海外ドラマに詳しいライター・今 祥枝と編集・ぴらが、働く女性におすすめのドラマをピックアップ! 今回は、故エリザベス女王を軸とする濃密な人間関係を描くドラマ『ザ・クラウン』をレビュー。
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王室を舞台にした、重厚かつ濃密な人間ドラマ
編集ぴら(以下ぴ) なにかと話題の英国王室を舞台に、故エリザベス女王を軸とする濃密な人間関係を描くドラマ。ゴシッピーな内容かと敬遠していたのですが、想定外に重厚な作りで再生の手が止まらず、気づけば最終シーズンを待つ身に……!
今 私はシーズン1配信時に、豪華絢爛な結婚式や戴冠式の様子が話題になっているのを見て、「みんな英国王室好きだなあ」と一歩引いていたけど、見たらどハマり。俳優陣の名演がまず素晴らしいし、特殊な立ち場ゆえの重圧やしがらみと、普遍的な苦悩や心の機微の描写が巧みで、ぐっと引き込まれます。
ぴ 登場する強い女性たちの、それゆえに生じる夫との不和は、抽象化すると、共通する悩みを抱える現代女性も多いのかも。また各時代の社会情勢とからめたエピソードの数々は、王室と時の政権との関わりや一般市民の暮らしとの対比が秀逸で、社会派ドラマとしても見ごたえがあります。
今 だからこそ、ここで描かれていることは、あくまでも「if」であるという認識が大事だよね。
ぴ はい。あまりにも臨場感と説得力があるため、そのことを思わず忘れてしまいそうになります……。
今 「実話に基づく物語」のすべてに付随する、難しい問題だなと思う。この手の作品が、プロパガンダ的に用いられる危険性も頭に入れておきたいところ。
ぴ 一方で、映画『スポットライト世紀のスクープ』のように、事実に基づいた作品が注目を集めることで社会問題の一般の認知も進むという意義もある。作品ごとに、その発信するメッセージについて、自分自身で見極めていく必要がありますね。
『ザ・クラウン』
映画『クイーン』の脚本家ピーター・モーガンによるNetflixシリーズ。1947年のエリザベスとフィリップの結婚式に始まり、英国王室をめぐる人間模様を、恋愛・結婚をめぐるスキャンダルのほか、時の内閣や社会情勢もからめて描く。2シーズンごとにキャストは入れ替わり、シーズン5&6ではイメルダ・スタウントンがエリザベス女王、エリザベス・デビッキがダイアナ妃、ドミニク・ウエストがチャールズ皇太子役。
Netflixでシーズン1〜5独占配信中
最終シーズンが2023年配信予定
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2023年8・9月合併号掲載 ※配信情報は記事掲載時点のもので、変更になっている場合や、配信が終了している場合があります。