SF風BLヒューマンドラマ『不可逆性の向日葵』をレビュー【バイラ女子におすすめコミック】

©緒花／集英社

博生は、兄・直生を事故で失った。兄は両親との折り合いが悪く、博生が幼い頃に家を出ていたため、その死を他人事として受け止めていた。ある日、兄の恋人から遺品を受け取りに来てほしいとの連絡を受ける。そして向かった先で、博生は予想だにしなかった人物と出会う。なんと、“生きている兄”が、自分を出迎えたのだ。混乱する博生は、その人物の目の前で倒れてしまい……。

あまり交流のなかった兄の人生を、“不思議な方法”で弟が知っていくSF風BLヒューマンドラマ。その方法は、兄が何を思い、大切にし、どんな未来を思い描いて生きていたのかを、残酷なまでに優しく照らし出す。博生の心にもたらされた波紋は、人間関係をも変えていく。途中、登場人物たちそれぞれの思いがあふれる瞬間がある。その慟哭こそ、誰かの死や喪失に意味があると思わせる。死は身近にやってくるもの。だからこそ、ふいに思い出す記憶が、少しでも優しいものであるようにと願わずにはいられない。

『不可逆性の向日葵』
緒花著
集英社　1巻～　858円 　 

兄・直生が事故で亡くなった。生前、実家に寄りつかなかった兄の遺品整理のため、弟の博生は兄が恋人と暮らしていた家に向かう。だが、その家には意外な人物がいて……。

『未来のムスコ～恋人いない歴10年の私に息子が降ってきた！』
阿相クミコ原作　黒麦はぢめ漫画　
集英社　10月19日発売　1巻～　715円
　 
定職・貯金・恋人なしのアラサー女性が突然シングルマザーに!?
未来からタイムスリップしてきた4歳の颯太と、女優を夢見るアラサー貧困女性・未来が繰り広げるドタバタSFホームコメディ。息子の一挙一動が可愛い！

※カバーイラストは変更になる場合があります。