忙しく働く30代に、毎月訪れる生理まわりのことを調査すると、様々なPMSの症状に悩む声が。今回は特に悩む人が多かった「生理前の食欲の増加」について医師に詳しく聞いてきました。
今月のお悩み
生理前の異常な食欲に悩まされています。
量が増えるだけでなく、とにかく脂っこいものばかり食べたくなったり、甘いものをドカ食いしたり、偏食ぎみにもなります。どんなに食べても満腹感が得られず、気づいたらデスクでずっと何かを食べていることも。そして体重が増えて自己嫌悪がお決まりのパターンです。（35歳・金融営業）
産婦人科医
尾西芳子先生
女性のヘルスケアを専門とし、都内クリニック院長を歴任。現在は二人の子どもを育てながら都内クリニックにて勤務中。すべての女性のかかりつけ医でありたいとの思いで診察を行い、わかりやすい解説で雑誌、テレビのコメンテーター、ドラマの医療監修などとしても活躍中。
先生からのお答え
生理前はインスリンの効きが悪くなり、過剰に分泌されるのが食欲が増す原因
生理前は血糖値が乱高下しやすく体重増加、イライラの原因にも
「今月のお悩みの方のように、生理前になると過剰に食欲が出てしまう人は多く、これはＰＭＳ（月経前症候群）の症状のひとつです。 排卵後は妊娠の可能性もある時期で、ホルモンの状態も妊娠と似た状態になるため、体は本能的に栄養を蓄えようと働きます。これが、生理前に食欲が増す原因のひとつです。
また、生理前は、女性ホルモンのうち、妊娠に備えて子宮内膜を維持する働きのあるプロゲステロンの分泌が増え、その影響で血糖値を下げる働きのあるインスリンの効きが悪くなり、血糖値が上がりやすくなります。すると今度は上がった血糖値を下げようとして体がインスリンを過剰に分泌するため、血糖値が急激に下がり、空腹感を感じやすくなります。これも食欲が増える原因と考えられます。甘いものを食べたくなるのも、下がった血糖値を上げようとするからです。
ただ、甘いものを食べると急激に血糖値が上がり、しばらくしたら今度は急激に下がるという血糖値の乱高下を招きます。血糖値が乱高下すると太りやすい上、イライラしやすくもなります。甘いものを我慢するほうがストレスになるなら多少は食べてもいいですが、食べることで自己嫌悪に陥るなら、甘いものは控えて、市販の大豆バーや野菜スティックやヨーグルト、オートミールなど血糖値が上がりにくい食品を間食にとるのがおすすめ。また、下記の二つの方法もよいと思います。自分に合う対策で生理前をうまく乗り切ってくださいね」
つらい症状をやわらげるためにできること
1. 食事を抜かずに三食きちんと食べる
「食事を抜くと、次に食べたときに血糖値が急上昇し、血糖値の乱高下を招くのでNG。栄養バランスよく三食きちんととりましょう。間食をしたくなる気持ちも防げます。野菜など食物繊維が多いものを意識してとると血糖値の上昇がゆるやかになって太りにくいですよ」
2. 軽い運動を取り入れて血糖値を下げる
「適度な運動を取り入れるのもおすすめです。運動をすると血糖値が下がるので、食後に運動をすると太りにくくなるのです。毎日続けられそうなストレッチやウォーキングなど軽めの運動でOK。体を動かすことはストレスからくる過食の予防にもなるのでぜひ取り入れて」
もっと知りたい方はこちら
PMS（月経前症候群）ラボ―大塚製薬
基礎知識から症状のチェックシートをはじめ、必要な栄養素や自分でできる予防・対策方法などPMSに関する情報が満載。また、むくみとイライラには関連が。気になる方は専門医の受診も検討して。
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イラスト／Kaho Iwaya〈opnner〉 取材・文／和田美穂 監修／尾西芳子
