海外エンタメ好きなライター・今 祥枝が、おすすめの最新映画をピックアップ！ 今回は、アカデミー賞ほか、今年の賞レースを席巻している異色の話題作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ほか、スピルバーグ監督作『フェイブルマンズ』、マリメッコのデザイナーのドキュメンタリー『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』 をご紹介。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
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ミシェル・ヨーがカンフーと七変化で魅せる奇想天外な異色作
アカデミー賞ほか、今年の賞レースを席巻している異例の話題の映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』（略して『エブエブ』！）。マルチバースとカンフーを組み合わせて、ごく平凡な中年女性が世界を救うために闘う、奇想天外なSFアクションだ。
中国からアメリカへと移住し、夫ウェイモンド（キー・ホイ・クァン）と娘ジョイ（ステファニー・スー）、父親のゴンゴンと暮らすエヴリン（ミシェル・ヨー）。家族経営のコインランドリーに監査が入り、大慌て。高齢の父親の世話も忙しく、夫はいい人だが、どこか抜けていて頼りにならない。反抗期のティーンエイジャーの娘が女性とつきあっていることにも、つい嫌みを言ってしまう。
なんだかなあと、気づけばため息をついている日々。国税庁を訪れたエヴリンは、突然、別次元のウェイモンドから「全世界にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのはエヴリンだけだ」と告げられる。ここからはもう、怒濤の展開！ バース・ジャンプして異次元の自分とリンクすることで、無数の人生を生きる“エヴリンたち”の力を借りながら悪に立ち向かう彼女が、とにかくかっこいいのだ。
人気俳優、シェフ、不思議な手を持つ人種などなど、華麗な七変化を披露しながら、芸術的ともいえる得意のカンフーを見せてくれるのがミシェル・ヨー。アクション大作『グリーン・デスティニー』からコメディ『クレイジー・リッチ！』まで、多彩な作品で活躍するマレーシア出身の大スターだ。
その夫ウェイモンドを演じるのは、俳優としては久々のベトナム出身のキー・ホイ・クァン。『インディ・ジョーンズ魔宮の伝説』の子役として人気を博した彼が、ユーモラスな味わいの多彩な演技を見せてくれる。映画の内容（アジア映画へのオマージュ）、娘役の若手の有望株ステファニー・スーを含めた俳優陣、そしてカンフーも含めて、とにかくアジア系パワーが全開！
一方、国税庁の監査官役のジェイミー・リー・カーティスの怪演ぶりも愉快で痛快。ともに60代のヨーとカーティスの、パワフルで、背すじがしゃんと伸びるようなキレのある役作りには、ほれぼれするほど。
監督・脚本は、大学在学中からコンビで映像作品に取り組んでいる通称「ダニエルズ」。気鋭の監督と人気スタジオA24、そして『アベンジャーズ』シリーズのルッソ兄弟が手がけるぶっ飛び映画として、当初は少ない上映館数だった本作。公開直後から評判を呼び、あっという間に全米拡大公開となった。その勢いと熱気を、ぜひ映画館で体感してみて！
監督・脚本／ダニエルズ
出演／ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン
公開／３月３日（金）TOHOシネマズ
日比谷ほか全国ロードショー
こちらも必見！
『フェイブルマンズ』
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巨匠スピルバーグによる自伝的作品。映画に魅了された少年サミー・フェイブルマンが、映画作りに夢中になる姿とともに、家族の変遷が描かれる。ノスタルジーと映画愛にあふれた感動作！
監督／スティーブン・スピルバーグ
出演／ミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノ
公開／3月3日（金）全国ロードショー
『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』
©2021 Greenlit Productions and New Docs
フィンランドの国民的ブランド、マリメッコのデザイナーのドキュメンタリー。19歳で出産後に芸術大学へ進学し、激動の時代に世界中を旅しながらデザインを続ける、パワフルな人生に迫る。
監督：レーナ・キルペライネン
出演：マイヤ・イソラ、クリスティーナ・イソラ、エンマ・イソラ
公開／3月3日（金）ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
イラスト／ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2023年4月号掲載
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