『ジュリエット』 アリス・マンロー 小竹由美子訳 新潮社 2400円
長距離列車で出会った漁師に惹かれる女子大学院生。彼女が母となり、愛娘の失踪に直面していく「ジュリエット三部作」のほか、田舎町の息苦しさを描く「トリック」など。人生の深淵にふれて。
『四月になれば彼女は』 川村元気 文藝春秋 1400円
塩の町ウユニから手紙が届く。差出人は初めての恋人だった女性。結婚式を次の4 月に控えた「僕」は、愛と喪失感について考え始める。『世界から猫が消えたなら』の著者による、直球の恋愛小説。
『タイムマシンでは、行けない明日』 畑野智美 集英社 1900円
初恋を終わらせた、ある事故の記憶。物理学者となった「僕」は時空を超えて彼女に会おうとする。〈最後に二人で笑い合った時の笑顔は忘れない〉。キュンとくる青春恋愛小説とSFが融合した一作。
文/江南亜美子