【アンガールズ・田中卓志さんのお悩み相談】「30代になって友達が激減」へのアドバイスにほろり【隣の部署の田中先輩】

働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない（!?）アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第5回！　今回は「30代になってから友達が激減」というお悩み相談。田中さん自身の実体験を踏まえて「一度仲良くなった友達は離れてもずっと友達」とアドバイスをいただきました。

独身で仕事をバリバリやっている私。早々に結婚し、マイホームを購入、そして妊活や子育てをしている学生時代からの友達と年々話が合わなくなり、疎遠に。仕事周りの人とばかりつるんで昔からの友人を大切にできない自分にもやもやします。

年々、友達関係が変わる。それは男も女も同じです
ライフステージの変化とともに友達関係が変わっていく、それは男性も同じです。僕自身、昔はよく芸人仲間と飲みに行ったんだけど。アンタッチャブルのザキヤマさんも、おぎやはぎの小木さんも、南海キャンディーズの山ちゃんも、みんな結婚しちゃって。収録後は家族のもとへサッサと帰宅。一緒に飲む時間は確実に減りましたし。周りに既婚者が増えるほど楽屋で孤立。この間も、子どもの話題で盛り上がる輪の中に入れなくて入りたくて。子どもが生まれたばかりのシソンヌの長谷川に「もうしゃべった？」と聞いて「まだ赤ちゃんですよ‼　しゃべりませんよ‼」と怒られたばかりですからね（笑）。 　

学生時代の友達で連絡を取り合っているのは数人だけ。僕自身、相談者さんと同じで昔からの友人は少ないし、仕事関係の仲間とつるんでばかり。でも、それでいいと思っています。 　

芸人の友達は僕にたくさんの刺激を届けてくれる。一緒に飲んだり話したりすると、その人の感覚や感性に触れることができるし、自分にはないものを分けてもらえるような気がする。また、テレビで活躍している芸人と一緒にいるということは、お笑いの最前線を常に目の前で見られるということ。それはやっぱり最高に楽しくて幸せなことで。この仕事をしている間、僕は芸人の友達を求め続けるんだと思う。でも、おじいさんになったときも同じかというとそれはきっと違って……。縁側に並んで座るのは地元の友達かもしれないし、趣味友達かもしれない……。自分の環境が変われば一緒にいたい人も変わる。その時々、仲よくする友達は変わっていいと思うんですよ。 　

大人になるたびに友達が減っていく、その感覚は理解できるけど。僕はそこに対してもあまり不安を感じない。その時々、仲よくなる友達に時期があるのと同じで、友達が少ないのもそんな時期のひとつ。「これは一人の時間を楽しむ時期なんだな」と受け止め、一人で本を読んだり、一人旅に出てみたり。自分の好きなところへ行き、自分の好きなものを選び、友達がいたらできないようなことをあえてやってみたりしてね。個人的には「友達は多いほうがいい」とは思わない。毎日、いろんな人から誘われる人は大変だし忙しいし。やっぱり、人って自分と向き合ったときに成長する生き物だと思うから。人づきあいに夢中になって他人ばかり見ているうちは自分の成長が遅れてしまうような気がするし。またさ、身元がよくわからない人と話すのも疲れるじゃない。だったら、家で一人、自分の好きなことをしていたいと思っちゃうよね。 　

学生時代の友達とは疎遠で、芸人仲間を家庭に奪われ、飲みに行くときはたいてい後輩と一緒。今の僕はまさに“友達が少ない時期”にいるのかもしれない。でも、友達がいなくなったわけじゃないんだよね。学生時代の友達に会うと離れていた時間が噓みたいに昔と同じような会話をすることができる。ケンカ別れでもしない限り、一度仲よくなった友達は離れてもずっと友達なんですよ。今は距離があってもいつかまた合流する日がやってくる。時期や環境が重なればまた仲よくできる。たった一台の車を愛し続けるのもとても素敵なことだけれど、カーシェアリングのように気分に合わせて車を楽しんでもいい。自分に合った友達づきあいをすればいいんです。

撮影／黒沼 諭〈aosora〉　ヘア＆メイク／高橋将氣　スタイリスト／高山良昭　 イラスト／ますこえり　取材・原文／石井美輪　撮影協力／アワビーズ　※BAILA2022年12月号掲載