1. BAILA TOP
  2. LIFESTYLE
  3. エンタメ・インタビュー
  4. 実写映画が大人気!漫画『おとななじみ』の…

実写映画が大人気!漫画『おとななじみ』の著者・中原アヤ先生に制作の裏側をインタビュー!

『ラブ★コン』や『ダメな私に恋してください』など、実写化もされ大ヒットしたラブコメの名手・中原アヤ先生。“大人になった幼馴染たち”を描いた『おとななじみ』もまた、現在実写映画が公開中! 個性あふれるキャラクターたちのテンポ抜群な会話にクスっと笑えて、そしてときめく、中原先生の“ラブコメ”制作の裏側をインタビュー! 中原先生節炸裂な回答は爆笑必至です!

『おとななじみ』表紙

大人になりたいけれどなかなか大人になれない人たち

ー『おとななじみ』が生まれた経緯を教えてください。

漫画を描くときに会話のテンポを一番重要視しているので、初対面の人同士より気軽に話せる関係の方が描きやすいというのがあります。
なので、“長年一緒にいれば気をつかわず面白い会話ができるかな”と思い、幼馴染にしました。

描き始めたときはもっと若い年齢にしたかったのですが、雑誌(連載されていた漫画雑誌『ココハナ』は20〜30代がメインターゲット)に合わせてそこそこ大人にしました。が、若い年齢にしたかった気持ちがそのまま残ってしまい、設定年齢より幼くなって苦戦しました。

なので私の中で“大人になりたいけれどなかなか大人になれない人たち”をテーマにエモさをかもし出しているフリをしていましたが全部大あわての後づけです。

ー後づけ(笑)! そんな物語の主人公・楓を描くうえで大事にしたことはありますか?

ヒーローのハルをボケに設定したので楓はツッコミにしたのですが、自動的に怒る場面が多くなりうっかりすると全然かわいくなくなってしまうので、なるべくかわいさを失わずツッコミを入れられるようにとてもとても気をつかいました。だいたい1ツッコミに2かわいいのペース配分です。

ー楓を描いていて大変だったことはありますか?
“ツッコミながらかわいさを失わないってなんだよ!! 無理でしょうよ! なんでツッコミにしたんだよ!”という己の後悔と戦うのに苦戦しました。本当に手のかかる子でした。

『おとななじみ』マンガ本文

ーでは、ボケでもあるヒーローのハルはいかがでしょうか?
ボケに設定したのでボケ要員として1話にいくつボケられるかが勝負でした。
自分では十分ボケ切ったつもりでも担当編集さんに“まだボケられる!”と応援していただき、1コマたりとも無駄にせず精一杯ボケました。

ーボケが重要なヒーローも大変そうですね……!
そのせいで少女漫画のヒーローとして必要なかっこよさが常に消滅しそうでした。同時に少女漫画に必要な胸キュンも風前の灯火でした。もはやかわいさで推していくにも無理な段階までボケており、胸キュンを挟むのにかなり苦戦しましたが、笑えれば良しと最終的に戦うことを諦めボケに徹するようになりました。

ー『おとななじみ』の1巻に収録されているエピソードの中で、思い入れの強いシーンとその理由を教えてください!
ハルの「楓を守る騎士だよ」という台詞を入れたくて、そこに向けてお話を作った記憶があるのでそのシーンは思い入れがあります。

わりとバカっぽくてかわいげもあっていいんじゃないかと思って描いたのですが、その後、ほぼボケることしかしなかったので全体を通して見るとここが一番かっこいいっぽいシーンになりました。このコマばかり使いまわしていただきたいです。よろしくお願いいたします。

『おとななじみ』マンガ本文

すべての力をフラッシュモブに捧げました

ー『おとななじみ』は最終回までのエピソードはすべて決めた上で描いていたのでしょうか。
何も決めずに描きました! いつもその時のテンションで描いているので思いがけない方向に進みます。
ですが担当編集さんと打ち合わせをしながらフラッシュモブがおもしろいという話になり、その時からフラッシュモブのことで頭がいっぱいになりました。

“最高のタイミングで最高のフラッシュモブを────”
その後はすべての力をフラッシュモブに捧げました。フラッシュモブを研究し盛り上げるための展開を作り上げ、ここぞという時に差し込みました。
描いてみて本当にこれは必要だったか?と我にかえりましたが、とにかく無事に描けてよかったです。

ー先生はこれまでも多くのラブコメ作品を描かれていますが、“ラブコメ”を描くようになった理由はありますか?
お笑いの街大阪で生まれ育ったこともあり、昔からお笑いが好きなので、読む漫画や映画も笑えるものが好きでした。
笑いに加えてかわいいものも好きなので、かわいくて笑えるものとして自然にラブコメに惹かれていったんだと思います。

ー先生が思う“ラブコメ”の魅力は何でしょうか?
笑いだけだと、好みも人それぞれで笑ってもらえなければそれで終わり感がありますが、恋愛しているときの気持ちは老若男女問わず共通だと思うので、そういう点でラブコメは笑いと同時に受け入れてもらいやすいのが魅力です。

『おとななじみ』

『おとななじみ』という物語を描く上で、絵作りの面で先生自身がいちばん大事にしていたことを教えてください。
一番大事にしているのはネームで、そこに一番時間と労力をかけるので、その後はわりと何のこだわりもなく、絵も“誰か分かればいっか!怒ってるか泣いてるか分かればいっか!”くらいのテンションです。

背景も全部自分で適当に描くのですが、上級違法建築士なので開かないドアや沈んだ床があっても全く気になりません。
コマ割りもいつも同じでオッケーです。
でもかわいいを作るのは大事なので絵のかわいさは失わないように気を付けています。かわいければオッケーです。

ー先生的に予想外だった反響はありますか?
伊織というキャラは私の中で愛が重くて気持ち悪い人なんですが、思ったより読者さんに好きになってもらえてよかったです。

“気持ち悪い台詞が出てきたぞ……”と思いながら半笑いで書いた台詞も気持ち悪がられることなくまっすぐ受け止めていただけて、思いのほか伊織が普通にかっこいい人に昇級しました。ありがとうございました。助かりました。

『おとななじみ』マンガ本文

原作に足りないところを補って素晴らしい映画にしていただけました

ー『おとななじみ』の連載中に起きた忘れられない珍事件があれば教えてください。
実写化のお話をいただいたことですかね。
“これを? 少女漫画のフリをしたボケてばかりの作品を?? 本当に?? 助かる───!”と思いました。

きっとすごい技術と才能のある素晴らしい方々が集結してこの作品を素晴らしいものにしてくださると期待でいっぱいでした。
実際、私の作品に足りないところを補っていただいた上で素晴らしい映画にしていただけました。

大事な胸キュンシーンをボケで台無しにし続けるお話を“ムズキュン”というエモい言葉で飾っていただき大変感謝しています。

そうです私はそのつもりで描きました!って言いふらしていこうと思います。

ー映画の脚本を読まれたときはどんな感想を持ちましたか?
原作と違う部分もありますが、私が大事にしている笑いやテンポをそのまま活かしていただいていたので、私の好きな映画になるな、と思いました。なんなら笑いを増やしていただいていたので安心感しかありませんでした。
完成した映画もおもしろくてかわいくて、やっぱり私の好きな映画になりました。素敵な方々に恵まれて本当に感謝しています。

ー映像としてみるのが楽しみだなと思ったシーンはありますか?
原作の中で生まれてしまったモゾモゾした謎の黒い生き物はどう表現されるのだろうと楽しみでした。
まさかそんなものを取り入れてくださるとは思わなかったので、完成したものを拝見してあまりの完成度に驚きました。ありがたいです。

あと私の人生を懸けたフラッシュモブのシーンがね! 最高でした! かっこいいのにおもしろい!
この世で一番のフラッシュモブでした!本当に描いてよかったです。

『おとななじみ』マンガ本文

ハルの言い間違いなど、コメディならではの会話のテンポ感も『おとななじみ』の魅力ですが、そういった小ネタはどのようなところから思い浮かぶのでしょうか?
突然思い浮かぶ時もあるし、無理矢理絞り出す時もあります。
日常生活でも常に笑いを求めていて、頭の中におもしろを貯蓄しているのでたぶんそのへんのどこかから生まれてきています。

大阪にいると夜テレビをつければずっと芸人さんがおもしろいお話をしているし、身内の会話や街を歩いている時に見聞きするものも信じられないくらいおもしろいことばかりで、笑いには困りません。だいたい地元のおかげです。

ーネーム中や作画中など、作業に詰まった際の気分転換方法などがあれば教えてください。
推しの顔を見ます! 推しの顔がいいんです! すごくいいんです!
すべてが浄化され悩みや憂鬱な気分も吹き飛びます! 本当にありがたいです! 命を救われていると言っても過言ではありません!!
作業途中に見てしまうと見惚れて二度と作業に戻れなくなるのが困りますが! なにせ顔がいいので!! ありがとうございます!

心に自分好みのギャルを住まわせています

1995年のデビュー以来、漫画家として活躍を続ける中で、中原先生が思う【仕事を続ける】上で大事だなと思うことがあれば教えてください。
仕事を好きだという気持ちが大事です!
と、言いたいところですが、そもそも漫画を描くということ自体が私にとってはしんどい修行のようなものなので、他にできることがあるならすぐにでも辞めていたと思います。

漫画を描くまでは様々なジャンルのアルバイトをしたり会社員にもなってみましたが、いかんせん要領が悪く人並以下の以下の以下くらいの働きしかできず、それは日常生活でもだいたいそうです。
でも漫画だけは描いてみたら思いのほか褒めてもらえました。

できれば私もどうにかして人様のお役に立ちたいので、お世話になっている編集部や身内やどこかの誰かに喜んでもらいたいという気持ちだけで漫画を描き続けています。

仕事を続けていく上で個人的に一番大事なのは
“アンタこれ以外なんもできねえんだからとにかくやれよバーカ!おもしろかったらアタシが褒めてやるからさぁ!”
という口は悪いけどかわいくてたまに優しいことを言ってくれる私好みの元気なギャルを心に住まわせることです。ギャルが好きです。

漫画を読む時間を作っていただけるのがありがたいです

ー先生は漫画を読まれますか?
びっくりするほど漫画読まないんですよ! 描いてるのに!
昔はもうちょっと読んでたんですけど、最近本当に読まなくなりました。他に楽しい動画やエンターテインメントが増えてきたのでそっちに行ってしまいがちです。

だからそんな中でも漫画を読む時間を作っていただけるのは本当にありがたいなと思います。
皆さんお忙しいでしょうに! わざわざコマを追って台詞を読んでページをめくってもしくはスワイプして絵にない部分を想像したり感情を揺さぶられたり! すごい集中力が必要ですよ!

ありがたいです。なにかこう……漫画は出来れば癒しの時間であって欲しいですね……。
生きているだけでもしんどいので、漫画を読む時間くらいはどうか楽になって欲しいです。なので私も何も考えず楽になれるような漫画を描きたいと思っています。

ー先生自身の自分の人生に欠かせない1冊を教えてください。

弓月光先生の『エリート狂走曲』です。
物心ついた頃に従兄弟の家で手にして絵の美しさとおもしろさに夢中になった記憶があります。
主人公の哲矢くんがめちゃくちゃ私の好みで! かっこよくてキュンキュンした覚えがあります。

ヒロインの唯ちゃんも美人で気が強くてかわいくて好みなんですよね。
私の教科書と言っても過言ではないくらい何度も読み返しましたし、私の漫画にも少なからず影響があると思います。
ラブコメ好きはこの作品との出会いが始まりかもしれません。

弓月先生の作品は全部大好きなのでたくさん読みましたが、あとがきにある締め切りがやばいお話がものすごく記憶に残っていて、漫画家さんって大変なんだな……私は絶対なれないな……と思いました。
なのになれましたので、人生はわからないものです。

中原アヤ先生から直筆メッセージ!

中原先生から直筆メッセージ!

貴重なお話をありがとうございました!

取材・文/上村祐子

@BAILAでは、マンガMeeの人気作品のほか、BAILAオリジナル漫画も読めます!

2022年秋、BAILAで初めて漫画カテゴリがオープン! 働く大人の女性を主人公にしたBAILA初のオリジナル漫画2作品の配信が開始されました。


『ランジェリーの女神さま』は体型や下着の悩みの解決をモチーフにしながら、働く女性の自己肯定を応援する物語。

『おいしい二拠点』はコロナ禍でリモートワークが定着し、東京と長野の二拠点生活をはじめる夫婦が主人公。この3年で変化した読者のライフスタイルを映し出します。


どちらも、『BAILA』が30代~40代女性のファッション・美容・ライフスタイルを常にキャッチアップし、発信しているメディアであるからこその「働く女性」の描写・ストーリー展開が魅力。“大人の女性がリアルに共感できる漫画が読みたい“という声に応えます!

また、同カテゴリでは集英社の少女・女性向け漫画タイトルが集結した漫画アプリマンガMeeの人気作品も配信。毎週更新で、2作品・1〜5話分を期間限定で無料で読めます。

『青春シンデレラ』著者の夕のぞむさん、『サレタガワのブルー』のセモトちかさんなど「マンガMee」の人気作家、そしてBAILAオリジナル漫画『ランジェリーの女神さま』のユニさん、『おいしい二拠点』のイシデ電さんのインタビューも好評配信中! 

カリスマフィッターが心と体のお悩みを解決! 『ランジェリーの女神さま』

帝王百貨店に勤務するカリスマ店員、ランジェリーフィッターの恵比寿天音。天音のもとには、下着選びや体型の悩みを抱えたお客様が毎日来店!

漫画ランジェリーの女神さま
漫画を無料で読む

東京⇔長野の二拠点生活を決めた30代夫婦の物語『おいしい二拠点』

グルメライターとして都心で働く麻胡(32)は、同い年の夫・扇とふたり暮らし。

自然豊かな長野の町に魅せられた麻胡と扇は、ついに二拠点生活を決意する。まずは家探しから始めたが……。

漫画おいしい二拠点
漫画を無料で読む

Feature特集

Feature特集

Rankingランキング

  • ALL
  • FASHION
  • BEAUTY
  • LIFESTYLE
  • EDITOR'S PICK

当サイトでは当社の提携先等がお客様のニーズ等について調査・分析したり、お客様にお勧めの広告を表示する目的で Cookieを利用する場合があります。詳しくはこちら