海外ドラマに詳しいライター・今 祥枝と編集・ぴらが、働く女性におすすめのドラマをピックアップ! 今回は、町に現れた謎の機械が住民たちの“真の可能性”を診断するという物語『ビッグ・ドア・プライズ〜人生の可能性、教えます』をレビュー。
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人々の“真の可能性”を診断する不思議な機械は善か悪か
今 小さな町に出現した不思議な機械“Morpho”。その人の真の可能性が書かれているというふれこみで、名刺サイズのカードが出てくるだけなのに、まるで熱に浮かされたように、人々が書かれている文字に一喜一憂してしまう。
編集ぴら(以下ぴら) 職業などの短い言葉を相手に渡しているだけなのに、診断を受けた人や周りが深読みしたり、想像したりして、勝手に解釈を拡大して人気が出るという集団心理が恐ろしく思えてしまいます。一体、何者がどんな目的で設置したのか気になって気になって……。
今 年齢を重ねた私からすると、もし今とは全然別の仕事や思ってもいないワードがカードに書かれていたら、落ち込むだけな気がする。今さら、色々やり直せないし……とか。ぴらさんなら、どうする?
ぴら カードに「役者」と書かれていたら、元演劇部の私は会社を辞めて劇団に入ってしまうかも?というのは冗談ですが(笑)。それだけ自分にこれから別の可能性があると言われるとワクワクしたり、急に怖くなったりしてしまいそうです。
今 主人公と妻のカードのワードへの反応も真逆で、仲がよさそうだったのにそこから「実は……」というズレが露見していく。
ぴら 変化が起きると摩擦が生じるもので、そこにこのドラマの面白さがありますよね。カードに書かれた人生の可能性を知って、次々に行動していく人たちを見ていると、あと一歩勇気が出せずに我慢していたり、あきらめたりしている人が現実にもたくさんいるんだろうなと。
今 軽めのタッチではあるけれど、色々と考えてしまうドラマだよね。
『ビッグ・ドア・プライズ〜人生の可能性、教えます』
M.O.ウォルシュの同名小説を、エミー賞受賞歴のあるデヴィッド・ウェスト・リードがドラマ化。人々の“真の可能性”を明らかにするという不思議な機械“Morpho”が、とある店に出現。人々の評判を呼び、小さな町の住人たちの人生に大きな影響を与えていく。人生に満足しているようで、実は様々な問題を抱える主人公の高校教師ダスティを等身大に演じるのは、コメディ作品で定評があるクリス・オダウド。
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イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2023年7月号掲載 ※配信情報は記事掲載時点のもので、変更になっている場合や、配信が終了している場合があります。