30歳で結婚、法律事務所の中間管理職として働きつつ、一児の母親でもあるB子35歳。両親の教育が厳しかったから今の自分があると思うと、子どもを褒めてばかりもいられない気がして…。“褒める、叱るの”バランスをどうどったらいいの? 悩める母の話を人気カウンセラーが聞きました。
教えてくれたのは…
中島 輝先生
自己肯定感の第一人者。自身が心の病で苦しんだ30年間に、独学で学んだ心理学や心理療法を自ら実践し、35歳で克服。習得した技法で15000人を超えるクライアントにカウンセリングを行い、回復率95%、「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれる。
著書累計12万部!
『自己肯定感の教科書』 中島 輝 SBクリエイティブ 1300円
子育ても褒めるとき&叱るときともに肯定することが大事
B子 私には子どもがいるのですが、褒める子育てがあまりできていない気がします。私の親が押しつけであっても勉強しろって言ってくれたからこそ、今の私があるのかなと思うと、褒める、叱るのバランスが難しいです。
中島 僕はいつも「肯定をしてください」と言っています。たとえば水がいっぱい入ったコップを子どもに運んでもらうとします。そのときに子どもに「絶対こぼしちゃダメ」と言うとたいがいこぼすんです。これは否定的な言葉。不安から出た言葉なんですよ。でも「しっかり持ってね」と言うと高い確率でこぼさないんですよ。これが肯定するということです。何がいちばん大切かを考えると「しっかり持つ」ことが大切ですよね。「しっかり持ってね」と大切なことを教えて、できたときに「素晴らしいね、あなたよくできたね」と褒めるとすごく効果がある。「ああこう持てばいいんだ」と子どもに伝わるんですよね。「絶対こぼしちゃダメよ」からの「よくできたね」になると「ちゃんとせねばならない」と伝わってしう。褒めることも意外と「べき」とか「ねば」をつくってしまうことがあります。失敗したときも、できるためには何が大切かを伝えて、それができたときによかったね、と肯定を繰り返す子育てを心がけるとよいのではと思います。
自己肯定感を高めるのに年齢は関係ありません!
B子 勉強になります。とっさに肯定的な言葉が出てこないので練習しないと(笑)。あまりのんびりした子どもになっても生きていけるのかなと心配な部分があります。
中島 自己肯定感のいちばんよいところは自立心が生まれることです。「こぼしちゃだめだよ」からは自立は生まれないんですよ。「ちゃんと持ってね」から全部ちゃんと持つようになる。肯定とは「できた!自分に〇。これが私!」と言えるんです。「この持ち方が私なんです」と言えるので、自立をはぐくむんですよ。
B子 子どもも大人も肯定からなんですね。
中島 そうです。自己肯定感を高めるのに年齢は関係ありません。本人の強い面と弱い面。そのどちらもがその人らしさです。「らしさ」を持つからその人らしい人生が始まる。だからこそ、肯定のシャワーで「らしさ」を尊重することが大切です。
撮影/細谷悠美 イラスト/KAORI FUNAKOSHIYA 取材・文/佐久間知子