「家を購入したい」など、高額の買い物をするときに利用するのがローン。銀行などの金融機関から借り入れをするときに気になるのが金利のこと。2024年、政策金利が17年ぶりに「マイナス」から「ゼロ」へ。この金融政策で住宅ローンはどうなる? あらためて考え方や仕組みをおさらいしよう!
ファイナンシャルプランナー
高山一恵さん
Money&You取締役。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha』やYouTube「Money&You TV」の運営、女性にお金の知識を伝えるための講演や執筆など幅広く活躍。24万部のヒット作『はじめてのNISA&iDeCo』(頼藤太希氏との共著・成美堂出版)のほか著書多数。
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編集T
数々のマネーテーマ企画を経て、’24年からNISAで積み立て投資を開始。資産の上下変動に一喜一憂している。
《Advice》金利が上がるとはいえ、変動型ローンの月々の返済額が急に増えることはない!
「日銀は2024年の3月、17年ぶりにマイナス金利の状態を解除しました。この影響で、住宅ローンの際に発生する、個人が抱える金利も上昇傾向に向かいます。とはいえ、現時点の国内の経済状況では、急激な金利上昇は現実的ではありません。変動型ローンの返済額が、爆上がりする可能性は低いと思います」
【キホンのキ】 住宅ローンの種類をおさらい
固定金利型
額内で利息の割合は変わるが、完済まで毎月の返済額が同じタイプ。市場経済に左右されず、返済額を一定にしたい人向き。
変動金利型
半年に一度、利子の見直しがあるのが変動金利型。現在は0.5%前後と史上最低水準。ただし政策の影響で今後は微増方向へ。
固定金利期間選択型
5年、7年、10年など一定期間の金利は固定、その後は変動金利に変更可能なローン。両方のメリットを得ることができる。
【変動金利と併せて知りたい2つのルール】
5年ルール
つまり5年間で未払いが発生。予定よりローンが長引く
最初の5年の返済は固定だが、金利が上昇すると返済額内で利子の割合が増加。元金返済が遅れて、長期化する可能性が
125%ルール
金利の変動による返済額の見直しは6年目からになるが、その際どんなに金利が上昇していたとしても支払額は前回の1.25倍までしか増やせない。返済額の急な増加を防ぐための規定。ただし1.25倍を超えた分はのちに支払う必要あり
《Advice》金利は景気や物価、“お金の需要”などに合わせて変化。市場を調整する役割も
「景気がいいと物価が上がり、経済活動も拡大傾向に。するとお金を借りる機会が増えてお金の需要が高くなり、金利は上昇。また、金利が低い=利子が安くお金が借りやすい&返済もしやすい状態、ということになるため、景気が悪いときの経済活動を促す政策として利下げを行うなど、市場を調整する側面も」
【キホンのキ】金利の基本の考え方
企業⇄銀行であれ個人⇄銀行であれ、お金を貸す側は“元本+利息をつけて返してもらいたい”というのが基本の考え方。元本に対する利息額の割合を金利と呼び、たとえば元本1万円の利子が1000円の場合、金利は1000÷10000×100=10(%)となる
【金利が年10%で、1年後に返済する場合】
Q.マイナス金利ってなんですか?
A.0%よりも低い利子。不況下での経済活性化には有利に動くことも
「金利が0%を切った状態のことです。ただし適用されるのは日本銀行が民間の金融機関から預かる当座預金の一部に対して。企業がお金を借りやすい状況をつくることで経済の活性化を狙う、デフレ脱却政策のひとつでした」
イラスト/サレンダー橋本 取材・原文/石井絵里 ※本文に記載されている金額、数字、データ等は2024年9月末時点のものです ※BAILA2024年12月号掲載