映画「ハリー・ポッター」や「ファンタスティック・ビースト」シリーズの制作の裏側を実際に体験できる、全く新しいウォークスルー型のエンターテイメント施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京ーメイキング・オブ・ハリー・ポッター」(以下、スタジオツアー東京)。ロンドンに続き、世界で2つ目、アジア初となるスタジオツアー東京が、ついに6月16日にグランド・オープン! 既存のテーマパークなどとは異なるエンターテイメント施設の気になる楽しみ方とは? さる5月に、一足お先に内覧体験会に参加してきた筆者が、盛りだくさんの取材から厳選してレポートします!
1 ホグワーツ魔法魔術学校で最も印象的な場所のひとつ、大広間に圧倒される!
プロダクションデザイナーはスチュアート・クレイグ。石畳の床や細長い窓、木製の羽目板の壁は、英国オックスフォード大学のクライスト・チャーチ・カレッジからインスピレーションを得ている。イギリスからも数多くの職人たちが来日して手がけたセットや美術は圧巻!
まずはスタジオツアー東京の概要から。
広大な施設の中には、映画制作に携わった世界最高峰のクリエイターたちが制作した素晴らしいセットをはじめ、豪華な衣装や魔法動物たちに遭遇するセクションがいくつもあります。さらに、今回の内覧会では未完成だったエリアも含めて、映画に欠かせないサウンドや美術、特撮やVFXなどについて学べたり、インタラクティブな体験ができるエリアも。
全体として「映画がどのようにしてできるのか?」というコンセプトのもと、映画制作の舞台裏を楽しく学び、実際に体験&体感できる施設なのです。
と、言葉で説明してもなかなか伝わりづらいのが、ウォークスルー型エンターテイメント施設の難しいところ。早速、当日の体験を写真とともに見ていきましょう。
ツアーの始まりは、映画でもおなじみのホグワーツ魔法魔術学校の大きな扉を開ける“儀式”から。見上げるほどの扉の向こうには大広間が暗がりから浮き上がり、思わず「うわ〜」と声をあげてしまう取材人多数(もちろん私も!)。
正面にはホグワーツの教職員の像がずらりと勢ぞろいし、各寮ごとに分かれたテーブルには歴代の寮生の制服が。壁にある各寮を象徴する動物をかたどった燭台から寮別ポイント計まで、近寄ってまじまじと見ると本当に精巧にできていることに、改めて驚かされます。
かなりの広さなので、一つ一つをじっくりと見て写真を撮ったりしていると、あっという間に時間が経ってしまいます。
ホグワーツ魔法魔術学校の大広間 入り口。これから冒険が始まるというワクワク感でいっぱいに。
個人的に筆者が思い入れのあるスネイプ先生に寄ってみました(笑)。間近で見ると、本当に繊細でよくできています。
作中にはあまり登場しないけれど、小道具チームの自信作の一つだという大広間の寮別ポイント計。中には数千粒のガラスのビーズがきらきらと。
2 ショップ内のディテールの作り込みもすごいダイアゴン横丁
「ハリー・ポッター」シリーズを通して、何度となくリフォームされたダイアゴン横丁のセット。セットデコレーターのステファニー・マクミランが率いるチームは、各ショップウィンドウを飾る一点もののアイテムを探しに、アンティークショップやマーケット、オークションを数多く訪れたそう。
ホグワーツ魔法魔術学校の生徒にとって、新学期の準備にも欠かせない場所である商店街のダイアゴン横丁。ここもまた、入り口に立っただけで「きゃ〜」とテンションが上がること間違いなし。
素晴らしいのは、一つ一つの店の中をのぞくと、実にディテールに凝った作りで、まるで本当の店のように買い物ができそうなほど、商品やインテリアなどがぎっしりと並んでいてリアルなこと。
例えば、「オリバンダーの杖のお店」は、17,000以上の杖の箱で埋め尽くされ、一つ一つ識別できるように、それぞれの箱に番号やルーン文字などが表記されたラベルが貼ってあります。さらに、その多くは、撮影時はシーンに合わせて埃でコーティングをされているという念の入れよう。美術チームのこだわりのほどがわかります。
また、フレッドとジョージ・ウィーズリー兄弟が営む、左手奥に見える赤い店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ店」ほか、どのお店もじーっくりと中をのぞいていると次々と発見があって、ここでもまた写真を撮りまくること必至! 細部へのこだわりは、いくら眺めても見飽きることがないほど楽しいものですよね。
ちなみに美術監督のスチュアート・クレイグは、ダイアゴン横丁を幻想的な場所にしたいと考え、サウンドステージに設置される際に、それぞれの建物を押したり引いたりしてねじ込み、通り全体が少し曲がっているように見せたそう。実際に、このセットに立つと、そうした不思議な感覚、異空間の雰囲気を味わうことができます。
ウィーズリー兄弟のいたずら専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ店」の内部。個性的な外観も目を引くけれど、内部にもあそび心があふれていて、思わずにんまり。
ハリーが杖に選ばれた「オリバンダーの杖店」。ぎっしりと並んだ杖の箱と、埃っぽい店内の雰囲気に映画の各シーンがよみがえる。
ゴブリンが経営するグリンゴッツ銀行。迷宮のような地下金庫室があるのだけれど、その入り口も歪んでいて奇妙な感覚におそわれる。
3 実寸大のダーズリー家のほか、屋外セットを歩き回る!
バックロットにある「プリベット通り4番地のダーズリー家」のセット。映画『ハリー・ポッターと賢者の石』の暖炉からフクロウ便の手紙が吹き出してきて騒動になるシーンを完璧に再現!
スタジオツアー東京のバックロットでは、「プリベット通り4番地のダーズリー家」や「ハグリッドの小屋」などのセットを歩き回ることができます。青空の下、あちらを見れば「夜の騎士バス」、こちらを見れば「魔法使いのチェスの駒」や「空飛ぶオートバイ」が……と目移りして、どこから攻略しようか本気で迷ってしまいました(笑)。
私が一番楽しかったのは、やはり撮影に使われたのと同じ実寸大のダーズリー家のセット。玄関から中に入ると、右手階段の下にはハリーの寝床が。これが実際に撮影に使われたの!? と思うほど狭っくるしくて、ハリーがとても不幸だったあの頃を思い出して、なんだか不憫な気持ちに。この場所だけではなく、施設ではスタッフの方たちがプレショーや解説などをしてくださるのですが、さまざまな豆知識や解説を聞くと、映画に対する理解や興味も倍増します。
その先のそれぞれの部屋では、映画の中での印象深いシーンが再現されていて、これがまたとてもよくできているんですよね。完成度が高くて、他の取材陣も「すごいなあ」と連発していました。
ちなみに、このバックロットには世界最大の「バタービールバー」があるので、もし歩き疲れたら、とっても甘くて美味しい魔法ワールドの飲み物、バタービールをオープンテラスでいただくのもあり。カップはその場で洗って、持ち帰ることができますよ。
ダーズリー家の玄関を入ってすぐ右側の階段下には、おなじみのハリーの寝床が。思った以上に狭くてびっくり。
シリウス・ブラックの持つ「空飛ぶオートバイ」。ピーター・ペティグリュー追跡の際にハグリッドに託され、赤子のハリーをダーズリー家に連れ出すのに使用された。
原作小説や脚本には書かれていなかったが、ホグワーツの最も印象的な景色の一つとなったホグワーツ橋や、『ハリー・ポッターと賢者の石』の「魔法使いのチェスの駒」も。
4 9と3/4番線ホグワーツ特急&魔法省&グリフィンドールの談話室、そしてエクスペリエンス!
どのセットも、その場に足を踏み入れた瞬間、思わず息をのむような美しさ。映画の世界に迷い込んだかのような没入感と同時に、このセットを手がけたクリエイターたちへの尊敬の念に駆られる。
まだまだたくさんご紹介したいセットがあるのですが、少し駆け足で。
魔法省のセットの、なんともまがまがしい雰囲気にも圧倒されるものがあります。映画で演じた俳優たちも、こうしたセットや美術、衣装などに助けられる部分もあったのかなあと想像できますね。グリフィンドールや各寮の談話室や寝室なども、こんなところでハリーたちはおしゃべりしていたんだなあなどと想像が広がり、ファンにとっては嬉しいアイテムもたくさん発見できるでしょう。目を皿のようにして、じっくりと細部まで見てくださいね!
「ハリー・ポッター」シリーズの象徴ともいえる9と3/4番線とホグワーツ特急も見どころ満載ですが、私が楽しかったのは特急の中に入れたこと。それぞれのブースに再現されている映画のワンシーンを眺めて歩きながら、また映画を観直してみようかなという気持ちになりました。
さて、スタジオツアー東京では「エクスペリエンス」のエリアも充実。映画「ハリー・ポッター」シリーズで使われたグリーンスクリーン技術を実際に体験することができます。自分が映画の一部に“出演”することができるんですよ!
体験中の撮影は不可だったので写真はないのですが、私が体験したのはロンドンのスタジオツアーにはない「クィディッチエクスペリエンス」。スタッフの方の指導に従い、映画のクィディッチの試合のシーンに合わせて観客の一員となって応援する演技をするというものです。ひとしきり演技した後は、すぐに完成した映像を確認でき、そのデータは記念に持ち帰ることができます。スタッフの高いパフォーマンス能力に巻き込まれながら、映画制作の一端を知る&映画の一部になれる貴重な体験。おすすめです!
9と3/4番線とホグワーツ特急は、フォトスポットももりだくさん。展示されているホグワーツ特急は、引退するまで35年以上運行されていた蒸気機関車をイギリスで改装した後、日本に運搬された。
9と3/4番線のエリアには、スタジオツアー東京オリジナルのセット『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』に登場するグレート・ウィザーディング・エクスプレスの展示も。
プロダクションデザイナーのスチュアート・クレイグは、「グリフィンドールの談話室は、ハリーが人生で初めて“家”を体験する場所」なので、セットは華やかさよりも快適さを優先してデザインしたそう。使い込まれた風合いが味わい深い。
5 世界最大のハリー・ポッターショップと充実のレストラン&カフェ
映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で、ハリーが名付け親であるシリウス・ブラックにプレゼントされたファイアボルトの箒や、グリフィンドールの剣など豪華なグッズも勢ぞろい!
この日の最後は、世界最大のハリー・ポッターショップ(メインショップ)で、4時間超えの取材は終始テンションは上がりっぱなしでした。東京限定アイテムも多数販売されているのも魅力ですが、たっぷりとスペースを取った空間そのものも素敵なんですよ。
7,000以上の特注品や特別に調達した小道具で飾られた、14のテーマ別セクションがあり、ダイアゴン横丁のショップの要素を取り入れた美しいデザインと並べられた商品の配置にも、思わず見ほれてしまいます。きっとすべてのエリアを回って、買うものを選ぶまでにはかなり時間がかかると思うので、ショッピングの時間もしっかり確保しておきたいですね!(グッズショップはこのほかにもあります)
レストラン&カフェも充実しています。前述のバタービールバーのほか、魔法ワールドをイメージしたスイーツを楽しめるチョコレートフロッグカフェ、ツアーの合間に魔法ワールドをテーマにした料理とデザートを楽しめるバックロットカフェ、フィッシュ&チップスなど英国の伝統料理もあるフードホールなど、目的や時間帯などによってそれぞれ利用できます。
しっかりと予定を立てて行きたいのはバックロットカフェ。色鮮やかなグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの寮別のスペシャルプレート4種やヘドウィグのケーキ、またスペシャルな雰囲気でいただける「アンブリッジ教授のアフタヌーンティー」など、目にも楽しい料理を前にして会話が弾むこと間違いなしです!
ハリー・ポッターショップではここでしか買えない“東京限定“のマグカップやTシャツが。ほか、ドビーやヘドウィグのぬいぐるみ、アクセサリーやステーショナリー、食器など、充実のラインナップ!
フードホールでは「9と3/4番線オールデイブレックファスト」や、映画にも出てきた、みんなでシェアして食べられる「スラグホーンサプライズパフェ」などを楽しむことができる。
バックロットカフェで金の籠とともにサーブされる「ヘドウィグケーキ」。かわいくて食べるのがもったいない!
6 チケットを購入しなくても遊べる場所も
チケットは完全予約制なので、確保するのが難しい場合もあるかもしれません。でも、チケットがなくても楽しめるスペースもあるんですよ。
入り口の前の広々とした気持ちの良い空間には、「ハリー・ポッター」シリーズの世界観を伝えるオブジェの数々が。のんびり散歩しながら写真を撮ったり、散策してみてはいかがでしょうか?
今回のレポートではセットが中心でしたが、ほかにもウォークスルー型エンターテイメント施設ならではのエリアがたくさんあります。また「動く階段」や「クィディッチエクスペリエンス」など、ロンドンのスタジオツアーからさらに進化したスタジオツアー東京のオリジナルの要素も魅力的。リピーターが続出することは間違いなさそうです。
ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐ メイキング・オブ・ハリー・ポッター
2023年6月16日(金)グランド・オープン!
●チケットはwww.wbstudiotour.jp で事前に購入する必要があります。
(スタジオツアー東京の施設ではお求めになれません)
大人– ¥6,300 中人– ¥5,200 小人– ¥3,800
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撮影/今祥枝(BAILAロゴ入り分)