韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラムです。
今回は、日本でもドラマ、ミュージカルでリメイクされた大人気作『梨泰院クラス』をご紹介。スカッとするストーリー展開と主人公パク・セロイの真っすぐな強さが、疲れた心にやる気と勇気を与えてくれるドラマです。
1.『梨泰院クラス』作品概要

『梨泰院クラス』
全16話
出演:パク・ソジュン、キム・ダミ、ユ・ジェミョンほか
Netflixシリーズ「梨泰院クラス」独占配信中
【あらすじ】
父の仕事の都合で田舎町に引っ越してきた高校3年生のパク・セロイ(パク・ソジュン)は、転校初日に権力を振りかざして弱い者いじめをするチャン・グンウォン(アン・ボヒョン)を見かける。グンウォンは、セロイの父も務める国内最大飲食チェーン・長家(チャンガ)の御曹司。誰もが見て見ぬふりをしていたが、正義感の強いセロイは自身の信念に基づき、行動を起こす。その結果、たった1日で高校を退学になってしまうセロイ。さらに、グンウォンが起こしたひき逃げ事故により、父を失ってしまうのだった。それから7年後、ソウルのひときわホットな街・梨泰院で小さな飲み屋を開いたセロイは、成功を掴むため、長家を相手に無謀ともいえる戦いを仕掛ける。
2.スカッとする“サイダー”な展開がやみつきに!

2020年から一気に加速した韓国ブーム。日本では『冬のソナタ』(2003)を第1次として“第4次韓流ブーム”とも言われましたが、世界的に韓国コンテンツへの注目度が高まり始めた年でした。
今回紹介する『梨泰院クラス』は、2020年1月から3月にかけて放送され、現在の世界的な韓国ブームの口火を切った作品。韓国ドラマブームはこれまでも何度もあったし、ほぼ毎年「ウェルメイドドラマ」と呼ばれる完成度の高い名作が生まれていますが、その中でも『梨泰院クラス』が韓国ドラマに馴染みのなかった層をもとりこにしたのは、スカッとした爽快感を与えてくれる勧善懲悪なストーリーが時代のニーズにガチっとマッチしたからなんじゃないかなと思うのです。
思い返すと、2020年初めはコロナ禍に突入した頃。真っすぐな信念を持って人生を切り拓いていくセロイの姿を通じて、先の見えない状況の中で感じていた不安や窮屈さが解消されたという人も多いはず。(私もそのひとりでした)
そんなスカッとする展開が魅力のドラマを、韓国では飲み物に例えて「サイダードラマ」と呼ぶのですが、10代にして天涯孤独の前科持ちになったセロイが、憎き長家と同じ飲食業界に入り、ビジネスで復讐していく様はまさにサイダー。テナントを追われそうになったり、仕入れ投資の妨害をされたりと、次から次へとやってくる試練に立ち向かっていくストーリーから目が離せなくなります。
3.「人生の主体は自分」勇気をくれる名台詞の数々

ドラマの舞台になった梨泰院は、多国籍・多文化が共生する多様性に富んだエリア。本作は、セロイの仲間にIQ162の天才でソシオパスなチョ・イソ(キム・ダミ)、元ヤクザのチェ・スングォン(リュ・ギョンス)、トランスジェンダーのマ・ヒョニ(イ・ジュヨン)、韓国人の父を持つ黒人のキム・トニー(クリス・ライアン)と個性的なメンバーを登場させ、社会的マイノリティについて描いているところも見どころとなっています。
「俺の価値をお前が決めるな。俺の人生はこれからだ」(第4話より)
「お前はお前だ。他人を納得させなくていい」(第12話より)
セロイが求めるのは、不当なことや権力者に振り回されない“自分が主体である人生”。信念を持ち、自分を奮い立たせ、仲間を守るセロイの言葉には、悩んだり迷ったりした時に背中を押してくれるメッセージが込められています。
4.主人公を輝かせる悪役たち

主人公の活躍はもちろんのこと、サイダードラマは悪が悪であるほど盛り上がるもの。セロイの宿敵となる長家の創業者チャン・デヒは、長家を守るためなら息子をも容赦なく切り捨てる冷酷な経営者。一代で飲食業界を牛耳る存在に成長しただけあり、ただそこにいるだけで威圧されてしまう凄みに、見ているこちらも緊張させられっぱなし。
業界トップの大企業を率いるデヒにとって、個人店からスタートしたセロイを業界から追放することは朝飯前なはずですが、富と権力で周囲を支配してきたデヒは、あの手この手を使ってセロイを信念からへし折って“土下座”をさせることにこだわります。これがもう怖くて、憎たらしいこと!
演じたユ・ジェミョンは40歳で映像作品に本格進出。遅咲きながら、さまざまな作品で存在感を放ち、『梨泰院クラス』で一躍有名に。今や韓国ドラマ・映画に欠かせない名バイプレイヤーです。本作では敵同士ですが、セロイ役のパク・ソジュンとは『花郎 〈ファラン〉 』(2016)でも共演しており、同作では王子を守るチャーミングな護衛役を演じました。

すべての元凶であるデヒの長男グンウォンも強烈。 虎の威を借る狐という言葉がぴったりなわがまま御曹司で、とにかくふてぶてしい! 父からの愛に飢え、後継者として認めてもらえないコンプレックスが悪い方へと働き、とんでもないモンスターへと成長してしまいます。
演じるのは『ユミの細胞たち』シリーズ、『軍検事ドーベルマン』(2022)などで知られるアン・ボヒョン。アマチュアボクサーからモデルに転身して俳優になった異色の経歴の持ち主で、普段は筋トレに励むキャンプ好きな好青年なのですが、『梨泰院クラス』では同一人物とは思えないほど目つきから完全な悪役に。サイダーのスカッと感を高めてくれる、デヒ&グンウォンのカリスマとも言える圧倒的な悪党ぶりにも注目です!
『梨泰院クラス』の視聴はこちら


























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