働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第3回! 今回は「運命の人ってどこにいるの?」というお悩みに対し、念願の彼女ができたという田中さんがズバッと回答。
《今月のお悩み》結婚したいのに好きな人ができない。 運命の人って、どこにいるんでしょうか(33歳・公務員)
結婚したいのに恋人がいないので、マッチングアプリでそこそこたくさんの人に会っていますが、肝心な“好きな人”には出会えません。周りの友人たちはどんどん結婚していくなか、焦りもあります。自分の好きな人、運命の人ってどこにいるんでしょうか。
田中先輩の答え…運命の相手は“探す”のではなく“自分で決める”
46歳、田中卓志。ついに彼女ができました
ご存じの方も多いと思いますが、僕はずっと彼女ができませんでした。一応、努力はしていたんですよ。合コンに参加してみたり、「ちょっといいな」と思う女の子がいれば“ますだおかだ”の岡田さんや“品川庄司”の庄司さんに相談。飲みの席に来てもらいサポートしてもらったり、庄司さんからミキティを落としたメールテクニックを伝授してもらったりね。だがしかし、うまくいかない。他人の成功例はあくまでもその他人のもの、自分に通用するとは限らないんですよね。さらには、年齢を重ねるごとに出会いの場も減少傾向に。一緒に合コンに参加していた同世代メンバーが次々と結婚。そうなると、もちろん誘いも減っていく。かといって、後輩の合コンに顔を出すのも気が引ける。20代だらけの飲み会に40代が参加したところでオッサン扱いを受けるだけ。そんな屈辱的な思いをしてまで行きたいとは思わないわけで……。自分の腰もどんどん重くなってしまうんですよね。
さらにはここ数年、新型コロナウイルスの影響で気軽に飲みに行けない世の中になってしまいました。「それがさらに貴重な出会いを奪っている‼」なんてバイラ読者も多いかもしれない。でもね、僕は逆にそんな状況下だから彼女をつくることができたんですよ。
彼女は過去に何度か会ったことがある人で。舞台を観に行ったときに偶然「久しぶりだね」と再会。緊急事態宣言中のヒマな時期、二人でリモート飲みをしたんです。飲みのスタートはいつも金曜日の23時、彼女の好きなBS番組「おんな酒場放浪記」(BS-TBS)が始まる時間。テレビの前にパソコンを置き、それを見ながら「この店のお通しは値段がちょっと高いよね」「あの店主の作る料理は美味しそうだよね」なんてたわいもない会話を交わしながら飲む。これが思いのほか楽しくて。関係がまだでき上がっていないときに一対一で向き合い続けるのって緊張するし疲れてしまう。でも、リモートならその緊張感も薄まるし、番組を見ながらだと話のネタにも困らない。「あの後ろの棚にある民芸品はどこのだろう?」なんて話題を探し出してもいいし、画面を見ながら一緒に笑っているだけでもいいんですからね。で、番組が終われば「おやすみなさい」。サクッと1時間だけ飲むからこそ「もうちょっと話したいな」という余韻を残して終われる。それもまた、なんだかよかったりしてね。
お互いの好きなお酒や食べ物もわかるし、「何がイヤで何を面白いと感じているのか」感覚的なものもすり合わさっていく……。リモートデートは相手のことを知ることができるから。マッチングアプリと合わせワザで使いこなせば、僕ね、意外といい出会いにつながる気がするんですよ。まず、画面越しだから性的な展開にならない安心感もあるし、リモートで飲みにつきあってくれる男性は下心ナシな感じがする。その時点で相手をジャッジすることもできるじゃないですか。
最後に「運命の人はいるのか」問題ですが、理系男子・田中からすると「いない」が正直な感想。だってさ「パンをくわえて家を飛び出し、曲がり角でぶつかった彼と運命を感じたから結婚」とか、そんなの怖くないですか。運命なんてものは存在しない。白馬の王子さまもやってこない。「この人だ」と決めるのは自分自身であることを忘れずに。
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田中卓志
たなか たくし●1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)など多数のバラエティで活躍中。
撮影/黒沼 諭〈aosora〉 ヘア&メイク/高橋将氣 スタイリスト/高山良昭 イラスト/ますこえり 取材・原文/石井美輪 撮影協力/アワビーズ ※BAILA2022年10月号掲載