独特の世界観を持ち、豊かな表現力で魅了する松村さん。ほかの人が気にも留めないことに意識を向け、あらゆる可能性を想像。常に次の手をイメージしているという彼の思考回路に迫ります。スペシャルインタビュー前後編の前編です。
SixTONES・松村北斗
松村北斗
まつむら ほくと●1995年6月18日生まれ、静岡県出身。B型。SixTONESのメンバーとして2020年1月22日に「Imitation Rain」でCDデビュー。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」や映画『すずめの戸締まり』での声優としての好演が話題になる。SixTONESの10thシングル「こっから」が絶賛発売中。森本慎太郎さん出演の日本テレビ系日曜ドラマ「だが、情熱はある」の主題歌として話題に。
多角的に物事を見て想像することが表現につながる
数々の映画やドラマに出演。豊かな表現力で俳優として活躍を続ける松村北斗さん。語る言葉にも独特の世界観があり、多くの人を惹きつけている。
「昔から、普通の人が通り過ぎてしまいそうな小さなことに目を向けるのが得意なほう。好きなものへのこだわりも強いし、それを貫くことで自分を保っている部分もありますね。それと、物事を多角的に見て、いろんな未来を想像する。先を読むのは苦手なんだけど、可能性はたくさん考えておきたいんです。選択肢が色々あるほうが安心というか、備えになる。それが表現することにつながっている気がします。」
「実は最近、記憶力が低下している気がするのが悩み。昔は人の顔も名前も、なんでもすぐ覚えられていたのに、今は覚えてもすぐ記憶が薄くなって、“あれ?なんだっけ?”って思うことが多くて……自分でも不安になっちゃいます。きっとあれこれ考えすぎて、ひとつのことに100%の状態で向き合えていないのかもしれないですね。」
「誰かとごはんをしていても、考え事をしているせいで上の空になっていることもわりとよくあって(笑)。仲のいい人は“またか!”って感じで、“聞いてなかったんだろうなぁ”って顔をされたりします。もちろん申し訳ないことをしているのですぐに謝りますよ!ただ自分的には、会話に興味がないわけではなくて、AからBに話題が変わっているのに頭の中でAについて考え続けているせいで、追いつけなくなっているだけなんです。なんとなく会話の切れ目っぽいところで『そうだよね』とか言ってみるものの、全然かみ合わなかったりして(笑)。うまく切り替えられたらいいんでしょうけどね」
怒りや悲しみは心で解決!ネガティブさも魅力にする
そんな松村さんに、最近、鼓動が高鳴った出来事を伺うと──。
「King Gnuのライブの当落発表の瞬間はめちゃくちゃドキドキしました! 松村北斗名義で一枚だけ申し込んでいたので、メールを開けるまでハラハラしたし、当たったときの喜びは今でも忘れられません。今はただただ当日に仕事が入らないことを祈るのみ(笑)。楽しみなことがあると、いろんなことが頑張れますよね!」
「反対に、嫌なドキドキもあったんですよ。昨日は『Live 君の声が聴きたい』でコラボラップに初挑戦したんですが、生放送で歌詞を間違えてしまって……、ものすごくへこみました。リハーサルでは一度も間違えなかったのに、直前に歌詞を確認したら、なぜか違うフレーズが突如出現して、それが残ってしまったんですよね。気をつけなくちゃと思ったら余計に頭から抜けなくて、本番の緊張もあってまさかの失態……。今思い出しただけでも、悔しくて、哀しくなっちゃいます」
時折落ち込みやすい陰の部分が見え隠れするが、それも自身の魅力としてとらえて“らしさ”に変える力がある。
「僕自身はマイナスも魅せ方によってプラスにできると思っているんです。だからネガティブな気持ちになったときも、逃げずに突き詰めて自分と対峙するようにしています。ただ、僕も人間なので、マイナスをなかなか消化できずに苦しくなったり、どうしようもない怒りと闘うこともときにはあって……。怒った内容を思い出すのが嫌だから、誰かに聞いてもらったりはしません。自分で納得できる答えを出すしかないことだから。心で解決する以外方法はないと思っています」
考えすぎて上の空になることもあるけれど常に選択肢をたくさん持って、未来に備えたい
(インタビュー後編につづく)
ドラマ「ノッキンオン・ロックドドア」
7月29日よりテレビ朝日系 土曜23時~放送
出演/松村北斗(SixTONES)、西畑大吾(なにわ男子)、石橋静河、畑 芽育ほか
青崎有吾さんの同名のシリーズ小説が原作。松村さんは人の気持ちが理解できず傍若無人な言動をする変人探偵を演じる。西畑さん演じる常識的な性格の探偵、片無氷雨といがみ合いながらも協力して難事件を解決していく。
取材・原文/山中ゆうき ※BAILA2023年8・9月合併号掲載