆メイク／高橋将氣　スタイリスト／高山良昭　 イラスト／ますこえり　取材・原文／石井美輪　撮影協力／アワビーズ　※BAILA2023年4月号掲載